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「私たちの基準は”好き”を真ん中に置くこと」。 岡山で暮らす2人が見つけた自分らしい生き方、暮らし方

住んでいる場所、働き方、仕事や学校など、今あなたが身を置く環境。確固たる理由や目標をもって選んだ人もいるでしょうし、なんとなく選んだという人もいると思います。今ある日常にとびきりの変化を起こしたいわけじゃない。でも、ふとしたとき、いつもの生活に違和感を感じ、「このままでいいのかな…」と立ち止まってしまうこともあるのではないでしょうか。

10月4日に開催された「OKAYAMAカフェトーク〜地方で暮らしながら、好きな人たちと働くはじめの一歩〜」では、2人のゲストを迎えて岡山での暮らし方・働き方についてお伺いしました。2人のゲストに共通しているのは、自分にとって「好きなもの」や「大切なこと」に向き合い、形にしているところ。岡山という地域を通じて、“自分”を見つけたゲストのお話をご紹介します。

「瀬戸内かわいい部」梅崎泰佳さんのお話

1人目のゲストは、瀬戸内地域のモノやコトを「かわいい」という観点から見つけて、伝えて、育てていく活動をおこなうコミュニティ「瀬戸内かわいい部」の梅崎泰佳さん。採用コンサルティングの会社でクリエイティブを担当しながら、瀬戸内かわいい部の部長として活動しています。

(詳しくはこちら→ミツカルnote

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生まれも育ちも岡山県の梅崎さん。以前は「東京や京都に比べて何もない」とずっと岡山にコンプレックスを抱いていたそうです。地元を見直すきっかけになったのが、2018年に起こった西日本豪雨。直接的な被害はなかったものの、倉敷・美観地区の観光客は激減しました。まちに元気がなくなっていく様子を見た梅崎さんの心に「地元のために何かしたい」という強い気持ちがわき上がりました。

その時、美観地区の人たちが中心となって、SNSで(#美観地区は元気だったよ)を発信し、風評被害を払しょくしようと頑張っていることを知ります。梅崎さんは、美観地区のおすすめスポットを紹介する動画を作成し、オンラインコミュニティ「旅ときどき仕事」にその動画を共有しました。すると、動画を見たメンバーから「ぜひ訪れたい!」という声があがり、岡山まで足を運んでくれることになりました。

「メンバーが岡山に来てくれると決まってから、どこをどう案内したら岡山の魅力を伝えられるかなといろいろ考えて。のんびりできるお気に入りのカフェや、商店街で飲める搾りたての白桃ジュースなど、私が好きなものやことを中心に案内しました。「岡山っていいところだね」、そう言ってくれたメンバーの言葉で私自身が岡山の魅力に気づくことができたんです」

これをきっかけに「瀬戸内かわいい部」を発足。メンバーと共に瀬戸内エリアで見つけたかわいいコトやモノを見つけて(#せとかわ)をつけてSNSで発信したり、美観地区の和菓子屋さんを巡る「和菓子さんぽ」などのイベントを開催。また、瀬戸内産のデニムのは材を使用して小物を作る「せとかわデニムプロジェクト」を主宰し、プロジェクトを通じて地元の産業を学び、体験し、認知を広げる活動を行っています。

FireShot Capture 021 - せとかわデニムプロジェクト - setokawadenim.theblog.me

瀬戸内かわいい部の活動を通じて、今まで見過ごしていた地元・岡山の魅力にどんどん気づいていった梅崎さん。自身の内面にも大きな変化があったそうです。

「小さいころから人の顔色をうかがってばかりで、「自分が好きなこと・やりたいこと」が何かわからずに進んできました。そんな私が、瀬戸内かわいい部として活動する中で、自分の「好き」だと思う気持ちを素直に発信することができるようになりました。そしてその気持ちを共有できるメンバーと出会い、一人でできないことも、みんなの力と才能を借りて実現することができています。メンバーや共感してくれる人がいるから、夢がどんどん形になっていくんです」

16名のメンバーとアイデアを出し合いながら、「瀬戸内かわいい部」はさらに夢を広げようとしています。皆さんもぜひtwitterで(#せとかわ)を検索してみてください。梅崎さんをはじめとするメンバーが愛してやまない瀬戸内のかわいい魅力に触れることができますよ。

「あわくら温泉元湯」鈴木あすみさんのお話

二人目のゲストは、豊かな森林の囲まれた西粟倉村で「あわくら温泉元湯」のスタッフとして働く鈴木あすみさんです。岡山市から車で二時間半。『こどもの笑顔がまんなかにある大きな「家」』をコンセプトにしたゲストハウスで、西粟倉に訪れるお客様を笑顔で出迎えています。

