2023/4/21 マッチングアプリで出逢った彼に対面した翌日の私

【このお話の前はこちら


私は彼をブロックしなかった。
次の日の朝も、それまでと同じように早く目覚めてしまい、目覚めた瞬間に彼を思い、その瞬間からドキドキが止まらなかった。
大好きになってしまった想像の人とは全く別人だったのに!

彼にメッセージを送った。
なにはともあれ、お茶をご馳走になったのだ。

「昨日はお茶をご馳走様でした。
〇〇さん(本名)も私に対して、写真とイメージが違ったようでしたが、
私もMさん(ニックネーム)に対して持っていたイメージと
ご本人はだいぶ違いました。
大人の関係も無理かな、って思いました。
ごめんなさいね。」

そして、いくつか彼にダメ出しをした。

これから、マッチングして彼女を作ろうと思うのなら、
会う前にHなことは言わない方がいい。
お金がないことも、言わない方がいい。
大人なのだから、お父さんやお母さんのことは、父・母と呼んだ方がいい。
初対面の日くらいは、スーツなどを着てはどうか?
自分が食事をしたくなくても、一般的には夜7時は夕食の時間なのだから、相手は食事をするものだと思っていた方がいい。
ということを、丁寧に。

そして、

「イメージは違いましたが、
優しい人なんだな、とは思いました。
久しぶりに、ドキドキワクワクという経験をさせていただいたことは感謝しています。
ありがとうございました。」
と、締めた。

いつも通り、すぐに彼からも返事がきた。

『昨夜は逢って下さりどうもありがとうございました。
もうお会い出来ないと思うと寂しい限りです。
とっても好みのお顔だったので。
丁寧に、優しく、マッサージして、
ほんの少しだけでも癒してみたかったです。』

そして、季節を感じさせる言葉と写真。
1枚「?」と思う写真があったが、仕事に行く準備をしなければならなかったので、よく見なかった。

仕事に向かう電車の中で確認してみる。

マッサージオイルと、その隣に自分の手を写した写真だった。
電車の中で、一人でニヤけてしまった。
オイルマッサージをしてくれるつもりだったのか?

その日の派遣の仕事は、
アパレルでの品出しの仕事。
何を覚えることも考えることもなく、
黙々とできる作業。
私はずっと、ずーーーーーーっと、
ただただ彼のことを考え続けてしまった。
「え~もう帰っちゃうの?」
と言ったときの、本当に残念そうな表情。
何度も何度も、目の前に浮かんでしまう。
今までのメッセージの内容。
どの言葉も丁寧で、品があった。
昨夜ファミレスに到着したと連絡したとき、
向かいのお店の『お手洗い』を借りている、
という返事だったこと。
お手洗いって、使うか普通?
「トイレに入ってた」
とか言わない?
出かける場所については検索しない、と言っていたこと。
知りすぎてしまうと、行ってみてからつまらないことがあるから。
「景色は出会い。一期一会」

前の彼女のことも
「前の恋人が」
と、言っていた。

メッセージのやりとり中は、そのワードセンスが、とにかく私の心を掴んでいた。

ドリンクバーのお茶に、ソーサーをつけてきたこと。
私は、ドリンクバーのホットドリンクを飲むときに、ソーサーなどつけたりしない。
結果的に自分で全部飲んでしまったとはいえ、
「半分飲むかな?」と、私にまでカップを持ってきた優しさ。
同性の友達でも、そんな人に会ったことはない。
(冷静に考えれば、いくらでも好きなものをおかわりできる”ドリンクバー”なのだから当たり前なんだけど)

そして、これからのことを考えた。
また、マッチングアプリで、一からお相手探しをしなければならない。
いいね を送ってくれた人はたくさんいるけれど、
どの人も、いまいちピンとこなかった。
私から いいね を送った人も2人ほどいたが、
相手からはそのお返しは無い。
次はいつマッチングできることか。。。
そして、できたとしてもまた数週間メッセージのやりとりをして、
会ってみたらイメージと違い、ガッカリして最初から……
を繰り返していくのか。。。
いつ、理想の人に出会えるのだろう?
それからお付き合いをして、
大人の関係になれるのは、一体いつ?

そんなことを考えていたら、
「もう、彼と、とりあえずしてみてよくない?」
と、思えてきた。
付き合うことはできない。
お茶を飲むのに『お母さん』から2000円を借りてくる人だ。
でも、顔とスタイルは嫌いじゃなかった。
服はヨレっとしていたが、清潔感はあった。
ヤバい人のようでありながら、
改めてよくいろいろなことを思い出すと、
育ちの良さは隠しきれていなかった。
本人はお金が無さそうだけれど、
実家にはお金はありそうだ。
友達もいないのだから、
私のことを誰かに話したりはしないだろう。
好きな人でないなら、
いいとか悪いとかダメだとか違うとか、
気を使わずに言えてしまうのかもしれない。


胸やおしりが垂れていても、
お腹がぶよぶよでも、気にしないでくれそうだ。
(私も気にしないですみそうだ)
何より、その辺の事情を全てぶっちゃけてしまっているのだ。
マグロでも何とも思わないだろう。
無料でオイルマッサージもしてもらえそうだし。
一回りも年下の若い男性には違いないのだ。

でも、どうやって、そう伝えよう……?


夕方、彼から、何事もなかったようにメッセージが届いた。
「今日も患者様と社会貢献の為、頑張っています。
今は給与は少なくても、ほんの少しだけでも社会貢献が出来たら有り難い気持ちです。」
彼が運んでいたのは、医療品だったようだ。
そんな気はしていた。
ただの運送屋ではなかった。

彼からメッセージが届き、どんなに嬉しかったことか……
昨日、会っていた時は
「何この人…やばいやばいやばい…」
と、思っていたのに……
自分で自分の感情が全く理解できなかった。

私は決心したことを伝えた。

あなたのことを恋愛対象として見ることはどうしてもできない。
でも、今朝のマッサージオイルの写真を見て、笑ってしまった。
いろいろぶっちゃけてしまったし、
やっぱりあなたに試してほしい。(痛いかどうか)

と。

そして、

自分は女だからホテル代は出してほしい。
お給料が少ないことも、お金が無いことも昨日聞いたけど……
ホテル代と時間が出来たら連絡下さい。

と。

彼は、すぐに返事をくれた。

お顔もスタイルもタイプだから、嬉しい。
ホテル代はクレジットカードで払うから、
いつでも大丈夫です。
近くまで行くこともできます。

といった内容だった。

近くはマズイので、彼の家の近くまで、私が行くと伝えた。

それから2日の間、いつ・どのように会うかの約束をするやりとりが続いた。
とても変わった、自分の好みでは全く無い人だと分かっているのに、
彼からのメッセージがとても楽しみで仕方がなかった。
メッセージが届いたのを知り、
ドキドキして読み、
何度も文章を考えて校正して返信を打つ。
相変わらず眠れない夜と、早くに目覚めてしまう朝が続いていて、
クマがひどく、肌もボロボロだった。
私は一体どうしてしまったのだろう?

お互いの予定を合わせて、23日に会うことになった。



【このお話の続きはこちら






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?