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果汁100%ジュースは心血管疾患(CVD)を予防するか

地域医療ジャーナル 2020年11月号 vol.6(11)
記者:shinnoyuki
管理栄養士 / 修士(人間生活科学) 

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(@shinno1993)です。

突然ですが,私は果物が苦手です。果物の味や香りというよりは,あの果肉感というかジューシー感というか,それらが苦手で自分で食べ物を選べるようになってからは全く口にしていません。といいますか,自分で食べ物を選べなかった時でも,ほとんど食べていなかったと思います。

ところで,果物が健康に良いということについては,多くの根拠が蓄積しており,ある程度は確立した事実だと思います。健康な日本人における食事の目安を示した「食事バランスガイド」では,ビタミンCやカリウムの供給源として果物を位置づけ,摂取の目安として,1日に2SV程度(200g,みかん2個程度)を示しています【1】。

私のような果物嫌いの人間からしたら,果物そのものを食べることはかなりの苦労を伴います。ですので,まだ摂取に抵抗の少ない果汁100ジュースを摂取することでその代わりになればなぁと淡い期待を抱いています。しかし果物の代わりに果汁100%ジュースを摂取することで,果物と同じような健康への利益を得られるかどうかについては,なかなか難しいところのようです。

ということで今回は,果汁100%ジュースの健康への影響,特に心血管疾患(CVD)について見ていきたいと思います。

未加工の果物の摂取はCVDの予防に関連している

果汁100%ジュースについて考える前に,まずは未加工の果物について見ていきたいと思います。

果物摂取量とCVDとの関係についての26の研究を解析した用量反応メタアナリシスの結果を参照してみます【2】。果物摂取量とCVDの相対危険度果物の摂取がCVDのリスクを低下させることを示しています。

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この結果をみると,果物摂取量が増えれば増えるほどCVDのリスクが低下することがわかります。

なお,200g/日の果物摂取での相対危険は0.87(95%CI:0.82~0.92)と示されています。つまり1日に200gの果物を食べることでCVDのリスクを13%低下させることができる,という解釈となります。なおリスクの低下は800g/日まで続きますが,500g/日程度で充分な利益を得られるようです。

参考文献
【1】  公益社団法人 日本栄養士会 監修. 「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル 第3版. (第一出版, 2018).
【2】  Aune, D. et al. Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality-A systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Int. J. Epidemiol. 46, 1029–1056 (2017) PMID:28338764.


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