読書メモ 「パーパス経営」

『パーパス経営』 名和高司著
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先ほど読み終わりました!理解を深めるためnoteでアウトプットします!

【読んだ動機】
「世の中は、今後何処に向かうか」
「現代の企業の存在意義はどこにあるか」
について知りたいから。

【本の構成】

志本主義の概要、志本主義の思想的系譜について紹介したあと、特に志本主義と資本主義以前の日本的思想の類似性についても踏み込んで紹介。後半は志本主義を実践する企業の具体例などをつぶさに分析し、日本企業への提言でクロージングといった流れになっていた。

パーパス経営の本質的な意義は1〜4章で十分理解できる。5章以降はかなり具体的な話なので、辞書として必要があるときに読む程度で良いと思った。

【メッセージ】

パーパス経営とは、ヒトの利他的な思いを基軸にした経営のことを指す。

なぜ今になってパーパス経営が取り上げられているのか。

2015年のダボス会議、ローマクラブが1972年に提唱された「成長の限界」などに見るように、資本主義の終焉は誰の目に見てもすぐそこまできている。資本主義の既得権者たちはサステナビリティ経営、マルチステークホルダー経営、思慮深い資本主義など、資本主義を延命させながら持続していこうと考えているが、資本主義を成立させるそもそもの考えが実態の社会に則していないという現実に目を向けない限り、我々はこの終焉を克服することができない。資本主義の発展を下支えしたのは、デカルト的な還元主義的思考である。あらゆるものは、要素に還元でき、要素問題を解決すれば全体の問題を解決したといえるとする前提である。経済学、会計学、デジタルサイエンスは、複雑系である社会の都合のいい部分だけを残し、割り切れないものを「外部経済」というブラックボックスの中に強引に押し込み要素分解してしまったことで、社会に歪みをもたらした。資本主義の終焉を前にして我々がすべきことは、このゴミ箱の中に目を向けることではないだろうか。

 また別の文脈で、会社の在り方もこれまでとは大きく変わり始めている。デジタル化により発展したネットワーク経済は、ヒト、モノ、カネをより流動的にした。これらのリソースを囲い込み価値創出してきた企業は、この流れの中でどんな存在意義を持つべきなのか。

 西洋的合理性、コモディティ化したカネを超えたポスト資本主義はどのような景色なのか。福祉や幸福を主軸に置いたフィンランドのような社会民主主義。利他的な人間を基軸に置き、個々の成長を持って企業発展の基盤とする人本主義。ニコマコス倫理学の善やフロネシスといった人間の内奥に宿る知恵を原動力とする知本主義。

私と社会、今と未来、社内と社外の対立するベクトルを一致させるMTP(巨大で革命的な目的意識)を原動力とした志本主義など、ポスト資本主義の姿が論じられている。筆者はこの中でも志本主義を主張している。というのも、世界がパーパス経営を騒ぎ立てる前から、それは日本にもとよりあった考え方であるからだ。日本流の志本主義に立ち返ることで、日本はまた、世界をリードすることができると考えている。

 志本主義はやもすると大衆を扇動したり迎合したりする安直な共感主義に陥ったり、形だけの幸福主義に止まってしまったりする可能性を孕んでいる。そうならないためには、自社の志が主観正義性を貫いているか、厳しく問い続けなければならない。特に幸福主義は、幸福の方法として、脱成長、無為自然、ユートピア、社会との共存、ホラクラシー型の組織論などを標榜し、資本主義で疲弊した我々を誘惑するが、企業が成長を止め、社会課題から背を向けてしまっては、誰が解決するのか。未解決の課題から逃げずに、未来を切り開く志が必要である。

次世代の我々は、社員第一のグリーン組織を超え、個と全体が同期しながら進化するティール組織を目指すべきだ。ティール組織は静的な「いい会社」を超え、動的な「いきいきとした会社」を目指す点でこれまでの組織の考え方と大きく異なる。ティール組織は、evolutionary purposeと自立性、全体性に特徴づけられ、自立性に振り切ったグリーン組織とはちがい、各個人がお互いの多様性を尊重しながらも常に進化し続ける目的の達成に向け、組織全体というやら大きな生態の中で共存し、共進化する。生命体のように生き生きとした組織を目指すことは21世紀の理想的なモデルだが、人間であるならば、哲学や宗教など、人間だからこその「生きる意味」を内在した組織であるべきだ。

【感想】

モノやカネがコモディティする中、企業の「あるべき」をどこに定めるべきか迷っていた僕にとって、パーパス経営は非常に魅力的に映った。

形だけのSDGsや共感主義を振りかざすのではなく、企業ならではの主観正義性を見出し、後押しできるようなアドバイザーを目指したい。

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