プロローグ

足りない。足りないよ、何も足りていない。

文字も言葉も気持ちも
時間も場所も足りなくなって溢れ出して、

なにかを残したくなった

名もない人たちのやり場のない気持ちが
名乗るほどじゃない人たちの叫ぶほどの想いが

「詠み人知らず」の歌と重なって

いつかの何某として
どこそこの誰かしらに届く言葉を

残したくなった

どこかのいつかの誰かへ
どこかのいつかの私へ

ここの今の私より。

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