(詳しくはこちら→ミツカルnote

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静岡県島田市出身の鈴木さんは、18歳で京都の大学へ進学。栄養士の資格を取得し、卒業後は保育園で働いていました。働くうちに「子どもの食育に関わりたい」という気持ちがわいてきたそうです。しかし、同じルーティンでしか働けない環境に行き詰まりを感じ、1年で退職。もっと食に関して知識を深めたいと、昼は野菜などの出荷担当として「坂ノ途中」でアルバイト、夜は管理栄養士が関わる居酒屋で働くことにしました。けれど、あまりの忙しさに目が回り、自分のやりたいことが見えなくなってしまいます。

「今までの選択肢を一旦なくして、『何をしたいのかな』と考えた時に、気仙沼のゲストハウスに行ったときのことを思い出したんです。そのゲストハウスのオーナーさんは、私と同じ静岡県の人。移住してまだ3年ほどなのに、地域の人たちと分かち合ってるんだなと感じたんです。気仙沼を案内しながら、震災後の気仙沼の人たちの想いや、なんとかこの状況を乗り越えようとがんばっていることを私に伝えてくれた。その姿勢がすごくかっこいいなぁって。私も外から来た人に地域のことを発信する人になりたいと思ったんですよね」

気仙沼での出会いをきっかけにゲストハウスに興味をもった鈴木さん。せっかくなら、「今までの調理経験などのスキルを活かしたい」とゲストハウス専門の求人サイトで探して見つけたのが「あわくら温泉元湯」(以降、元湯)でした。

元湯は、天然温泉が自慢のゲストハウス。家具などの加工品には使えない廃材を家具屋さんから買い取って薪にし、沸いてくる温泉を温めています。かまどで炊いた美味しいご飯もゲストに大人気。子どもたちが「受付ごっこ」をして遊べるスペースもあり、そこで遊ぶ子どもたちの笑顔を見るのが鈴木さんの日の癒しです。

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実は移住者がとても多い西粟倉村。1500人の人口のうち100人は移住者です。移住してきたばかりの人が村の人と繋がれる場所にしたいと、元湯では月1でみんなでご飯を食べるイベントを開催しています。夏は竹を組んで本格的な流しそうめんをすることも。元湯は地域と移住者をつなぐパイプ役でもあるんですね。

「村ではイベントがたくさん開催されます。それも役場の人たちが中心となって、移住者も村の人たちもみんなが参加できる「お化け屋敷」や「バスケットボール大会」などを開催してくれるんです。しかも村には昔ながらの掲示板が最近できたんですが、みんなそこを見てイベントに参加するんですよ!素敵じゃないですか?」

「やりたいことがそこにあったから」というシンプルな理由で移住した鈴木さんでしたが、元湯を通じて西粟倉村の人と交流し、つながりが増え、どんどん西粟倉村が大好きになっていったそうです。話の最後に鈴木さんは、“以前の自分のように” 将来の道に悩んでいる人たちにエールをくれました。

「はじめは地方のゲストハウスで働きたくて西粟倉村に来たんですけど、今は元湯も西粟倉村もすごく好きだし、楽しいし、「よかったな」って自分で納得しています。だから、やりたいことがあればやりたいことを中心にしても大丈夫なんですよ。そのかわり、思ったらすぐに動く。私はこれを大切にしています」

そう笑顔で締めくくってくれた鈴木さん。みなさんもぜひ鈴木さんの笑顔に会いに、西粟倉村のぬくもりを感じに足を運んでみてください。もしかしたら悩んでいた道を開くヒントがあるかもしれません。

好きなものを探す旅へ出かけよう

トークの後は岡山県産の葡萄4種を贅沢に使ったフルーツサンドをいただきながらの交流会。フルーツサンドを作っていただいたのは、今回の会場「coffe and wine ushiro」のみなさん。岡山の「キノシタ商店」が運営する人気カフェです。

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交流会では「好きなことを仕事にするって難しい」そんな声も聞こえてきましたが、自分にとって「好きなもの」に向き合い大切にしていけば、ゲスト2人のように道しるべが見えてくることもあるのかもしれません。そのためにはまずは自分の好きなもの、見つけたいですね。

11月16・17日には、今回のゲスト2人のナビゲートで岡山・西粟倉を巡るツアーを開催します。あなたも岡山で「好きなもの」を探す旅に出かけませんか?

(文章・三上由香利/写真・橋野貴洋


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