[新連載] なぜわたしたちは「健康」であろうとしているのか?
地域医療ジャーナル 2021年8月号 vol.7(8)
記者:yktyy
医師
はじめまして。家庭医の横田雄也と申します。家庭医として、医学だけでなく、様々な視点から学びや問いを発信していければと思います。
わたしの個人ブログでは、読書からの学びを発信してみたり、勉強会やセミナーからの学びを発信したりしています。
いろいろなジャンル(ビジネス書に始まり、哲学やコミュニティ関連など)の書籍からの学びや気づきを発信しているので、よければご一読ください!
★岡山の家庭医の読書・勉強ブログ:https://yktyy.hatenablog.com/ ★
(写真:とっとり花回廊 /花畑と大山)
まず自己紹介がてら、「家庭医ってなに?」というところを少しお話します。
一般の方々にとって、「家庭医」という言葉はあまり馴染みがないと思います。
家庭医とは簡単に言うと、地域の診療所や病院にいるような、いわゆる「町のお医者さん」みたいなイメージが近いかもしれません。
住民ひとりひとりの健康はもちろんのこと、その家族や地域の健康にも目を向け、医療や保健・福祉活動を通じて、皆さんが幸せに生活できるようサポートすることを目的としている、地域に根ざした医師です。
ここで、「健康」という単語がでてきました。
わたしたち医師、ないし医療者は、患者の健康を守ることを第一の目的とすることがほとんどです。
(※あえてこのような書き方をいたしましたが、医療者が故意に患者を不健康にさせることはありません。それだけは誤解のないようお願いいたします。)
なぜこのようなまどろっこしい書き方をしたかというと、これからわたしが連載を始めていくにあたり、改めて「健康」について考えてみてはどうかと思ったからです。
健康の定義としては、1948年のWHO憲章の記載がよくとりあげられます。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」
(引用:世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会訳)
https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/ より)
そしてこの定義に関して、様々な意見があることも事実です。
しかしながら、果たしてこの世の中に「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた」人などいるのでしょうか?
身体障害を生まれならがらに持っている方は、一生不健康なのでしょうか?社会的に満たされているとはどういう状態なのでしょうか?ひとりで生活している人は、全員不健康なのでしょうか?
そもそも、わたしたちはなぜ健康であろうとしているのでしょうか? 「健康第一」という言葉がありますが、これは真理なのでしょうか?
ここから先は、わたしの意見です。
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