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医者が心をひらくとき(3)特別な患者

地域医療ジャーナル 2022年6月号 vol.8(6)
記者:shimohara-yasuko
元医学図書館司書


私のヒーロー

褒められたい、自慢したい、そういう承認欲求は何歳になっても消えません。高齢者の自慢ネタのベストスリーは、①孫 ②健康 ③ “私の医者” でしょうか。患者にとって医者は特別な存在なのです。身体の秘密を探り当てる魔術師であり、命を左右する運命の予言者です。患者が、素晴らしい医師(私のヒーロー)にめぐりあった幸運を自慢するのは、自らの健康と長寿が保証されるように思えるからでしょう。
一方、『医者が心をひらくとき』(4月号、5月号で紹介)では、医師たちが、“私の患者”(私のヒーロー)を明かしています。心をひらいて語られた物語は、文学にも匹敵する価値のある尊いプレゼントです。


ある特別な患者

本号で紹介するのは、オランダの医師たちが明かした忘れられない患者の物語です。日刊紙「デ・フォルクスラント」に寄せられた130人のコラムからおよそ三分の一を収録して出版されました。

ある特別な患者 医師たちの人生を変えた患者たちの物語
That One Patient
エレン・デ・フィッサー 編 芝瑞紀 訳
サンマーク出版 2020

この中から5編をダイジェストでご紹介します。


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