「心理的安全性(psychological safety)」ハーバードビジネススクールのエイミーエドモンドソン教授により提唱されGoogleが実証実験で「チームの生産性向上の最重要要素」と位置づけた概念

心理的安全性(psychological safety)とは、組織行動学を研究しているハーバード大学ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱した心理学用語です。

心理的安全性とは

エドモンドソン教授は、20年以上にわたって工場や経営幹部、病院などあらゆるチームを研究してきました。

心理的安全性とは「チームの誰もが、非難される不安を感じることなく、自分の考えや気持ちを率直に発言できる状態」を表しており、自然体の自分を安心してさらけだせる環境であること、とも言い換えることができるでしょう。

エドモンドソン教授が1999年に発表した論文では、「このチーム内では、対人関係のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い」と、定義づけています。

心理的安全性が高ければ、提案したアイデアや質問を受け止めてもらえると感じられ、気兼ねなく発言することができるのです。例えば、今までのやり方についての疑問、新たなアイデアをオープンに話し合ったりできる組織は、心理的安全性が高いといえます。

つまり、メンバー同士が互いを尊重し、ネガティブな指摘も含め何でも言い合え、共通の目的のために助け合えるのが、心理的安全性が高いチームの特徴なのです。

Googleの研究により注目を浴びた「心理的安全性」

心理的安全性が注目を集めるようになったのは、Googleが「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」という、4年をかけて実施した社内調査の結果を発表したことがきっかけです。

「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれたその調査は、成功し続けるチームに必要な条件を探るために始まりました。社内にある数百のチームを分析し、生産性の高い働き方をするチームの特徴を徹底的に分析したのです。

その結果、心理的安全性の高いチームは、離職率が低くほかのメンバーが提案した多様なアイデアの活用がうまく、マネージャーから評価される機会が約2倍であることが分かりました。また、収益性も高いことがはっきりしたのです。

心理的安全性が低いとどうなる?

エドモンドソン教授は、心理的安全性を損なう要因として、「無知だと思われる不安」「無能だと思われる不安」「邪魔をしていると思われる不安」「ネガティブだと思われる不安」の4つを提示しています。

これらの要因が重なり、心理的安全性が低くなると生じることとして次のような事例をエドモンドソン教授は挙げました。

事例(1)ミスに気づきながらも黙認する

ある入院患者に対し、投薬量が多いのではないかと疑問をもった看護師がいました。

その看護師は医師に確認しようか迷いましたが、夜中だったため医師は寝ているだろう、それに、前回電話した時に非難がましい言葉をかけられたことを思い出し、確認することをやめました。投薬量が恐らく誤っているだろうと気付きながらも、黙認してしまったのです。

事例(2)企業買収に失敗

会社が進める企業買収計画に、疑問をもった新任役員がいました。しかし、新参者であるうえ、会社の状況に詳しくなかったことから疑問を胸の中にしまい込んでしまいます。

一方、他の役員は買収計画に乗り気であり、計画はどんどん進行していきます。新任役員は、みんなが前向きななか自分だけ後ろ向きな意見を言うのは難しいと感じ、その後も意見を伝えることはありませんでした。その結果、買収は失敗に終わってしまったのです。

この2つの事例に共通しているのは、先ほど紹介した4つの不安です。

不安を抱えたままでは、失敗するリスクを過度に恐れるようになってしまい、メンバー一人ひとりが本来の力を発揮できません。その結果、組織全体の生産性が下がってしまう可能性があるのです。

■参考:Google re: work「効果的なチームとは何か」を知る

2.Googleが行った「プロジェクト・アリストテレス」の内容

心理的安全性がチームの生産性を高めることを実証した「プロジェクト・アリストテレス」は、具体的にどういった内容だったのでしょうか。もう少し詳しくみていきましょう。

プロジェクト・アリストテレスは、Googleの人員分析部によって実施されました。

Google社内には数百のチームがありますが、同じ会社の従業員なのに生産性に差があったため、あらゆる角度から分析して、より生産性が高い働き方を提案することを目的に行われました。

