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「あはき」ってご存知ですか? 東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科における鍼灸

地域医療ジャーナル 2021年10月号 vol.7(10)
記者:masayoshi/病鍼連携連絡協議会
鍼灸師

みなさん、こんにちは!
いつも読んでいただきありがとうございます!

今回は東北大学病院・漢方内科の金子聡一郎さんに大学病院における鍼灸について書いていただきました。

前回の昭和大学に引き続き大学病院で活躍している鍼灸の詳細を解説していただきましたので

どうぞお楽しみに!(木津) 


東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科について

東北大学大学院医学系研究科 地域総合診療医育成寄附講座 
助教 金子聡一郎

現在、東北大学における漢方・鍼灸の活動は、東北大学大学院医学系研究科 漢方・統合医療学共同研究講座および東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科のメンバーによって行われております。5名の漢方専門医、1名の漢方認定医に加え外科、麻酔科、神経内科、精神科、家庭医療などの専門領域を持った専攻医(漢方専門医を取得するために研修を受けている医師)と筆者を含む3名の鍼灸師で日々の診療/施術を行っております。

当科鍼灸外来について

当科鍼灸外来は先ほどお話ししたとおり3名の鍼灸師で担当しています。1患者につき1時間の予約枠を設けて完全予約制にて週に24~27枠の施術をおこなっていて、そのうちの1~2枠/週の新規患者枠として設けていています。新規受診に際して原則として紹介状が必要で、鍼灸外来受診の前には一度、漢方医の初診外来にてスクリーニングを受けて頂くことになっており、施術は自由診療で行っています。

紹介となる疾患・症状は様々ですが、やはり多いのは頸部痛や腰痛と行った運動器、頭痛などの慢性疼痛などになります。共同研究を行ったことのある眼科からの正常眼圧緑内障に関わる紹介が多いのは当科の特徴の一つかもしれません。


当科鍼灸外来への紹介経路について

東北大学病院において鍼灸外来に紹介となるケースは大きくは3パターンあり

(1) 患者の希望や他院の医師の判断からの紹介状に鍼灸希望とある場合
(2) 漢方薬治療を行っている過程で主治医が鍼灸適応と考えられたとき
(3) 毎週水曜日の午後に行っている漢方内科カンファレンスにおいて鍼灸が適応と考えられたとき

などがあります。

 

(1)は、市民公開講座や大学病院のHPなどを通じて、患者が当院の鍼灸治療について知ることにより依頼に至るケースや定期的に行っている東北大学病院 漢方フォーラムを通じて開業医が鍼灸について知り紹介に至るケールなどが考えられます。

(2)については、鍼灸の研究活動を通じてや毎週水曜日の朝に行っている勉強会での鍼灸の論文の紹介(鍼のシステマティックレビュー 1) やRCT)、症候別の治療法の紹介や経絡など鍼灸治療の理論のレクチャーの紹介などなどを行い「鍼灸治療」を知ってもらうことにより、現在では専門医、専攻医が率先して紹介してくれる状態です。

(3)は、鍼灸師もそのカンファレンスに参加して病態把握や症状の発生機序の考察の際に鍼灸師として発言することにより鍼灸外来への紹介となるケースが多いです。

 

表1 Cochrane Systematic Reviewsで鍼灸に肯定的な結論が述べられている疾患・症状1)

あはき


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参考文献
1) 日本漢方医学教育協議会編「基本がわかる漢方医学講座」. 羊土社
2) 令和3年度 医学専門教育シラバス. 東北大学医学部医学科
3)  https://byoinnavi.jp/g21



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