大学教育部会(第8回)議事録・配付資料。平成18年11月8日



1 18歳人口及び高等教育機関への入学者数・進学率等の推移(PDF:133KB)
2 大学入学者選抜の現状
3 大学入試センター試験の概要
4 個別学力検査の改善方策(PDF:167KB)
5 大学入試の個性化・多様化の事例(平成18年度)
6 平成19年度大学入学者選抜日程(PDF:71KB)
7 大学入学者選抜に関するこれまでの大学審議会答申等の主な提言について


7 大学入学者選抜に関するこれまでの大学審議会答申等の主な提言について
◇  平成5年度以降の高等教育の計画的整備について(答申)(平成3年5月17日 大学審)
○  初等中等教育の動向や実情に留意する必要があり,関係者において,高等学校教育と大学教育との教育内容の接続についての改善のための研究の取組みや入学者選抜における内容・方法の多様化等に向けての改善の努力がより一層行われることが望まれる。

◇  平成12年度以降の高等教育の将来構想について(答申)(平成9年1月29日 大学審)
○  高等教育においては,入学時の選抜よりも,卒業認定を厳格にすることにより,卒業生の質の確保を図ることが必要であるとの指摘が少なくない。入学に関しては,今後,18歳人口の減少に伴い,高等教育への進学の機会が拡大していくことが予想される。このような状況を踏まえ,各高等教育機関においては,それぞれの理念・目標に即し,入学者選抜の在り方を工夫することが望まれる。

◇  21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(中教審第二次答申)(平成9年6月 中教審)
○  現在の大学入学者選抜においては,知識量の多寡を問うペーパーテストによる学力試験が偏重される傾向にある。大学入学者選抜においても,今後一層,子どもたちの多様な個性や能力・適性,意欲を幅広く評価していくことが必要。また,より適切な進路を見つけたときに転入学や編入学をしやすいようにするなど,やり直しをしやすくすることも必要。
○  学力試験を偏重する入学者選抜を改め,能力・適性や意欲・関心などを多角的に評価するため,選抜方法の多様化,評価尺度の多元化に一層努めることが必要。また,総合的かつ多面的な評価を重視する一方,様々な職業経験や活動経験あるいは特定の分野での優れた能力や学習の成果などの評価を一層推進することも重要。
○  [ゆとり]の中で[生きる力]を育成するという初等中等教育の改善の方向を尊重した入学者選抜の改善に努めることが必要。
○  学力試験を偏重せず,多様な選抜方法を取り入れていくなどの改善を進めるためには,様々な条件整備や進路指導の改善など関連する施策を進めることが必要。各大学等における努力とともに,行政において,支援策を講じつつ,アドミッション・オフィスの整備,ゆったりとした入試日程の確保,関係機関の連携の強化や情報提供の充実などを図ることが必要。
○  特定大学への受験競争の緩和を目指し,大学相互の垣根を低くしていくため,高等教育全体を柔らかなシステムとしていくことや,大学教育の充実と学業成績の評価の厳格化を進めていくことが必要。単位互換の拡大,編入学・転入学の拡大,社会人入学の拡大,休学や復学の弾力化などを進めていくことが必要。また,こうした改善に当たっては,年齢や学力だけにこだわらない,やり直しを可能とする,あるいはいろいろな職業経験などを経ることを可能とするなど,高等教育への様々なアクセスを確保するという観点が重要。
○  ペーパーテストによる学力試験の成績を偏重し,1点差刻みで合否を決めるのではなく,それぞれの大学や学部の特質に応じた選抜方法の多様化や評価尺度の多元化を更に徹底し,入学者選抜の基調を転換していくことが必要。
○  地域に根ざした大学づくりを進めたり,若者の地域定着を進める観点から,各大学の判断により,新たにそうした入学定員の枠や推薦入学を導入したり,拡大していくことも有意義。
○  大学入学者選抜において,これまで必ずしも重要視されてこなかった高等学校の調査書の活用の在り方について検討することが必要。大学関係者と高校関係者がお互いに努力を重ねることにより,調査書を一層活用していくことが必要。
○  学力試験の実施に当たっては,高等学校教育の趣旨を逸脱しない出題を行うとともに,[生きる力]が自ら考える力であることを踏まえ,単に知識の量の多寡を問う問題はできるだけ避け,創造的かつ論理的な思考力などを問う問題を出題していくべき。
○  外国語,特に英語については,コミュニケーション能力の育成などを目指す改善の方向を踏まえ,入学者選抜においてリスニングの導入,履修科目等指定制の活用,あるいは英語検定などを活用することをもっと考えるべき。
○  推薦入学については,選抜方法の多様化や評価尺度の多元化を進める上で極めて有意義であり,過度の受験競争の緩和に大いに資する。こうした観点から,推薦入学について,影響力のある特定の大学を含めて,これを実施する大学や学部の増加を図るとともに,入学定員に対する割合の拡大されることに期待。
○  大学入学者選抜は大学教育の第一歩として重要な位置を占めるものであり,国民と大学との接点となる問題でもあることから,自己点検・評価結果の公表等を通じて広く学外の意見を求めていくとともに,評価の客観性を一層確保から参与会等を活用しながら,地域社会の有識者,地域産業の関係者,高等学校関係者,保護者等の外部の意見を取り入れていくなどの取組を進めることが必要。
○  大学の入学者選抜の改善を進めるためには,国公私立の大学関係者と高等学校関係者の相互理解と協力がますます重要であり,今後は,恒常的かつ組織的に連絡協議を行っていくことが必要。

