ゆびきり
なんだか、大事にずっと持っていた自分の中の火が大きく揺らいだような気がした。絶えず赤々と燃え続けていたように見えて、焚べるものがなくなってしまったのかもしれない。
わたしにとって、誰かにとって、この先続けていくのが本当に正解なのか。ふと浮かぶ。
あまりに無力で、弱くて、何も持たないわたしに何が守れるのか。期待させるだけじゃないのか。そもそも期待なんてしているのか。好きでいてもらえるのか。好きなんて烏滸がましくて、忘れないでいてもらえるのかすら分からない。
苦しい気持ちを自分で優しく撫でて寝かしつける。
わたしは人から貰った幸せや思い出を少しずつ大事にちぎって心に焚べていたんだなと思う。ゆっくりじわじわ、時には強く高く、燃える火。
どうにか焚べられるものを探すけど、あまりに火が小さくてもうどうにもならないかも、そう思った時、わたしは自分の日記のことを思い出した。深夜に冷蔵庫を漁るときってこういう気持ちかも、なんて思いながらブラウザを開く。
そうだった。わたしはこの日記から2年、メイドとして存在した日から3年半、変わらずメイドでいる。
ここにある事実は、どんなものよりもわたしの火を燃やせるものだと気づいた。栞を挟むように書き残したことばが、過去のわたしが、今のわたしを動かしている。焚べられた事実に正解も不正解もない。
これから歩いていく先がどんなに暗くても、昔のわたしが今のわたしに期待したのだから、応えたい。わたしも未来のわたしに期待する。わたしがわたしを好きでいるし、ずっと忘れない。それでいい。
メイドって、ただの接客業じゃない?そうかも、いや、違うかも。わたしにとってメイドは生き方で、誰かの為にメイドでいるわけじゃない。わたしの為。
ただ、あなたが、なんでもないただのわたしを意味のある存在にしてくれた。
そんなわたしを好きでいてくれるひとがいたなら、それ以上の幸せなんてない。わたしの火に暖かさを感じたり、なんだか明るくて歩きやすいなと遠くから見ていてくれるだけでも嬉しい。
一緒に夢を見てくれているあなたへ
いつもありがとう、わたしは元気です。
また会える日まで。
実は色々つまらないことで柄にもなく不安になったりしていたけど、もう大丈夫です。
なんだか、堅苦しくなってしまったけど我ながら自分のメンタル回復力には恐怖を覚えます。みんなに少しずつ分けてあげたいぐらいです。
ただ少しだけ、自分の為の栞を挟んでおきたくなって残しました。こんな時間になってしまった。深夜のお気持ちなので急になくなっていても許してください。
それではおやすみなさい。いい夢を。
PS そろそろ、いいお知らせができるかもしれません。
これは私のおやつ代