絶対に嘘をつかれたくない人と、優しい嘘で騙して欲しい人

アイドル、ホスト、キャバ嬢、誰かの理想であり続ける仕事。
完璧な人間なんてほぼ皆無なので、当然どこかで良く見せるための仮面を被らなければいけない。
それ自体は仕事の一環なので当然のことだ。
ただその仮面が剥がれたとき、例えば異性関係のスキャンダルが発生した時ファンやお客さんはどう思うのか。

前提として、アイドルもホストもキャバ嬢も、客が接しているのは中の人ではなく、ただ一個のコンテンツ、キャラクターだ。現実の人間ではない。客との関係も、それぞれが役割を与えられたロールプレイングゲームのようなものだと思っている。
なので、それらの仕事をしている人がボロを出したときに責めるタイプのファンというのは心底相手の事を信用しているんだろうなと思う。
もっと細かく言うとその信用にも2種類あって、
①推しは完全に裏も表もなく何も隠し事をしていない純粋な人だ、と信じ込むタイプ
②推しがプライベートでどんな事をしてるかわからないし潔白かはわからないけどそれがバレるようなヘマはしないで欲しい、というタイプ
に分かれている気がする。
①はコンテンツというより1人の人間として推しを認識しているのかもしれない。信じられているうちは幸せだけど、スキャンダルが出た時ダメージも大きそう。
②はスキャンダルが起きたらショックもあるけどそれ以上にプロ意識の無さに幻滅して冷めるタイプが多いように思える。

俺自身は多分相手を人間として見てしまうタイプで、だからこそ完璧なんてありえないし、ましてや誰もが週刊誌の記者のように情報を発信できる時代に全て隠し通すなんて無理だと思ってる。
仕事のためにプライベートを犠牲にするみたいなのも好きじゃないし。

とは言っても、これも実際そこまでの熱量を費やせる相手がいないからとれるポジショントークのようなもので、本気でハマったら全然違うことを言うのかもね。自分自身のこともあまり信用できない。

これは観測範囲の話なのでnが少ないんだけどキャバ嬢にハマる男の人は全面的に女の子の事を信じて「あの子はそんな子じゃないから」とか言うけどホストにハマる女の子は相手がクズで他に女がいるとわかった上で好きでい続けられたりするよね。この男女差はなんなんだろうとずっと不思議でいる。
特にホストに対しては「ホストなんだからもっと上手に嘘をついて欲しい」「上手く騙して欲しい」って人もいるし、俺も相手に完璧を求めないとは書いたけど、騙されていることが前提で恋愛的な意味で好きになれる気持ちって正直あまりわからないかもしれない。

そもそもこの文章を書き始めたきっかけ、自分がブレてるというか考え方の辻褄が合わないから書いて整理したいなというところだったんだけど、多分「相手を人間として認識しているけど俺が受け取るのはあくまでコンテンツの部分だけだし、それ以外の所は好きにすればいいと思うし、でも逆にお金を払えるのもコンテンツの部分に対してだけでそれ以上は注ぎ込めない」って感じなんだな。でもそのコンテンツが音楽や会話でなく疑似恋愛だとしたら、俺は多分まず買おうと思えない。初めから偽物だとわかっててお金を出すことはないから。
ただ世の中には偽物を本物だと思って買う人もいるし、偽物だとわかった上で買う人もいる、それが面白いし楽しそうで羨ましいなと思う。みたいな。

いやでも自分が100%疑似恋愛とその他の商品を分けて考えられるかといわれると自信がない。嘘の装飾を施した姿に憧れることだってあるし、心のどこかでボロが出てしまう事を望んでいて、「ほら、やっぱりこの人だってそうなんだ」って早く安心したい気持ちもある。全てを割り切れるなんて自己欺瞞だ。

どっかに疑似恋愛をうっかり信じてハマる事への恐怖感があるのかもしれない。だから相手はコンテンツなんだと言い聞かせて予防線を張ってるのかも。もし自分が独身ならもっと後先顧みずに足を踏み込んでいただろうか。考えるのが嫌になってきてしまった。

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