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なぜ肺腺癌は肺末梢に好発するの?Clara細胞と腺癌の関係

肺癌を勉強していると、肺腺癌肺末梢(肺野)に好発し、肺小細胞癌・扁平上皮癌肺門部に好発すると習いますよね。

肺小細胞癌と肺扁平上皮癌喫煙との関連が強いため、タバコの煙にさらされやすい肺門部にできやすい⁴のは納得できます。
しかし、気管支腺も気管末梢よりは気管中枢側に多いです¹(分泌機能を持つ杯細胞も気細気管支以降では消失しますよね)。では肺腺癌はなぜ気管支腺が少ない末梢に好発するのでしょう?

実は、参考書ではあまり記載がありませんが、肺腺癌の主役はClara細胞という細胞です³(実は肺胞Ⅱ型細胞に加えてClara細胞もサーファクタントを産生しています²!)。この細胞は細気管支に多く、腺癌の好発部位と一致します。また、Clara細胞は発ガン性物質を取り込むと腫瘍化する性質が強く²、そのため肺腺癌になりやすいのです。

このように理解すると、確かに腺癌の好発部位は末梢で良い(?)と納得できますね。


参考
1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsre/7/4/7_KJ00004082946/_pdf/-char/ja
2)https://www.okayama-u.ac.jp/user/kensa/kensa/protein/spd.htm
3)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsre/10/5/10_KJ00004081283/_pdf/-char/ja
4)https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/309.html

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