分析には、統計の専門家やエンジニアだけでなく、社会学や組織心理学の専門家など多様なエキスパートを集めて行いました。

特に重視して分析したのが、チームワークです。なぜなら、ビジネスの複雑化が進み、多くの業務で単独の従業員ではこなしきれなくなり、チームでの共同作業が増えてきたからです。

プロジェクト・アリストテレスでは、社内のあらゆるチームを観察し、チームワークがよいところと悪いところの違いを明確化しようとしました。

そのために、「チームのメンバーは社外でも親しく付き合っているか」「同じ趣味をもっているか」「外向的な社員を集めるべきか、内向的な社員を集めるべきか」「学歴に共通性はあるか」など多様な視点での観察を行ったのです。

これらの観察結果を人員分析部で図式化し、業務目標を上回っているチームの共通パターンを見つけようとしました。しかし、チーム編成のあり方と労働生産性にはほとんど相関性がないと結論づけます。

その後、暗黙のルールや行動規範、チームカルチャーといった規範との相関性も調べましたが、ここでも目立った共通点が見つかりません。

唯一の共通点として見つかったのは、成功するチームは何をやっても成功するし、失敗するチームは何をやっても失敗するという法則でした。

そこで、人員分析部では集団心理学の学術論文などあらゆる調査結果を深く調べてみることにしました。すると、他者への配慮や共感などメンタルな要素の重要性が見えてきたのです。

例えば、チーム内でいつもしゃべるのは一人だけで他のメンバーはいつも黙っているチームは失敗するが、ほぼ同じ時間だけ全メンバーが発言するチームは成功するというのです。つまり、心理的安全性の高いチームづくりをすることが、成功のカギといえることがわかってきました。

そこで、2014年の後半にチームリーダーレベルの有志を社員の中から募り、プロジェクト・アリストテレスの趣旨と調査結果を伝えたうえで、心理的安全性の具体策を考えるように促したのです。

有志社員の一人に、自分のチームの生産性が上がらず悩んでいる日系アメリカ人男性Aがいました。Aは、人員分析部にもらった調査票を使い、チームのメンバーにアンケートをとることにしました。

調査票には、自分たちの仕事が会社に与えるインパクトや、社内におけるチームの役割や目的などさまざまな視点の項目が並んでいましたが、いずれの項目も、Aのチームメンバーの自己評価は低かったのです。

この結果を受け、Aはチームメンバーを全員集めてミーティングを開きました。

その中で自分自身が転移性の癌に侵されていることを告白したのです。すると、チームメンバーの一人が自分の健康状態を打ち明け始めました。そこからは、メンバー一人ひとりが自らのプライベートについて語り始め、自然と今回のアンケート結果を受けて生産性を高めるための方法について議論が移行していったのです。

多くの場合、会社では本来の自分を押し殺して仕事用の顔を作り出しています。

しかし、先ほどの例のように、社員一人ひとりが会社でも本来の自分をさらけ出すことができ、それをメンバー間で共有し受け入れることができれば、間接的ではありますが、チームの生産性を高めることにつながるのです。

これが、プロジェクト・アリストテレスの調査によって明らかになった結論でした。

また、チームの生産性を高めるための要因として心理的安全性に加え、「信頼性」「構造と明瞭さ」「仕事の意味」「インパクト」も必要だということが同じ調査によりわかっています。

■参考:Google re: work「効果的なチームとは何か」を知る

3.心理的安全性を高めるメリット

心理的安全性が確保されると、チームメンバーは自然体の自分でいられるようになります。

プロジェクト・アリストテレスでは、心理的安全性が高い組織やチームは「離職率が低い」「収益性の高い仕事をする」「他者のアイデアを活用できる」「効果的に働くと評価されることが増える」といった特徴を挙げています。

さらに、心理的安全性が低かったときからさまざまな変化が起こり、生産性の向上へとつながるのです。

例えば、無知だと思われることを不安に思っていた人は、知らないことや不明点を聞くことができるようになります。その結果、業務上のミスが減ったり相互理解を深めたりすることができます。

