INK
透明なコップの中には透明な水
上から一滴インクを落とすと
広がり拡散し交じり合って
今までと変わらないように映る
知らぬ間に数滴落ちたところで
誰かがおかしいと気が付いた
すると別の誰かが言った
それも偉そうに
今までの透明が間違っていたのです
この色が・・・この色こそが普通なのです
という大きな声の説明に
そんなものかなと納得をし
また一滴また一滴
そして気付けば真っ黒け
でもその時になってしまえば
誰も彼もそれが当たり前だと感じて
ままよとなれと自虐の諦め
その水が透明になるには
コップが割れて壊れるか
不意に横に倒れるか
それしかもう術は無かった
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