東京五輪は「先進国のお葬式」 近現代史家の辻田真佐憲さん

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言によって大きな逆風にさらされている東京五輪。新型コロナウイルスの感染拡大に加え、五輪の「顔」である人物自らが、時代遅れの発言で世間の反発を招いている。「大本営発表」などの著書がある近現代史研究者の辻田真佐憲さん(36)は「東京五輪は先進国のお葬式になってしまった」とツイートした。詳しく話を聞くと、五輪の行方だけでなく「その後」も心配になってきた。【古川宗/統合デジタル取材センター】

森氏が会長で居続けるのはスポーツ界のゆがみ
 ――森氏が女性蔑視の発言をしたことを受け、辻田さんは4日、ツイッター上で「東京オリンピックは本当に先進国のお葬式になってしまいましたね」とつぶやいていました。どういう意味でしょうか。

 ◆1964年の前回の東京五輪は、日本が先進国としてデビューする華々しい大会だったと今では言われています。今回の東京五輪についても、安倍晋三前首相が「もう一度世界の中心で活躍する国として再生する」と述べていたように、開催したい人たちにとっては「あの感動をもう一度」という思いが込められていました。

 しかし、実際には、水質汚染や酷暑、費用の膨張など開催国としての問題点が次々に明らかになり、ここにきて森氏の女性蔑視発言が出てしまった。つまり、森氏の発言によって、先進国としてはありえないような時代遅れの価値観が日本に存在していることを国内外に示してしまったわけで、東京五輪が先進国としての日本の「お葬式」になると皮肉を込めて、つぶやいたわけです