マッチングアプリで出会った男性のこと⑧

その男性は、私と同じ市に住んでいる人だった。
私は、最初からプロフィールに同じ市だと書いてある人は避けて来た。
書いてない人とマッチングしてから、どこに住んでいるのか聞いてみると、たまたま遠い人ばかりだった。
知り合いに繋がる可能性がないので、自分的にはちょうど良かった。
つまり、同市に住んでいる人とはマッチングしたのが初めてだった。

年は4つ下。
やりとりも自然で、嫌な感じがすることはなかったけれど、
M君と、他の人ともやりとりをしていて、他の人(これから⑨として書く人)の方が面白い人だったから、嬉しさや楽しさは感じなかった。
同じ市内ならすぐに会いましょう、と、約束をしたけれど、
当日に
「風邪を引いたので、また別の日にしてくれますか?」
と、言ってきた。
当日に、って。
前日に風邪の気配は全く無かったのかい。

私は、派遣で夜勤をすることもあり、その日に自分にとても都合の良い仕事を見つけたけれど、この人に会うからなぁ、と諦めていた。
そして、次の日の午前中も、
帰りが遅くなる可能性も考えて仕事を入れなかったから、
2つの仕事を不意にしたことになる。
駄目なら早めに言って欲しかった、と思った。

ちょっと遠回しに伝えると、
『咳が出てしまうけれど、じゃあちょっと顔だけ会わせましょうか?』
と言われたけれど、断って、また後日会うことにした。

1週間ほど経ってから、ショッピングセンターの駐車場で待ち合わせをした。
風邪を引いたのは本当だったようで、時々咳をたしかにしていた。
ドライブでもしましょうか?ということで、待ち合わせたのに、
その人は車を動かすことは無かった。
『寒いでしょうからどうぞ』
と、ひざ掛けを渡してくれた。
私はアイドリングが平気な人は、ちょっと苦手だ。
だからって、無駄に意味もなく車を走らせたって環境には良くないけれど。

その人は、×1で、奥さんとは円満に別れて、こどもはいなかったらしい。
アプリでマッチングすることはとても難しいし、
マッチングしても、会える人は少ない、と話していた。
今までに何人かとは会って、お互い印象が良かった人はいるけれど、
遠いところに住んでいる人ばかりで、結局駄目になってしまったそう。
なので、私同様、同市の人に会うのは初めてだったようだ。
『この市に住んでる人はいないのかも、と思っていた』
とまで、言っていた。
声も話し方も優しそうで、仕事も介護の仕事らしく
「向いてそう」
と思った。
顔も悪くはなかったけれど、かといって好みでもなかった。

1時間ほど話をして、お別れした。
空気も乾燥していたし、正直なところ、飲み物くらいは飲みながら話したかった。

人は良さそうだったし、家も近そうで、
『今度はお酒でも飲みに行きましょう』
と言ってくれ、私も
「ぜひ」と返事はしたけれど、
本当のところはあまり気はすすまなかった。

ちょうど年末で、世の中のほとんどの人が忙しくなる時期だったから
それを言い訳に
「来年落ち着いたら」
と、言っておいた。
その間のやりとりが面倒だったけれど、しつこく何通もメッセージを送ってくることは無かった。

年が明けて、1月生まれの私は、誕生日がきたけれど、
やりとりの途中で教えたはずなのに、
『おめでとう』というメッセージが送られてくることは無かった。

『そろそろ食事に行きませんか?』
と、誘われたときに、
やりとりをする中でちょっと疑問に感じたことと、
誕生日におめでとうというメッセージが欲しかった、
と送ると、ブロックされた。

気を使って一応続けている程度のやりとりも、面倒になりつつあったから、
まぁちょうどよかった。









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