◇  高等教育の一層の改善について(答申)(平成9年12月18日 大学審)
○  各大学等においては,高等学校との関連にも留意する必要あり。各大学等においては,高等学校のカリキュラムの動向や学生の実態を踏まえつつ,入学前に学生が学習すべき内容に関する情報提供に努めるとともに,入学後,必要に応じて学生の履修歴等に対応した補習教育を実施するなどの工夫を通じて,中等教育から高等教育への移行を円滑に進めることが求められる。
○  学科別入試の見直しについても検討する必要あり。

◇  21世紀の大学像と今後の改革方策について(答申)(平成10年10月26日 大学審)
○  各大学には,入学後に大学教育の基礎を教えるなどの工夫を通じて,後期中等教育から高等教育への移行を円滑に進めることが強く求められる。
 大学入試の在り方については,知識の量だけでなく大学での学習に対する意欲・熱意や入学後の能力の伸長も見据え,多様な個性や能力を適切に評価する必要あり。このため,高等学校における学習指導要領の改訂や学部教育の改善の方向を踏まえ,また,高等学校と大学との接続の在り方についての今後の幅広い検討を視野に入れ,具体的な改善方策を審議する。

◇  初等中等教育と高等教育との接続の改善について(答申)(平成11年12月16日 中教審)
○  これからの大学入学者選抜の在り方としては,大学側のそれぞれの教育理念等にふさわしい資質を持った学生(求める学生)を見いだそうとする取組と,学生側の自らの能力・適性等に基づく主体的な大学選択との相互の選択を,いかにマッチングさせるかという観点が重要。また,「課題探求能力」の育成等,大学入学後の教育で育成すべき力との関連性を十分に意識した改善を行うことが必要。
○  学部・学科の教育に必要な能力・適性を入学者に要求すべきとの考え方を維持する観点から,一定期間相当程度の欠員が生じた場合,当該大学が新たに申請する学部・学科等の設置認可を原則として認めないという取扱いを弾力化することや,私学助成における定員充足率に基づく経常費補助金の傾斜配分(減額措置)について弾力的な取扱いをすることも検討することも必要。
○  入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)をはじめ,教育の理念と目標,内容と方法などについて適時的確に情報を公開し,積極的に提供を行っていくことが必要。インターネット等を含め,更に多様な方法により,大学が受験生等に知らせたい情報だけでなく,高等学校や受験生などが主体的な進路選択をする上で真に必要な情報を積極的に提供することが望まれる。
○  各大学(学部・学科)は,その教育理念,教育目的,教育課程の特色等に応じた多様で確固とした,特色ある入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の確立を目指すべきであり,入学者選抜方法もこの受入方針に沿って設計すべき。
○  各大学が求める学生を適切に見いだすためには,多様な履修歴や経歴に応じた選抜方法の工夫が必要。また,受験生の能力・適性のみならず,学ぼうとする意欲や専攻分野への関心等も適切に評価することが必要。
○  大学入学者選抜においては,学習指導要領のねらいに沿った適切な出題が必要であり,そのねらいを達成するためにも,高等学校関係者の参画や高等学校関係者による評価が必要。大学が高度な教育を行う前提として高度な思考力,表現力,応用力等を求める場合には,求める能力,適性についての明確な基準を示した上で,学習指導要領に準拠しながら,そのような能力を見ることもあり得る。