また、無能だと思われないか不安だった人は、自分のミスを素直に認めやすくなるのです。

そうすることで、大きなトラブルを防いだりメンバー全員で課題解決をしたりといった変化が出てくるでしょう。邪魔だと思われないか不安になっていた人も、自発的に会議で自分の意見を発言できるようになり、チームにとってもプラスになる意見がどんどん出てくるはずです。

ネガティブだと思われるか心配していた人は、否定的な意見でも発言できるようになり、その結果、自分の意見に自信をもち、チーム内のコミュニケーションの活性化に役立ちます。

このように、一人ひとりに変化が起こると、次はチーム全体に変化が現れます。

否定されることへの不安が消え、安心して意見を言えるようになることで、困ったときはすぐに確認したりミスが発生したときも隠さずすぐに報告相談したりするようになるでしょう。

その結果、最低限の損失に抑えたり、メンバー全員で課題を解決する風土をつくったりすることにつながるのです。

情報共有のベースが構築されたら、次はチームで協力できる関係性が深まり、新たなイノベーションの創出も期待できます。これは、コミュニケーションが活性化して、活発なアイデア交換がされるようになるためです。

最終段階として、メンバー全員が仕事にやりがいを感じ、主体性をもった行動をとるようになれば、モチベーションが高まって従業員のエンゲージメントや、個人やチームのパフォーマンスの向上が期待できるのです。

その結果、生産性が大幅に向上し、離職率が低下することが期待されます。
4.チームの心理的安全性を測定する方法
エドモンドソン教授は、チーム内で心理的安全性が確保されているかを調べるための方法として次の7つの確認項目を論文で発表しています。

(1)チーム内でミスをすると、批判されることが多いか

(2)チームメンバーと、ネガティブなことや課題を指摘し合うことができるか

(3)チームメンバーは、自分とは違うということを理由に他者を拒絶することがあるか

(4)チームに対しリスクのある行動しても安全か

(5)チームメンバーに助けを求めにくい雰囲気か

(6)自分の仕事を意図的におとしめるような行動をするチームメンバーはいないか

(7)チームメンバーと働くときに自分の才能とスキルが尊重され、活かされていると感じるか

この7つの確認項目は、7段階の尺度(1~7点)を用いて集計し、ポジティブな回答ほど高得点となっています。

高得点のチームほど、心理的安全性が高いといえます。

あわせて読みたい

心理的安全性をアンケートで測定できる?意識調査のアンケート結果もご紹介

5.心理的安全性を高めるGoogleの取り組み

心理的安全性を高めるために、相互理解を深めるという視点があります。

Googleでは、信頼関係をつくるため、1on1を活用しています。1on1は、メンバーとマネージャーが1対1で定期的に行う面談です。普段の業務を振り返りながら、仕事上の悩みやよかったこと、今後のキャリアなどについて対話をします。

Googleでは2週間に1度の頻度で1on1を実施しており、目標とアクションの更新やキャリア開発やコーチング、目標を妨げる問題やそれに対して助けられること、今後の休暇の予定や働き方、次の2週間で実施することの確認などが対話の内容です。

