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だいすきな あの子が風になった話

いつも風になって見守ってくれているだろう、あの子へ。

私、うさぎにもてたいが 本noteにて、愛するうさ子たちに触れる前に記しておかなければと思っていたことについて綴ります。

はじめに

私、うさぎにもてたいが うさ子たち二羽のビッグマムになる少し前のこと。
今年の初夏頃までしばらく一緒に過ごした1匹のハムスターがいました。その子についてのお話です。

名前は おいも

新しいおうちで緊張している様子。
壁にひっついてじっとこちらをみている。

2017年11月5日
家から遠いペットショップよりお迎えしたキンクマハムスターさん。(後にハムスター年齢で100歳まで生きることになる)

名前は おいも。通称 もうちゃん。
優しい性格の男の子。お顔の毛が少し薄めのところが特徴的でした。

きっかけ

きっかけは、わたしが前職で睡眠薬や精神安定剤を無くして眠れないくらい精神が追い込まれ、夜中や明け方など眠れない時間に 一緒に起きててくれる子、また話し相手になってくれる子が居たらなあと思い、いわゆるアニマルセラピーとしてお迎えしました。

過去に合計5匹ほど(同時ではありません)姉と共に飼っていたことがあり、生きものとしての宿命である最期があまりにも悲しかったため、次回お迎えすることはないだろうなあと思っていたハムスター。
ペットとはいえど、家族に代わりありませんので、最期が悲しくないなど絶対に有り得ません。

実際に小学生の頃、先代の子たちが亡くなったとき、初めての「死」に直面し、悲しみから わたしはあまりにも泣き喚いていたそうです。
それでも、おいもを迎えると決めた当時のわたしの精神はあまりにもぼろぼろだったようで、家族が癒しになる様にと承諾してくれたという流れでした。

もうちゃんの毎朝の送り出し

おうちに慣れてきた頃のある朝、わたしが自分の部屋からリビングにいる もうちゃんのところへ向かうと、足音だけですぐに反応して出てきてくれました。
(ハムスターは夜行性のため、朝は眠っていることが多いはず…)

可愛いすぎる おいも。
おはようの挨拶ではなく、ごはんまだー?の図だったのかもしれない。

睡眠導入剤で眠って迎える朝。
準備のため、仕事のことを考えるだけで不安になり胃痛を引き起こし、お腹を下す日々でしたが、写真のようにおいもが出てきてくれ、触れることでおいもパワーを授かっていました。

家を出る前に触らせてくれるもうちゃん。


もうちゃん、病院へ

もうちゃんが生後1歳を迎えたころ、転職活動を終え、わたしは新しい会社に勤め始めていました。やっとたくさんのものから解放されると喜んでいたのも束の間、もうちゃんの様子に異変が現れ始めていたのです。

背中の毛が異常に薄くなっている、また咳を時々しているように感じたのです。
急いで自宅の近くの病院に駆け込みました。
(院長が、大学時代からハムスターについての本を執筆されており、ハムスター医療について尽力されているとのことでとても信頼を寄せております。)

診察の結果、免疫が落ちてきているため常在菌が悪さをしハゲてきてしまっていたとのことでした。
また、咳については、気管支炎の疑いがあるとのこと。
先生にレントゲンの結果を見せてもらいながらお話を聞いていましたが、挽回の余地はいくらでもあるのに涙が止まらなかったことを覚えています。

抗生剤と代謝をよくするお薬、ハムスターも飲める粉ミルクを処方してもらい、経過観察をすることになりました。

病院から自宅への帰り道も泣きながら帰って、たくさんのすれ違う人に見られていた気がします。
もう少し早く検診に来ていたら、体に露見する前に予防が出来たのかな、という思いでした。

その後、禿げてしまう症状は少しずつ落ち着き、毛が生え揃うまでに回復しました。

ハムスターは個体として体が小さく、手術に対応できる体力がありません。体を開く治療は出来ないのです。
体に何かしらの異変や症状が生じてしまっている状態は、いわゆる末期と言われる段階です。(病気の種類にもよります。)

***

余談ですが、
もうちゃんにおハゲができた頃、2週間に一度通院をしており、動物看護師さんから
「キンクマハムスターは寿命が比較的短めなので、おいもちゃんは長生きさんですね」
と言っていただいておりました。

キンクマハムスターは、品種改良のハムスターにあたるため、野生としての個体は存在しません。そのため、寿命は他の種類のハムスターに比べて短いようです。

おいもが何故、長生きと言われるまでだったのかは定かではありませんが、種類や個体によって、よりデリケートかどうかは、見極めが必要になりそうです。

ハムスターの寿命について

ハムスターは人間に比べて心拍数がとても早いです。
哺乳類と鳥類は心臓を動かす回数は決まっているため、心臓が動かされるスピードが速いほど、寿命が短くなると言われています。

個体差ももちろんありますが、ハムスターの寿命が2〜3年と言われている詳細の理由は下記の通りです。

ハムスターや象などのほ乳類と鳥類は、一生の間に同じ回数だけ心臓を動かし、呼吸をしています。心臓が動く回数を心拍数(しんぱくすう)というのですが、ハムスターの短い一生の間の心拍数と象の長い一生の間の心拍数は、どちらも約15億回。見るからにまったく違う動物なのに、心臓が動く回数はほぼ同じなのです。また、呼吸数も同じで、ハムスターも象も一生の間に約3億回呼吸をします。

