もし介護負担が2割になったら、どんな影響がある?

【本文のキーワード】
・介護料の負担割合範囲拡大の検討がなされる理由
・介護負担割合が2割になった場合の利用料の変化
 
【本文】
令和6年度の介護報酬改訂において、実際に介護を受けることになった際の介護料の負担割合が2割になる対象者の範囲拡大が検討されました、こちらについては現状、見送りとなっていますが、介護サービスの費用負担は、私たちの生活にもかかわることです。
もし、介護費用の負担が2割になったら、どんな影響があるのかを知っておきましょう。

介護料の負担割合範囲拡大はいつから? 検討がなされる理由
 
介護料の負担割合の範囲拡大の時期は未定ですが、検討されている理由は社会保障制度の持続可能性を高めるためです。

現状、介護負担割合は1割が基本ですが、

・年金収入などが単身で280万円以上〜340万円未満の一定所得の方は2割
・それ以上の所得の方は3割

となっています。

2025年には、団塊世代全員が後期高齢者となります。一方で、現役世代の人口は減少。所得に占める税金と社会保険料の負担割合(国民負担率)も上昇していることから、介護保険制度の基盤が崩壊の危機が取り立たされています。そのため、介護負担割合の範囲拡大が検討されているのです。

もし介護負担割合が2割になった際の利用料の変化の例

ではもし、現在介護負担1割の方が2割になった場合、1回(または1日)あたりの利用料にどのような変化があるのでしょうか。一部を例に挙げてみていきましょう。

自宅で介護サービスを受ける場合の例:訪問看護
 
訪問看護では、看護師が医師の指示のもとで病状のチェクから在宅酸素やカテーテルの管理や排泄や入浴などの日常生活援助行うサービスです。介護保険を利用して訪問看護を受ける際の利用負担の目安は以下になります。
 
※訪問看護ステーションからサービスを受ける場合(病院からの訪問看護とは料金が異なります)

・・・ひと月あたり平均的な利用でいくらの影響になるかのシミュレーション数字をいれて
 ください(※)
たとえば、30分以上1時間未満の利用を受けている方は、1割負担の場合、週2回(月8回)利用している場合は約6560円ですが、2割負担になると約1万3120円となります。
 
 
施設に通う場合の例:通所介護(デイサービス)
 
デイサービスでは、食事や入浴などの日常生活支援や、生活機能向上のための機能訓練などを日帰りで提供するサービスです。
要支援1・2の方は利用できません。

デイサービスは、事業所の規模や所要時間によって費用が設定されていますが、通常規模の事業所で7〜8時間の利用をする際の利用者負担は以下になります。

たとえば、要介護2の人で1割負担の場合、週2回の利用(月8回の利用)で約6160円ですが、2割負担になると約1万2000円となります。

宿泊を伴うサービスを利用する場合:ショートステイ

ショートステイ(短期入所生活介護)は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤独感の解消や心身機能の維持回復、家族の介護負担軽減を目的としたサービスです(連続利用日数は30日まで)。
 



たとえば、要介護4の方で週5日間の利用(月20日の利用)の場合、1割負担ですと約1万6000円、2割負担になると約3万2200円となります。
 
参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「公表されている介護サービスについて」

これらはあくまで利用料の例として挙げています。また、利用料の他に食費やおむつ代などは別途負担となります。
介護負担割合が1割から2割に増額した場合、1日単位で見ると数百円の変化に見えますが、1ヶ月単位で見ると大きな差になり、負担も大きくなることが考えられます。

介護費の負担を軽減させる制度
 
現在、介護サービス利用者の多くは1割負担ですが、今後もし、1割負担の方が2割(もしくは3割)負担になった場合、自己負担額が増えることになります。また、日常生活を送るためには、介護費用だけでなく光熱費や食費などもかかるため、受けるサービスによっては家計に大きな影響を与える可能性も考えられます。
 
ただし、所得の低い方や1ヶ月の利用料が高額になった方については、負担軽減措置が設けられています。2024年時点での制度を紹介します。
 
 
特定入所者介護サービス費(補足給付)
 
介護保険施設入所者等で、所得や資産が一定以下の方に対し、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から給付されます。
負担限度額は、所得や施設の種類等によって異なりますが、利用には「負担限度額認定」を受ける必要があります。お住まいの自治体に申請しましょう。
 
 
高額介護サービス費
1ヶ月の利用者負担額の合計額が、所得に応じて区分された上限を超えた場合、その超えたぶんが介護保険から給付されます。
支給を受けるためには、お住まいの自治体に申請が必要となります。
 
高額医療・高額介護合算制度
 
同じ医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険両方に自己負担が生じた場合、合算後の負担額が軽減される制度です。
世帯年収によって決められた限度額(年額)を500円以上超えた場合、医療保険者に申請すると超えた分が支給されます。
 
参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「介護保険の解説」
 
 
介護負担が気になる方は、気軽に相談してみましょう
 
介護負担が2割、3割の対象になると、負担が大きなものとなる可能性があります。
今後、制度改正によりご自身の介護負担額が増えた場合は、軽減措置の対象になるかどうか担当のケアマネや自治体の介護担当者に相談してみましょう。
 
 
【参考URL】
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「公表されている介護サービスについて」
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「介護保険の解説」【本文のキーワード】
・介護料の負担割合範囲拡大の検討がなされる理由
・介護負担割合が2割になった場合の利用料の変化
 

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