Googleでは、自分自身が直接的にパフォーマンスを発揮するのではなく、部下が最大の成果を上げるための場づくりができる人を最高の上司と定めています。

部下たちが自分を素直にさらけ出し、感情的な衝突が起こらないよう、1on1で繰り返し部下の話に耳を傾けることを大切にしています。

さらに、部下の信念や価値観を1on1で引き出し、心理的安全性を高めたうえで、部下が大きく飛躍するための質問を投げかけるようにしています。

例えば「予算や納期といった制限がなければ?」など、可能性を最大限に広げるような質問です。

部下に足りない要素があれば、「具体的には?」「もう少し詳しく説明できる?」など促すような質問を行います。

このような会話を通して、部下の信念や価値観に寄り添って目標を設定し、チームをひとつの目標に向かわせるために1on1を通して心理的安全性を築いているのです。

■参考:Google re: work「効果的なチームとは何か」を知る

6.心理的安全性を高める日本企業の取り組み

心理的安全性を高めるための取り組みは、日本の企業でも行われています。実際にどのような取り組みが行われているのか、2つの事例を紹介します。

株式会社ねぎしフードサービス

株式会社ねぎしフードサービスは、東京や神奈川を中心に飲食チェーン店を展開しており、人材育成において高い評価を受けている企業のひとつです。

「従業員重視」「顧客本位」という考え方を大切にしており、逆ピラミッド型の組織図が特徴です。

また、「働く仲間の幸せ」を企業ビジョンの最重要として掲げています。そのため、従業員間のコミュニケーションを大切にし、従業員が成長するためにPDCAのCを「Communication」に置き換え考えています(元々はCheck)。

アルバイトも含む従業員が、自分事として仕事を捉え、顧客のために働いているという実感を持てるようにするためです。顧客のために働いているという実感がもてるようになれば、立場を超えて本音で意見交換ができるようになると、ねぎしフードサービスでは考えています。

例えば、外国人アルバイトの待遇改善についても、本人を交えて本音で話し合います。社員でもアルバイトでも、コミュニケーションを通して、職場に必要とされている、認められているという安心感をもたせることで、風通しのよい職場づくりとモチベーションの向上につながっているのです。

はじめに

Google に限らず、多くの組織では、仕事のかなりの部分をチームによる共同作業で進めています。チームは真の成果を生み出す最小の単位で、画期的なアイデアが生み出され評価される場です。従業員はほとんどの仕事をチームの一員として行います。しかし、チームの対人関係に問題が生じたり、メンバーのスキルが適切でなかったり、あるいはチームとしての目標が明確でなかったりすると、生産性の低下やメンバー間の摩擦が生まれるといった問題が生じかねません。
Google のピープル アナリティクス チームは、「Project Oxygen」というリサーチ プロジェクトによって、「優れた上司の条件」を突き止めることに成功しました。このプロジェクトの成功を受けて、Google の研究者はその後、Google 社内で効果的なチームの特徴を明らかにするため、同じ手法を用いて新たなリサーチを実施しました。アリストテレスの言葉「全体は部分の総和に勝る」(Google の研究者も、「従業員は単独で働くよりもチームで働いた方が大きな成果を上げられる」と考えています)にちなみ、「Project Aristotle」と名付けられたこのプロジェクトの目的は、「効果的なチームを可能とする条件は何か」という問いに対する答えを見つけ出すことです。
同プロジェクトに携わる研究者についての詳細は、The New York Times の記事「What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team」をご覧ください。

「チーム」とは何かを定義する

「効果的なチームの条件とは何か」という問いに答える第一歩は、「チームとは何か」を明確にすることです。哲学的な思考実験に終始するのでなく、どのようなメンバーがチームを構成するのか、メンバー同士の関係性はどのようなものか、チームとして共に働くなかで、メンバーそれぞれが担う責任は何かなどを具体的に解き明かすのは容易ではありませんが、効果的なチームの条件を分析するうえでは必要なことです。 そもそも、「チーム」という言葉の意味は 1 つではありません。チームに課せられたタスクの相互依存性や、組織における位置付け、チームの存続期間によって、さまざまな定義や枠組みが存在しますが、Google のリサーチチームは、最も根本的なレベルとして「ワークグループ」と「チーム」の区別を試みました。

  • ワークグループ: 相互依存性が最小限という特徴があり、組織または管理上の階層関係に基づいています。ワークグループのメンバーは、情報交換のために定期的に集まる場合があります。

  • チーム: メンバーは相互に強く依存しながら、特定のプロジェクトを遂行するために、作業内容を計画し、問題を解決し、意思決定を下し、進捗状況を確認します。チームのメンバーは、作業を行うために互いを必要とします。

組織図が示すのは、全体像の一部にすぎません。そこで Google のリサーチチームは、メンバー間の関係に高い相互依存性があるチーム(そのように自認しているチーム)に焦点を当てることにしました。最終的には、メンバー数 3~50 名のチーム(中央値は 9 名)を対象にリサーチを実施しています。