同じ回数心臓を動かし、呼吸をしているならば寿命の長さも同じになりそうに思えますが、心臓を動かすスピードと呼吸の速さが違うために寿命の長さは変わります。心臓を動かすスピードは身体の小さい動物の方が速く、逆に身体の大きな動物では遅くなります。呼吸数も同じで、身体の小さな動物の呼吸は速く、逆に身体の大きな動物ではゆっくりになります。

ハムスターと象の心拍数と呼吸の違い
    1分間の心拍数  1分間の呼吸数
ハムスター   約500回     約135回
象       約40回     約6回

出典: 心拍数が鍵を握る!?ハムスターの寿命と象の寿命がなぜ違うのか
https://allabout.co.jp/gm/gc/71239/




お見舞い もうちゃん

私が新しい会社へ勤務を始めて間もない頃、家族からの遺伝である喘息の症状が現れ出し、声帯に傷が出来るほど負担が酷く、発声が出来なくなりました。

当時は、筆談でしばらく生活をしており、腕は腱鞘炎になりかけるほど厳しい日々でしたが、自宅に帰り、ゲージに近づくと寄ってくるもうちゃんからは、大丈夫ー?と言われているような、そんな気持ちになりました。

心配そうにみているもうちゃん。

また、業務の繁忙期を過ぎ、環境の変化もあったことから私自身の免疫力の低下し、扁桃腺の腫れが問題で38度以上の高熱を頻発することがありました。

会社を休み、寝込む日も多く体は熱に負け痛みとても辛いけれど、もうちゃんを眺めている時間や触れている時間は、いつもの健康な自分で居れる気がしました。

もうちゃん、寝てる時間が多くなる

もうちゃんが 2歳になった頃、毎朝起きてくることに変わりはないけれど、起きている時間が短くなった気がしました。

日中はずっと寝ている様子。食事は柔らかいものを好んで食べるように。
起きたときに口元にもっていくとよく食べてくれた。

この頃から、コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務の推奨が社内で広がりました。

憎むべきコロナウイルス。されど、おいもと過ごす時間が自然と増えたのは大変ありがたいものでした。

ありがとう、もうちゃん

それから約半年後の2020年4月10日、午前10時半ごろ。温かい日の中で静かに息を引き取りました。
ハムスター年齢にして約100歳でした。

がんばった大賞を授けるべく、お花を買いに。
近所のお花屋さんで泣きながら選んだ記憶と一緒に。

亡くなる3ヶ月前あたりからすでに歩行も難しくなっており、いつも「おはよう」を言うために登ってくる台に押し上げてあげなければ上がれず、その頃からこの日が来ることを覚悟しておりました。

亡くなる1週間前には、肩で息をするようになり、体温は悍しく低下していました。
久しぶり抱っこすることができ、昔のような温かい体温を感じることが出来るのだろうと思っていたので、小さくなった体、微かな体温に驚きと悲しみで込み上げるものがありました。

もうちゃんは、トイレだけは今までお迎えしたどの子よりもしっかり覚えてくれました。魚が泳ぐようにうさぎが飛び跳ねているように見えるくらい俊敏な日と同じように、老いたのち亀のような鈍い動きになったとしても、トイレのある場所へ数時間かけて向かっていました。トイレを近づけてあげたり、動いてるところを見つけた時はなるべく連れて行ってあげたりしました。

その日からわたしはおいものゲージを前にすると涙が止まらず、まだ一生懸命 目の前で生きているのに、飼い主が悲しみで頬を濡らすことに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

最期が近いからこそ、笑顔でいつも通りお話しすることができたらよかった…そう後悔するばかりで、

「もう、また泣いてるの?あの頃と変わってないなあ〜〜」
と言われている気がしました。

最期に教えてくれたこと

葬儀をする前に気がついたのですが、もうちゃんことおいもは、にっこり口角を上げて亡くなっていました。

そう理解した瞬間、泣いていたのにとても嬉しく笑えてしまって、最期までわたしたち家族を笑顔にしてくれました。
せめて痛みや苦しさに もがくことなく、旅立つことが出来ていたなら、なによりだと思うのです。

これまで もうちゃんの元気に動き回る姿はたくさんの笑顔をわたしたちに与えてくれました。

お気に入りのゼリーにかぶりつくおいも

金網に噛み付いてぶら下がっている様子。
北京ダックな おいもと呼ばれていた。このあと墜落する。

つらくても、きっとにっかり笑顔になれる瞬間は世界のどこかに転がっていると教えてくれた気がします。

最期にガブっと史上最強の強さで噛まれたのはきっと、「泣かないで」という、もうちゃんからの直々のエールだったのだと 今日吹き抜ける風に思うのでした。


もうちゃん、わが家に来てから幸せだったかな、
たくさん撫で撫でさせてくれてありがとう。
物事をがんばるきっかけをくれてありがとう。
うちの子になってくれてありがとう。
みんな、もうちゃんが大好きです。

長いお別れ。
風になったあの子にいつも撫でられ、見守られながら。


あとがき

動物病院に行くことについて、あの子のためになっただろうか、ならなかっただろうか。そんなことをしばらく考えていました。

人間についても、病状によっては副作用や後遺症、手術にかかる体力の問題など、もうここから先は治療しない方よいかもしれない、という判断に至ることもゼロではないでしょう。

話せない動物に対して、飼い主として何が出来るか。何をすることがベストなのか、うさ子ズのビッグマムになってからも直面している問題です。

人間のエゴによって、無理矢理苦しい結末にならないよう、常日頃から出来る限り個体ごとに苦手なものやこと、ストレスになるものは遠ざけながら病気の予防をしていきたいです。

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