見出し画像

GMPに学ぶ”確実に実行する”コツ

1.はじめに

医薬品の製造所にはGMPと呼ばれるルールがあります。このルールには「計画を立てて確実に実行する」というエッセンスが含まれており、学ぶことがとても多いです。今回、日常生活にも応用した例をご紹介して、”確実に実行する”コツをお伝えしたいと思います。

2.GMPとは

医薬品業界に関わっていない限り、GMPというのは聞いたこともないと思います。
GMPはGood Manufacturing Practiceの略称で、医薬品の製造所における製造管理、品質管理の基準のことを言います。

平たく言えば、「医薬品を製造する人はこれを守ってね」というルールのようなものです。

医薬品の製造においては小さなミスも許されません。医薬品の会社が思い思いのルールで製造をしていては、思いがけないミスを見過ごすことにもなりかねません。そこでGMPというルールが世界的に作られ、医薬品を製造する施設はすべてこれを守って製造をしています。


3.GMPの三原則

このGMPですが、大きく三原則にのっとっています。それが以下のものです。
① No Error(ミスをしない)
② No Degradation and Contamination(劣化しない、汚染しない)
③ Quality Assurance System(品質を保証するシステム)


① と②は、いかに品質の良いものを作るか、という観点から理解ができるかと思います。③は、①と②を第三者が見ても納得のいくものにする、というイメージだと理解しています。
この三原則を保つため、実際の製造における作業にまで落とし込んで、詳細なルールが作られます。
少しイメージしづらいかもしれないので例をあげると、「機器や器具は使用する前に状態を確認して、それを記録として残すこと」といったものです。

記録として残すというのはGMPの基本となる作業で、これにより作業員が忘れることもなく、また第三者が確認することもできるので、GMPの原則を守ることになります。

4.GMPを使って”確実に実行する”

説明が長くなりましたが、こういったGMPの考え方を学んでから思ったのが、「これは実生活でも使えるのではないか?」ということでした。


例えば【毎日30分英語の勉強をする!】と決めたものの、ついサボってしまい、テレビだけ見て時間が過ぎていくような方、GMPで解決しましょう!


GMPは基本的に「性悪説」的な考え方に基づいています。つまり、「人間はサボるもの」「人間は失敗をするもの」といったことを前提としています。
つまり、特にこういった人間の弱いところに対して、GMPは力を発揮します。
先ほどの例の方をGMPで解決していきましょう。

GMPの基本ルール①No Errorを守るために大事なのは、前もって実施することを計画として立てて、行動を文書に書き起こしてから実行することです。つまり、「30分英語の勉強をする」ということに対して、「どのような行動をとるのか」を前もって文書化します。

5W1Hで掘り下げると、より良いGMPの文書になります(SOP:Standard Operation Procedureと読んだりします)

「英語の勉強をする」というのもまだ抽象的です。より具体的な文書にすることで、失敗を防ぐことができます。英単語を暗記するのか、文法演習をするのか、英語の本を読むのか、リスニングをするのか、を決めます。それだけでは5W1HでいうところのWhatのみなので、他も決めましょう。


What:英単語を15分、英語の読書を15分
When:夜10時から
Where:勉強部屋(テレビのない部屋)
Why:TOEICで800点とるため
Who:自分ひとりで
How:英単語はDUOの例文を書き起こす。読書はハリーポッターを読む
ここまで掘り下げれば、良い具合です。

そして思い出してほしいのが、GMPの三原則の③Quality Assurance Systemです。
GMPは性悪説なので、ここまでやっても自分がサボるのではないかと疑われます。そこで、「確実に実施している!」と他人に説明できるシステムにする必要があります。

手っ取り早いのは、第三者にやっていることをチェックしてもらうことです。今回の例でいえば、英単語を書いたノートと、読書したハリーポッターの要約を書いて、家族や友達に見てもらうといったことが良いかもしれません。知り合いだとやりづらいようであれば、Twitterにアップするとか、方法はいくらでもあるはずです。


さて、GMPは文書化を基本ルールとしているため、これをすべて文書化します。手書きで書いて壁に貼っても良いですし、写真をとってスマホの待ち受けにしても良いかもしれません。
こうすることで、GMPにのっとった英語の勉強が間違いなく、実行されるはずです。


それでもダメだったという方、心配ありません。

GMPの素晴らしいところは、常に見直しがなされるところです。実行がうまくいかなかった場合、このルール作りがうまくいっていないということで、ルールの見直しをするというのがGMPです。

今回の例でいえば、なぜダメだったのか、自分なりに列挙してみてください。そこに解決するかもしれないものがあれば、いくつか試してみます。

例えばWhenの夜10時では、帰りが遅い日はやれないので、朝8時からにするとか。もしかしたら勉強部屋という環境が良くないのであれば、別の部屋にするか、もしくは勉強部屋を改良するのも良いかもしれません。
こうやって、作業がうまくいくまでルールを見直します。


自分の置かれた環境が変われば、うまくいっていた今までのルールも変える必要が出てくるでしょう。そういうときにはGMPに倣って柔軟に対応し、作業を確実に実施しましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?