「効果的なチーム」とは何かを定義する

リサーチチームは、Google 社内のチームについて定義できたところで、次はチームの効果性を定量的に測る方法を見出す必要に迫られました。書いたコードの行数、修正したバグの数、顧客満足度など、さまざまな指標を検討しました。が、このリサーチの過程で、当初はチームの効果性を客観的に測る指標を重視していたリーダーらは、提案された指標はどれも本質的に不完全であるかもしれないという可能性に気づきました。いくらコード数が多くても質が高いとは限りませんし、たくさんのバグを修正しているということは、そもそもバグが多かったということになるからです。 そこでリサーチチームは、定性的な評価と定量的な指標を組み合わせて使用することにしました。定性的な評価では、マネージャー、チームリーダー、チームメンバーという 3 つの立場からの意見を収集するという前提で、この 3 者に同様の尺度を使ってチームを評価するように依頼しました。その評価について説明を求めたところ、立場によってチームの効果性の評価に用いる指標が異なることがわかりました。
チームの効果性を測る為に最も重要な指標としてマネージャーが挙げたのは、売上高やサービスの立ち上げなどの「結果」でした。これに対しチームメンバーは、「チーム内の文化と風土」が最も重要であるとしています。チームリーダーの意見はちょうどその中間で、当事者意識やビジョン、目標など、大局的な問題と個人的な問題の両方を挙げていました。
そこでリサーチチームは、チームの効果性を次の 4 つの観点で測ることにしました。

  1. マネージャーによるチームの評価

  2. チームリーダーによるチームの評価

  3. チームメンバーによるチームの評価

  4. 四半期ごとの売上ノルマに対する成績

定性的な評価は、結果や文化を理解するのに役立ちますが、主観が入り込むことは避けられません。一方、定量的な指標は、チームの効果性を図る具体的な物差しになる一方、個別の事情を考慮することができません。そこで、上記 4 つの指標を組み合わせれば、チームの効果性を総合的かつ的確に把握できるようになります。

データを収集してチームの効果性を測定する

リサーチチームは、世界中のマネージャーから集めた情報を元に、リサーチの対象とする 180 のチームを決定しました。内訳は、エンジニアリング系のプロジェクト チームが 115、営業チームが 65 で、業績の高いチームと低いチームの両方が含まれています。そのうえで、チームの構成(メンバーの性格的な特性や営業スキル、年齢・性別などの人口統計学的な属性など)とチームの力学(チームメンバー同士の関係性など)がチームの効果性にどう影響するかを調べました。リサーチにあたっては、チームの効果性に関する Google 自身の経験に加え、既存のリサーチ研究から得たアイデアを利用しています。
まず、チームリーダーを対象に二重盲検式で数百件の聞き取りリサーチを実施し、彼らの考える「チームの効果性を向上させる要素」を調べました。続いて、Google 社員のエンゲージメントを調べた年次調査やワークライフ バランスに関する Google の継続的な追跡調査 gDNA の 250 項目を含む既存のリサーチデータを分析し、チームの効果性に影響している可能性のある変数を特定しました。このリサーチでは、被験者に次のような設問を示し、同意するかどうかを尋ねています。

あわせて、在職期間や職務レベル、勤務地などのメンバー属性に関する変数も収集しました。

効果的なチームに固有の力学を突き止める

リサーチチームは、複数の統計モデルを駆使して、収集した大量のデータ項目のうち何がチームの効果性に影響を与えているのかを突き止めようとしました。数百に及ぶ変数に対して 35 種類以上の統計モデルを適用し、次のような因子を特定しようと試みました。

  • 成果に関する複数の指標(定性的な指標と定量的な指標)に影響を与えた因子

  • Google 社内の複数の異なる種類のチームで確認された因子

  • 一貫して確固たる統計的有意性を示した因子

その結果、リサーチチームは、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めました。チームの効果性に影響する因子を重要な順に示すと次のようになります。