36 腹部外傷

重要なのは腹部臓器損傷の存在を知ることであり、正確な診断をつけることではない。20%は最初の診察で異常所見がないとのこと。直腸診を必ずすること。血液が付着するのであれば腸管損傷、肛門括約筋の緊張低下があれば脊髄損傷、前立腺の浮遊感があれば尿道損傷を疑います。また、シートベルト痕があれば、臓器損傷を疑います。

下位肋骨骨折では、脾臓、肝臓、腎臓損傷も必ず疑うこと。

遅れて症状が出てくるものが少なくありません。(小腸、膵臓、十二指腸、脾臓)

意識障害、中毒患者、頭部外傷、高齢者、小児では腹部所見が乏しいので、積極的に腹部の外傷を検索すること。

脾臓損傷について。左下位肋骨骨折があれば必ず疑うこと。遅発性再出血をきたすことがある。腹膜刺激症状はほぼ半分に見られない。

膵臓損傷について。後腹膜臓器なので遅れて症状が出てくる。

腎臓損傷について。疑う鍵は、側腹部への直接外傷、後部下位肋骨骨折、横突起骨折等である。腎茎部損傷や腎動脈血栓症では、血尿がないかショックの割に軽度の血尿しか出ないので注意が必要である。

大腸損傷:腹腔内遊離ガスが見られることがある。立位胸部X線(正面、側面)もしくは、上体を起こしきれない患者では、左側臥位でオーダーしましょう。

腸間膜損傷:出血のスピードがゆっくりなので初診で見逃されることがある。

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