マッチングアプリで出会った男性のこと⑦

マッチングアプリに、再々登録をした。
どうせなら違うアプリにすれば良いのかもしれないけれど、
登録の仕方や使い方がよくわからなかったりするのも面倒だし、
そんなことにかける時間がもったいない。
T君も、出会ったアプリに登録したのは、友達が2組もそれで出会って結婚したからだと言っていた。
登録者数も多いようだし、同じアプリでいいかと思った。

登録すると、おそらくNEWというマークがつくようだ。
(男性でもついている写真を見るから)
次々に《いいね》が届く。
その中や、足あとの中には、前回の登録のときに会った人や、
マッチングしたけれど一切メッセージを送ってこなかった人や、
やりとりの途中で私をブロックしてきた人や、
こちらからブロックした人がいたりする。
懲りないなぁ……
またマッチングして「私だってば」とか言ってみようかと思ったりもするけれど、そんなことをして即ブロックされたりしたら、それはそれで傷つくので、したことはない。

何人かの人とマッチングしたけれど、とりあえず
「この人に会ってみようかな」と思ったのは、
同い年の人だった。
正直、全くタイプではない。
でも、眼鏡をかけていて、下がった目尻が、とても優しそうだった。
優しい人に、優しくしてもらいたくなっていた。

ニックネームは、外国の女性の名前のようで、
なぜそれにしたのか聞いてみると、
『娘の名前をもじった』
とのことだった。
メッセージは、軽すぎず、真面目過ぎず、頻繁過ぎず、
でもマメな感じだった。
住んでいる地域は、遠かったけれど、私にとってはちょうど良いくらい。
また、中間地点の飲食店で会うことになった。

駐車場で会ってみると、服装は爽やかで、良かった。
でも、小柄で、写真での印象よりは老けて見えた。
まぁ、同い年なんだから、年相応ではあるけれど、
それまで年下の人ばかりと会ってきたから
「やっぱり同い年っておじさんだな…」と、改めて思ってしまった。

ちょっとした個室の和食の店で、落ち着いて話すことが出来た。
薬剤を配送する仕事で、担当地域は私の住んでいる市だから、毎日来ている
とのことだった。
薬剤の配送?
まさか、M君と同じ会社……?
と、一瞬思ってしまったけれど、話していて「ちょっと違うな」と感じた。
それにしても、その人も、毎日仕事は17時くらいには終わるようだし、
土日祝日は全て休みのようだ。
そんなに早く仕事が終わって、毎日何をしているのかと聞くと、
つまみなどを買って、早くからお酒を飲んでいるという。
料理をしないのかと聞いてみると、たまにするけど、ほとんどしない、とのことだった。
土日祝日全部休みだったら相当時間があるだろうと、何をしているのか聞いてみると、平日の疲れで、だらだらとテレビなどを観て過ごしているという。

私はこの日、もし気が合いそうな人だったら、その数日後にある花火大会に一緒に行こうと、誘ってみるつもりだった。
M君に一緒に行きたいと言ったら
『母か弟や姪と行く可能性が高いです』
と、断られたからだ。
でも、そんなことを私が言う前に、この男性は
「人混みが苦手で。休日はどこも混んでいるから、出かけたくなくて」
と、言ってきた。

それに、人と話すのが苦手で、
仕事も1人でする仕事だから、
1日誰とも話さない日もあるとのことだった。
それならなお、仕事が終わってから、気が合いそうな誰かがいるところへ出かければよくない?
友達付き合いもほとんどしていないらしい。
たまに娘に会わせてもらえるときには、実家に連れて行き、
姪などと遊ばせているとのことだった。

何てつまらない男……
付き合うことになったら、いつ、どこにデートに行くつもり?
1日誰とも話さないで、よく平気でいられるな。
休みの日にゴロゴロして過ごしているなんて……
時間を分けて欲しいくらいだ。

それにしても、M君といい、この男性といい、
薬剤の配送とは、そんなに疲れる仕事なのか?
どんなに疲れようと、17時に終わったり、土日祝日全部休めるなら、
疲れくらいとれるだろうに。

私は向上心がある男性が好みだ。
時間が無くても、隙間時間に、
資格をとる勉強をするとか、
本を読むとか、ジムで体を鍛えるとか、
料理をしてみるとか、そんな人であってほしかった。
とても人は良さそうだけど、この人はないな……と思った。

他に会った人がいないか聞いてみると、
同じ年くらいの女性に一度会ったけれど、
おばあちゃんにしか見えなかった、と言っていた。

私はいつものように、
最初に会った人が、やりとりとの印象が違い過ぎたから早めに会ってみたかったということや、
アプリを紹介してくれた人は100人くらいに会ったらしいということや、「女ってただ飯食いてーだけだろ」などと言われたことがある話などを聞かせた。

3時間ほど話した。
「そろそろ行きましょうか?」と言うと、まだ別れたくなかったのか
『デザートとかいらない?』と聞いてきた。
デザートは食べたいけれど、もうあなたと話すことは無い、
と思ったので、断った。

会計時に
「割り勘にしますか?」と聞いてみると、
『いいです』というので、ご馳走になった。

帰ってから、
ご馳走になったお礼と、服装は好みだったと伝えた上で、
元夫がお酒が好きだったから、お酒が好きな人は苦手だということと、
本当は花火大会に誘うつもりだったということを伝えると、
『苦手だと言っただけで、行こうと思えば行けますよ』
という返事がきた。
「行こうと思えば」っていう考え方がちょっと違うというと、
『ん?それは、もう俺には会わないってこと?』

確認するなよ。察しておくれよ。

「まだ若いんだし、時間もあるなら、もっといろいろな所へ出かけていくべきですよ」というと

『へぇ、なんでもわかるんですね!
1回会っただけで、
散々、色々お出かけはしてますし、旅行も行ってます!

お酒、それは、偏見ですね!
みんながみんな元夫と一緒にしないほうが良いのでは!』

なんだ、その日本語。
そもそも、元夫はお酒が好きだったと言っただけで、酒を飲んでどうだったとは一言も言ってない。
お前こそ、元夫の何が分かってそんなことを言っているんだ?

「1回会っただけで、なんでもなんて分からないですよ。
だから、話したことで感じたことを言っただけです。
いろいろ旅行に行ったことがあるなら、そのお話を聞かせてくれればよかったのでは?と、思います。
次に会った人にはぜひそうして下さいね」

すると
『あなたに、指図されなくても大丈夫です!
100人、200人とタダでご飯食べるのガンバレ!』
と言ってきた。

優しそうな顔をしていたのに。






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