なぜ肥大型心筋症では不整脈が起こりやすいの?
教科書や参考書には、肥大型心筋症では不整脈による突然死が問題と書かれていますよね。なぜ心筋の疾患なのに不整脈が出るのでしょう?
この原因の一部に、心筋細胞同士の”繋がり”と”線維化”にあります。
通常、心筋細胞同士はイオンが素早く通過できるよう”コネキシン”というトンネルで密に繋がって、情報の伝達を素早くおこなっています。
これにより、一箇所からの電気信号を極限まで素早く伝えることで収縮をなめらかに行っているんですね。
ここで肥大型心筋症では心筋の錯綜配列という病理像を呈したことを思い出すと、肥大型心筋症では細胞同士のコネキシンの繋がりが錯綜配列でばらばらになり、上手く電気が伝わらない状態になります。
また、肥大型心筋症では心不全に伴い線維化が起こります。当然線維化した部分から先には電気が伝わりにくくなるので不整脈の原因となります。
線維化で不整脈が起きると言えばサルコイドーシスの完全房室ブロックもありますね。心室中隔で炎症が起きると、中隔心筋が線維化し菲薄化します(診断基準にもある心室中隔の菲薄化です¹)。すると房室をつなぐ心筋や伝導路が障害され、完全房室ブロックが起きます。
一見すると関係ないような疾患同士にも、症状には共通したメカニズムが隠れているんですね。
文献
1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/45/8/45_1007/_pdf/-char/ja