ハイソフトのカード

人はなぜカードを集めるんだろう?

小さくて四角いものの中にある別の世界。
本とは違って、たったの1ページの世界。
それでも、その世界の向こう側を想像するわくわく感は唯一無二なのかもしれません。

往年の名選手のカード、キャラクターが描かれたカード、風景が描かれたカード、広告のカード・・・
それぞれが、別の時間と世界に繋がっている。
いろんな世界を手のひらに収めて、時には他人と交換したりする。
絵画と違って規格が決まっているから、このカードは他の誰かがほしいカードかもしれないと思いを巡らす。
人はカードの持ついずれかの要素に魅せられているのだと思います。
でもそれが何なのかは、はっきりはわかりません。

僕は、いまはカード収集をしていないけど、小学生の頃、テレホンカードを集めるのが好きでした。
たまに新品のカードを手に入れることもあったけど、ほとんどは電話ボックスなどに置き捨てられた使用済みカードを拾っていました。
あまりに嬉しそうに集めるものだから、親戚が家に溜まっていた大量のテレホンカードをくれたこともありました。その時はものすごく嬉しくて、時間をかけて一枚一枚じっくり吟味しました。本当にたくさんの世界がありました。想像力で、四角の向こうのどこまでも行けるような気がしました。
この希望に溢れた「気がする」をたくさん所有するのが、僕は好きでした。

イルカが水面から出てこちらを見ているカードと、昔の6人だったSMAPが写ってるNTTの新サービスの広告デザインのカードがなぜか記憶に残っています。前者は全体的な水色の色味がかっこいいのと、きらきらした水の感じがとてもきれいでした。SMAPのは、みんな楽しそうなのと、なんか懐かしい感じが良かったです。
テレホンカードって、かつてはおそらく世界一種類の多いカードフォーマットでしたよね!?

さて、タイトルの話ですが、森永製菓から長年にわたり発売されているHi-SOFT(ハイソフト)というキャラメルをご存知でしょうか。
大人っぽいシックなデザインの箱(縦長の黄色いのじゃなく)で売っていて、キャラメルも美味しいけど、ユニークなのは、どこかの風景写真の小さなカードが1枚入っていることでしょう。

僕はこのカードがとても好きです。

このちっちゃいサイズ感。クラシックで真面目な風景写真。さりげなく入っている感じ。

いま発売されているパッケージには、「〇〇のカード入り 全〇〇種類」みたいにちゃんと書いてあるけど、僕の記憶が正しければ、昔はカードについてはパッケージに何も書いてなかったような気がします。カードが入ってますって書いてないのに、キャラメルの箱を開けたら、小さな美しい景色のカードが入っている、この感じも好きでした。
うまく表現できないのですが、「沈黙は金」な良さがある。

5cm×6cmの、小さな窓から見える非日常。
この感覚は、小さい頃に父親からもらったVIEW-MASTERというスライドを覗くと3Dの景色が見えるおもちゃに似ています。

Hi-SOFTのキャッチフレーズは”旅にハイソフト”。ぴったりですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?