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「あはき」ってご存知ですか? 昭和大学病院附属東病院 麻酔科ペインクリニックの鍼灸

地域医療ジャーナル 2021年9月号 vol.7(9)
記者:masayoshi/病鍼連携連絡協議会
鍼灸師

みなさん、こんにちは! 鍼灸師の木津です!

みなさんはオリンピック・パラリンピックはご覧になりましたか? 私は多くのアスリートの頑張る姿に胸が熱くなり背中を押されました。

さて、今回で4回目になりました鍼灸関連の連載ですが、今回は昭和大学病院附属 東病院 麻酔科ペインクリニックの松本美由季さんに

昭和大学の背景や病院内で鍼灸がどの様にお役に立つのか症例を交えて教えていただきました!

今回は「痛み」について詳しく見ていきましょう!(木津)


昭和大学病院附属東病院 麻酔科ペインクリニックの鍼灸

昭和大学病院附属東病院 麻酔科ペインクリニック
兼任講師 松本 美由季

昭和大学は、1928年に医学部創設より始まり、戦中・戦後の混乱を経て薬学部・看護学校、そして歯学部を増設し、現在では保健医療学部(看護学科、理学療法学科や作業療法学科)を加えた4学部6学科からなる医系総合大学です。

『至誠一貫』(常に相手の立場にたって、まごころを尽くす)の建学の精神の下、現在まで約3万人の卒業生を輩出しています。広く一般にも著名な卒業生は、あの美容外科医の高須克弥医師でしょうか? また、異色ではありますが料理評論家の服部幸應さんも大学院医学研究科博士課程を経て医学博士を取得なさっているようです。

筆者は鍼灸あん摩マッサージ指圧師ですが、ここで医学博士を取得しました。幅広い分野にとても柔軟な大学です。 

昭和大学には機能特定病院に指定された大学病院をはじめ、先進医療や専門病院、地域医療の基幹的役割を担うさまざまな特性をもった8つの附属病院があります。

筆者は、その附属病院の一つである東病院の麻酔科ペインクリニックに所属しています。当科では、薬物療法や神経ブロック療法、高周波熱凝固療法、ボトックス療法など従来型の治療をはじめ、手術療法として経皮的椎間板摘出や硬膜外癒着剥離療法、脊髄刺激療法などの高度な医療を提供するとともに、統合的・集学的医療のひとつとして【痛みの東洋医学外来】(金曜/漢方・鍼治療:鍼のみ自費診療)を行っています。

鍼治療は本来、寝違いやぎっくり腰のような急性疼痛にも有用であることが経験的にも知られていますが、このような患者は医師の診察にて画像診断や血液検査などから前述した現代医学による治療が優先されます。

鍼治療は、主に慢性疼痛患者への併用療法としての役割を担っています。本連載の先月号、粕谷大智先生の記事にもありましたように、鍼の鎮痛作用は多くの疾患にて報告されており、中でも慢性疼痛患者への鎮痛効果はより強く期待されています。それは3年ぶりに刷新された【慢性疼痛診療ガイドライン2021】にて統合医療の鍼が慢性疼痛の標準治療として推奨(グレードC)されたことでも判ります 1)。

さらに鍼治療では、関連痛(頚肩こりや脊椎疾患の筋性疼痛・しびれなど)や痛み以外の症状(めまいや耳鳴、食欲不振、投薬による副作用など)および服薬が困難な症例などにも対応しています。いずれにしても朝のカンファレンスにて、鍼治療の目的や適応を確認し、医師との密な連携をとりながら治療が行われます。

参考文献
1)慢性疼痛診療ガイドライン.慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ. 真興交易(株)医書出版部.2021


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