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「画期的新商品」

 知り合いが面白いものを見せてくれた。
 見た目は普通のコピー用紙である。特筆事項はコピー機を必要としないこと。コピー元の印刷物とぴったり合わせ、その上から手のひらで押さえていると、そのコピー用紙に、コピーされた黒い図柄や文字が浮かび上がってくるのである。

 「え? なんで? これ、印刷物のインクに反応してるわけ? それだけ微妙なものに反応するんだったら、使用前に白いままで保存されてるのが不思議だよね? 手のひらの熱も化学反応のための必要条件なんだろうか? こんなものができたなんて驚き!」
 「いや、俺もまだこれを知ったばかりでよく分からないんだよ」
 「しかし、反応にちょっと時間がかかるね。これだったら、普通の白黒コピーのほうが早いよ」
 「そう思うでしょう? だけど、いつもデスクにストックしておけば、コピー機までの往復時間や紙、トナーの補充などの手間が省けるし、消費電力の節約など、総合的に見てメリットが多いという実験報告があるんだよ。ただし、複数コピーの場合は別ね。それだとちょっと時間と手間がかかり過ぎ。だから、ほら、商品名は『手軽に一枚コピー用紙』になってる」
 「なるほどね…。だけど、よくこんなものを作れたねぇ。信じられん」

 今朝見た夢である。
 どうも夢のメカニズムというのが分からない。自分の脳内で展開されているので、当然自分で発想しているはずなのだが、こんなコピー用紙の存在など、それまで全く考えたことも無かった。知り合いが実験報告例をあげて、もっともらしい商品名まで口にして、妙に詳細にコスパの良さを説明してくれたり・・・、夢にまんまと騙されている状態なのだが、自分一人の脳内で何でこんなことが起こるのか不思議でしょうがない。

 もしかして、夢の中には、混信電波みたいに外から何かが飛び込んでくることがある? いやいや、本気でそう考えるわけではないが、そう思いたくなるほど、「他人の発想」的な夢を見ることがある。

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