ボーイ・ミーツ・ガール

Nezumiさんが、僕とカミサンの馴れ初めを知りたいという話をNezumi-sideでしていたので、妻と僕のことについて書いたテキスト「妻と歌う方法について」の序章をコピペした。

***

ホールド・ザ・ライン〜オーディション

「松尾くーん、電話だよ」。下宿の隣人である久保田さんだ。スティーブ・ミラー・バンド「Fly Like An Eagle」やイーグルス「Hotel California」のレコードに合わせて完璧に弾き熟しているのがしょっちゅう漏れ聴こえる、ギタリスト。新潟から上京してきた社会人だが、ビートルズのコピーバンドやオリジナル曲のバンドをいっしょにやっていた。ぼくらが住む「佐伯荘」は、北区西ヶ原3丁目にある、2階建ての下宿だ。風呂なし、トイレは共同。電話も共同なので、冒頭のようなことになる。

 ピンク電話の受話器を持ってる久保田さんはニヤニヤしてる。小声で「女の子から」と、受話器を手渡される。「どうも」……彼が自分の部屋に消えた後で、電話口に出てみる。

「もしもし、松尾です」

「もしもし。TOTOのコピーバンド募集の張り紙をみたんですが。あ、外大のペルシア科1年のシラトリヨシコといいます。ハクチョウに、敏感の敏と書いて、ヨシ、そして子どもの子、白鳥敏子です」

ここから先は

2,826字 / 2画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?