ハーバードに通えるようにするための『レガシー枠入試』


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レガシー枠入試

ちなみに、年収50万ドルを超える家庭は全米の約1%に過ぎないが、ハーバードでは14%に達する。

「ハーバードには2種類の入試が存在する。実力主義による入試と、富裕層のOB子弟を優遇し、代々ハーバードに通えるようにするための『レガシー枠入試』だ」。米国内の格差問題を研究するハーバード4年生のジョーダン・ウェイラーズ(22)はこう指摘する。

ハーバードには「ファイナルクラブ」と呼ばれる、主に富裕層の男子学生を対象とする秘密主義の交流団体が複数存在する。社会の指導層の子弟らが集い、生涯続く人間関係を培う場――。それはハーバードが持つ様々な顔の一つだ。

一方で、13年のハーバード新入生の15%は、年収4万ドル未満の家庭出身だった。

政治学を学ぶ3年生のトマス・ヒューリング(21)は12歳の頃からハーバードをめざし、懸命に勉強してきた。父親は建築作業員、母親は看護師。ヒューリングのような労働者階級出身者が、学費と生活費で年間7万ドルに達するハーバードに通えるのは、返済不要の奨学金のおかげだ。「レガシー優遇は直観的には間違っていると思うが、私が合格できたのだから、ハーバードでも実力主義は機能しているはず」と話す。在籍する学生の多様性を重視し、経済的に恵まれない層にも門戸を開く。それもまた、ハーバードの素顔なのだ。