自信と目的を持って、人と信頼関係を築くこと

こんにちは。

お手紙ありがとうございます。
実体験を元にしながら、多くの人が悩んでいる「人間関係と信頼」というテーマについて問いを立ててくれて、ありがとうございます。

ゆまの手紙からは、ゆまが思う信頼のあり方や、人生への考え方をひしひしと感じることができました。ゆるぎない考えを持っているからこそ、価値観の違いで悩むことがあるのかもしれませんね。
ゆまの考える信頼関係とは、それぞれが自立して歩いていくなかで、挫けそうな時はお互いの背中を押して励まし合い、もらった勇気を胸にまた自分の足で歩き出せるような関係、と言えると思います。
ですが、ゆまの友人が求めていたのは、お互いに頼り合って二人三脚で歩いていくような依存関係だったのかもしれません。その考え方の違いが、今回のような問題に繋がってしまった。
僕は手紙の内容を、このように受け取りました。

こうやって整理していくなかで、僕は、ゆまと友人が信頼関係に関して考え方を分けてしまった原因は一つに集約されるのではないかと思いました。
それは、「内面の強さ」です。言い換えると、「自分の足で歩いていく力」とも言えます。
自分の足で歩いていく力が十分にあれば、それぞれが自立して歩きながらお互いに励まし合う関係を「信頼関係」だと捉えることができます。しかし、その力がないと、他人の力を頼らずには前に進めないため「依存関係」を求めてしまいます。
つまり、内面の強さが足りていないと、より依存に近い関係を望んでしまうようになるのです。もしかしたら、ゆまの友人は、その内面の強さが少しだけ足りていなかったのかもしれません。

しかし、どうすればその内面の強さを獲得できるのでしょうか。
僕は、内面の強さを獲得するためには「自信」と「目的」という2つのものをしっかりと持つことが大切だと考えています。

自信とは、「私は一人で歩いていくことができる」という認識のことです。
その認識を持つためには、「私には能力があり、成功できる」と信じる必要があります。
こういった自信は、過去にたくさんの成功体験を積み重ねてきた人だけが持てるものだと考えている人もいます。しかし、そうではありません。
例えば、偉大なバスケットボール選手のマイケル・ジョーダンは「ぼくはキャリアを通じて9000回以上のシュートをはずした。300回近い試合に負けた。勝敗を決するシュートを託され失敗したことは26回ある。人生で何度も、何度も、何度も失敗を重ねてきた。だから成功できたんだ。」という名言を残しています。
彼の凄いところは、失敗をただの失敗と捉えて自信を失わず、成功への一歩と信じて歩み続けたところです。過去の経験なんてものは、自分の捉え方次第でどのような意味をも持つのです。

ですが、いくら失敗をポジティブに捉えようとしても、その失敗を乗り越えた先にどんな成功があるのかをわかっていなければ、それは無駄な努力に終わり、失敗に引きずられて自信を失ってしまうでしょう。

「どんな成功が待っているのかをしっかりと認識すること」これが僕のいう2つめの大切な要素、「目的」です。例えば、マイケル・ジョーダンは「偉大なバスケットボール選手になる」という目的があったからこそ、たくさんの失敗を「成功のための布石」とポジティブに捉えることができたのではないでしょうか。

目的とは、「私には歩いてたどり着かなければならない場所がある」という認識のことです。
この目的は、他人に決められたものであってはなりません。自分の奥底から湧き上がってくるような、自分の心にピンとくるものでなくてはなりません。こういった目的は容易に見つかるものではありませんが、日々自分自身を省みることと、周囲とじっくり対話することで見つけられるものだと思います。その目的さえあれば、失敗にもめげずに自信を持ちながら人生を歩んでいくことができるのです。

「自信」と「目的」。この2つを持てないと、依存関係を求めてしまうようになります。一人で歩く自信がないから、他人に寄り掛かりたい。歩いていくべき場所がわからないから、他人に教えてもらいたい。こうなってしまうのです。
アドラー心理学という学問では、このように他人に依存してしまう考え方を「自分自身の人生に嘘をつき、他人の人生を生きている」と厳しく批判しています。
僕の今回の手紙の内容も、アドラー心理学の影響を強く受けています。アドラー 心理学では、「人間の全ての悩みは、対人関係の悩みである」と定義しています。裏を返せば、僕たちがこの手紙のやり取りを通じて見つけようとしている「幸福の本質」とは、アドラー心理学においては「良好な対人関係」なのです。

僕は、ゆまと友人が信頼関係を築き直すには、友人自身がしっかりとした自信と目的を持つ必要があると思います。そうすれば、自然とゆまの考えるような信頼関係を築くことができるようになるはずです。
そして、ゆまがその友人のためにできることは、人生を生きる「目的」を一緒に話し合い、友人がそれを見つけてそこに向けて歩いていく手助けをしてあげることだと思います。

それは友人の内面から湧き上がってくるものなので、まずはしっかりと話を聞いてあげると良いかもしれません。もちろん、ゆま自身の人生の目的について話してみるのも良いでしょう。これまで築いてきた4年間の信頼がいきなり無になることはありえないと僕は思うので、対話をする中で、きっと友人との関係もよくなっていくはずです。

ゆまの気持ちはきっと通じますよ。