◇  大学入試の改善について(答申)(平成12年11月22日 大学審)
○  大学入試の多様化等に伴い,大学教員の入試業務の負担が増大する中,教育研究活動への影響についての懸念も指摘され始めているなど,大学における入学者選抜の実施体制の見直しが必要。
○  各大学は,入学後の教育との関連を十分に踏まえ,入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を明確にし,対外的に明示した上で,各大学にふさわしい選抜を行うことにより,各大学が「求める学生」を見いだすことが重要。
○  受験生の能力・適性等を多面的に評価し,「求める学生」を適切に見出す,あるいは,様々な学生を入学させて,大学教育を活性化させるといった観点から,選抜方法の多様化等を進める。
○  大学に進学を希望する者が,その能力・適性等を証明する機会をより多く提供されることが重要であり,このため,受験機会を複数化し,大学入試においてやり直しのきくシステムを構築することを目指す。
○  大学教育の充実を図りながら大学入試の改善を進めていくため,教員が全てを行うという入学者選抜実施体制を適切に見直し,できる限り入試業務の合理化を図ることが必要。
○  大学入学前の段階で入学後の専攻分野を決めるのではなく,大学入学後に幅広い分野の大学教育に触れながら自らの適性,関心等に基づき,専攻分野を決めることができるようにすることが望ましい。
○  募集単位は,細かく区分けせず,できる限り大くくり化した上で,一つの募集単位の中で,異なる選抜方法や評価尺度を用いることを考えていくことも必要。
○  大学入試センター試験を利用する各大学においては,個別試験においては,大学入試センター試験とは異なる能力を判定するような工夫・改善を行う。
○  各大学において,一般選抜における秋季入学の導入を積極的に行うべき。その際,1月の大学入試センター試験の成績を秋季入学の選抜において活用することも考えられる。
○  入試業務の合理化を図る観点から,大学教員を中心とした実施体制を見直し,教員の関与は入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の決定や最終的な合格者の判定といった選抜にとって本質的な部分に集中し,その他の部分については事務職員や大学院生等の積極的な活用を図ることが適当。また,選抜に関する業務を集中的に行い,その結果を教授会に報告するような専門組織を学内に設けることや教員と事務職員の協力体制の確立,専門的な事務職員の養成等を進める。
○  入試業務の合理化を図る観点から,大学入試センター試験やTOEFL(トーフル)等,信頼性の高い外部の試験の一層の活用を推進すべき。
○  入試業務の合理化の一環として,試験問題の作成に外部の専門家等の協力を得ることも検討。
○  アドミッション・オフィス入試については,1自らの意思で出願できる,公募型の入学者選抜であること,2求める学生像や,受験生に求める能力・適性等を明確にし,それに応じた選抜方法を工夫・開発すること,3受験生の能力,適性,意欲,関心等を多面的,総合的に評価すること,4高校生との相互のコミュニケーションを重視するものであること,5専門的なスタッフの充実等十分な体制を整備すべきこと。

◇  教育改革国民会議報告(平成12年12月22日 教育改革国民会議)
○  特に優秀な子どもでその大学の教育目標に合う者は飛び入学ができるよう,現在原則18歳となっている大学入学年齢制限を撤廃する。また,高校生が大学の授業を受けたり,単位を取得できる制度の活用をさらに推進する。
○  大学入学試験は,問題を発見する力,問題の解決方法を見出す力,あるいは推理力や論理的に考える力など多様な資質を適切に評価するものでなければならない。このような観点から,各大学がその理念,目標に基づき,高校での学習達成度試験,面接,小論文,推薦,あるいはこれらを総合的に行うアドミッション・オフィス入試などを採用し,大学入試を多様化する。
○  国際化を促進し,高校卒業後の学生に社会体験などの時間を与える観点から,大学の9月入学を多くの大学が実施するよう積極的に推進する。
○  大学入学時の入学定員の規制を弾力化し,合格ラインに近接する一定の割合の受験生を暫定的に入学させ,1年間の勉学の成果によって改めて合否を判定し,定員まで学生数を減らす方式をとるなど,学生に挑戦の機会を与える暫定入学制度を大学の選択で実施できるようにする。
○  学部では教養教育(リベラルアーツ教育)と専門基礎を中心に教育を行うこととする。大学院へは優秀な学生が学部の3年修了から進学することを大幅に促進し,このようなことがごく普通にみられるようにする。なお,学部で卒業する者は4年でさらに専門的な学習をし,社会に出てすぐに活躍できるよう,産業界などとの連携交流を図るインターンシップ(企業や行政機関,教育機関,NPOなどにおける就業体験)などを積極的に実施する。(再掲)

◇  新しい時代における教養教育の在り方について(答申)(平成14年2月21日 中教審)
○  大学入試の在り方を見直し,高等学校までの段階における生徒一人一人の教養の涵養を促進し,大学入学後の学生の学ぶ姿勢や意欲を引き出すものへと改善することが必要。それぞれの大学が,明確な教育理念に基づく入学者の受入方針を確立し,各大学が重要と考える資質に照らして生徒の能力や適性等を適切に評価することが必要。
○  各大学においては,個々の生徒が初等中等教育の段階までに培ってきた資質や能力,将来についての考え方や大学で学ぶ目的意識などを適切に評価する選抜方法を真剣に検討することが必要。

◇  我が国の高等教育の将来像(答申)(平成17年1月28日 中教審)
○  どのような学生を受け入れて,どのような教育を行い,どのような人材として社会に送り出すかは,その高等教育機関の個性・特色の根幹をなすもの。各機関は,入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を明確にし,入学志願者や社会に対して明示するとともに,選抜方法の多様化や評価尺度の多元化の観点を踏まえ,実際の選抜方法や出題内容等に適切に反映していく必要がある。また,大学は国内外の環境の変化や激しい競争にさらされることから,このような努力を通じて,次の世代を担う者に対し,各人が学んでおくべき内容を示すという機能を果たすことも期待される。