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ソラを見上げて #41 サプライズ

生田と○○が乃木坂のスタジオを離れてから20分後……(Look back on #40)


―東京駅へ向かう車内―

生:お役に立てたかしら?

〇:はい。お陰で制作に取り掛かれそうです。

生:そ。それは良かったわ。

〇:本当にありがとうございます。

生:ねぇ、聞いてもいい?

〇:はい。

生:キミと梅って、ホントに出会ったばっかりなの?

〇:えぇ、初めて会ってから大体一か月くらいですね。


生:ふーん。

〇:何か引っ掛かりますか?

生:別にぃ。仲良さそうだから聞いてみただけー

〇:何を見てそう思うんですか? どう見たって  

生:どう見たって仲良しでしょ。 ねぇ菊地さん?

菊:ゴホン……

生:あと、キミの呼び方も気になるんだけど。

〇:呼び方?

生:“三代目”って呼び方よ。

〇:だって、乃木坂の三代目キャプテンなんですよね?


生:それはそうなんだけど、普通だったら『梅澤さん』とか『美波ちゃん♪』とかでしょ?

〇:普通って言われても……僕等は出会い方が普通じゃなかったので。

生:むぅ。それにしたって  

〇:いいじゃないですか。向こうだって訂正してこないんですから。

生:そこなのよ!

〇:はい?

生:梅はね、嫌な事はハッキリキッパリ言う子なの。


〇:はぁ。

生:と、いう事は?

〇:案外“三代目”という響きがしっくりきてる……と。

生:ちーがーうーでーしょ!

(足をバタつかせる生田)


〇:うわぁ!

菊:暴れるな、生田。

〇:じゃあ、なんなんですか。

生:嫌がってないのよ、キミからそう呼ばれるの。


〇:だから……しっくりきてるってコトですよね?

生:なんで伝わらないのかしら? キミ、恋愛したことある?

〇:……黙秘します。

生:あーないんだぁ♪ なるほどね~どおりで……


〇:ちょっと、勝手に変な想像しないでくださいよ。

菊:そうだぞ生田。俺に聞こえるところでそういう話は慎んでくれ。心臓に悪い。

生:ちぇっ

〇:じゃあ生田さんは恋愛経験豊富なんですか?

生:あ……あったりまえじゃないの! 私は常に誰かを愛し、愛される存在“生田絵梨花”なのよ? 恋愛の一つや二つ、より取り見取り、黄色に紫よ。

〇:はぁ。

菊:○○君。嘘だぞ。

生:きぃぃ! レディの恋愛事情に口を挟むなんてデリカシーの無いマネージャーね!

〇:ホント元気だな……この人。



―東京駅前・八重洲パーキング―

(停車する車)

菊:着いたよ。

〇:菊地さん、今日は色々とありがとうございました。

菊:あぁ。あと、これを。

(名刺を○○に渡す菊地)


〇:いいんですか?

菊:俺で力になれそうな事があれば連絡してくれ。生田みたいに誰かに合わせるとかは出来ないけどね。

〇:ありがとうございます。

菊:生田が入館申請を忘れた時、そこに連絡すればすぐに行くよ。

生:ちょっと?

〇:あはは、じゃあその時はお願いしますね。

菊:はは。

生:今日は楽しかったわ、ありがと。

〇:いえ、僕の方こそ急なお願いをしてすみませんでした。

生:言ったでしょ? サプライズは大歓迎だって。

〇:やっぱり凄い人ですね、生田さんって。

生:なによぅ。今更認めてくれたの?

〇:だって入館申請忘れるし、方向音痴だし……

菊:また迷ったのか?

生:あーあー、OKOK。それ以上は言わなくていいわ。

〇:あはは。じゃあ、これで失礼します。

生:待って。

〇:え?

生:受け取って。

(そう告げると、生田は革製の楽譜入れを○○に渡す)


〇:これは?

生:私からのサプライズよ。

〇:サプライズ? 中は  

生:ノンノン! キミは中を見ちゃダメよ。

〇:え? じゃあ、どうしたらいいんですか?

生:あの子に渡して。

〇:あの子って……

生:……


〇:まさか——

生:頼んだわね?

〇:……はい。

生:中は見ちゃダメよ~ん♪ それじゃね。

【バタン……🚙】

(再び発信する車)


〇:……ソラに。って事だよな?



生:……お願い、届いて。

―つづく―



【おまけ】


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