不摂生と病気の罪と罰

みなさんごきげんよう、まよえるてんちょうです。ごきげんようというのはいいですね、時間を問わず使える上にお疲れ様の代わりにもさようならの代わりにもなって、ごきげんという言葉が入っていてちょっとハッピーになれますね。てんちょうとあるように、私はイベントバーエデン京都というお店の店長をやっています。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は現在25歳ですが糖尿病です。このnoteは、病気にならないよう不摂生を強く否定している人向けに書きました。

ここ数年、前にも増して高カロリーが目の敵にされているのを感じますね。高脂質、高糖質、塩分過多なんかもそうですね。まあ、確かにとりすぎは健康に悪いですからね。逆に低カロリーなもの、食物繊維たっぷりなものは罪悪感なく食べられる!なんて、もてはやされていますね。本当かどうかは知りませんが、たくさん食べても健康に良いらしいです。すごい。でもちょっと待ってください、食べ物を食べるのに「罪悪感」ってなんですか?

なんらかの宗教や思想によって、食事そのものが罪であるとする人もいると思います。食べ物の大部分は生き物の命を奪ったりとても自然とはいえない方法で作られていますので、そういう考え方もあるでしょう。けれどそれはカロリーや栄養価に関わらずそうであるはずです。ビタミンやミネラルが多くても少なくても、健康に良くても悪くても変わらないはずです。そこで健康に悪いとされているものを食べると罪悪感を覚えるみなさん、病気は「罰」だと思っていませんか?

高カロリーな食べ物を食べすぎると、多くの人は皮下脂肪や内臓脂肪がついて肥満に、平たく言えば太ってしまいますね。でもそれは食べたものが脂肪として体の中に蓄えられたからで、高カロリーな食べ物をたくさん食べるという罪に罰が下ったからではありません。

糖質をたくさん食べすぎると、糖尿病になりやすくなると言われています。糖質が体に入ると血糖値が上がり、血糖値を下げるホルモン(インスリン)を出す膵臓が疲れて、うまく働かなくなってしまうからだとされています。これも糖質をたくさん食べた罰に糖尿病にされてしまうのではありません。

私が言いたいのは、不健康とされている食事、もっと範囲を広げると不摂生な生活に罪悪感を覚えるとき、病気の人を「悪人」だと思っていませんか?という部分です。私がかかっている糖尿病は1型糖尿病です。自分の免疫が自分の膵臓を壊してしまう自己免疫疾患であると言われており、2型と違って生活習慣は関係ないとされています。そして、1型の人はかわいそうだけど、2型の人は自業自得だなんてよく言われるのを見聞きします。本当にそう思いますか?

糖尿病は1型2型を問わず基本的には治らない病気です。(あまり行われないのですが膵島移植などの例外はあります)ただ治療がうまくいけば進行を食い止めることができ、進行しなければ特に症状はありません。治療してもうまくいかない場合もあります。進行して目が見えなくなったり、壊死した手足を切らなくてはならなくなったり、1回4時間・週3回くらい人工透析を受けた上でとても厳しく食事を管理しなければ死んでしまったりします。いつもの生活を大きく変える必要があり、とても不便な生活に変わってしまうことが想像できるかと思います。そんな苦しみが、「栄養バランスを考える知識や余裕がなかった」「自分の好きなものを食べた」ということに対して「当然受けるべき報い」なのでしょうか。同じように過ごして糖尿病を発症していない人は、それに値するほどの罪を犯しているのに罰も受けずのうのうと生きている極悪人でしょうか。私には、とてもそうは思えません。

健康であることは人生にとって大切なことです。私自身、健康であるということはとても幸福なことだと思っています。実のところ私は糖尿病以外の部分でもあんまり健康ではありませんが……けれども、健康に気を使いすぎてちょっとした不摂生に罪悪感を覚える前に、肥満や病気を悪人の証拠だと思ってしまう前に、少し力を抜いてみませんか?あなたも周りの人も、少しくらいかまわなくたって、すぐに病気になったりはしないと思います。そして、食事の栄養バランスを考えて、適度な運動をして、たっぷり眠るようにして、どんなに気を使っているつもりでも、あなたは病気になるかもしれません。もしかすると、もっともっと健康に気を付けていればと後悔することもあるかもしれません。でもそんなとき、どうか自分のことを罰を受けるべき悪人だなんて思わないでください。そういう考え方でいたい人もいるかもしれません、でも私はそうは思いません。もしあなたが健康保険証を持っているなら、どんな理由で病気になってしまったとしても3割以下の負担額で医療を受けることができます。持っていないなら、ぜひ国民健康保険証を受け取ってください。国民健康保険料は収入によっては平均的な保険料の10分の1以下に減免してもらうことができます。治療費がとても高くなってしまった場合には高額医療費支給制度というものもありますし、働けなくなってしまったときには傷病手当や失業保険、生活保護だってあります。どうか、医療を受けてください。

最後に、あなたの健康ができるだけ長く続きますよう。あなたの病気が悪くならず、できることなら早く治りますよう。もしもこの先、あなたが病気になってしまう理由がなんであっても、私はそう思ってあなたの幸福を祈っています。それではみなさん、ごきげんよう。

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