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宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」読後感

滋賀県大津市を舞台にした物語。
主人公の成瀬あかりは一風変わった女子。

成瀬の地元である大津市におの浜は、私が前職で毎日のように通った、沢山の思い出の詰まった場所である。
西武大津店も然り。

ここの学区の特徴、情景描写、膳所高校の校風(数人の友人の出身校)。個人的には、まるでよく知る土地のとある知り合いの話を読んでいるように思えるほど、想像力の掻き立てられるお話。

一番面白かったのは、東大の見学に来た成瀬が抱いた「花火大会ぐらい人がいたな」という一言。
自分史上「人が多い(密度が高い)」を想像した時に浮かぶのは、毎年8/8に開催される琵琶湖花火大会である。大学も滋賀県内、社会人でも滋賀県に配属されたこともあり、8年くらいは毎年のように行っていた。
そしてちょうど3ヶ月前に上京した私もまた成瀬と同様、渋谷駅で待ち合わせた友人に開口一番「今日って花火大会?」と思わず聞いてしまったのである。
感度が成瀬と同じだ、と思うと、小説上の人物とは思えないほど嬉しい気持ちになった。(あと、私も冬の寒いのより夏の暑いのが好き。)

そんなふうに思う程、私はこういう成瀬のような一風変わった子が大好きだ。小さい頃から周囲の目を気にせず伸び伸びと育ち、楽しいことを実現するために自主的に学ぶことを好む子に多いような気がする。高校で(膳所高ほどではない)進学校に進んだときにも同じ感覚を抱いた。

私は昔から憧れの人を見つけると、その人の思考を真似るために、趣味や行動や見た目などから真似てみる傾向にあるのだが、今回は彼女が打ち込んだ競技かるたに興味を持ち、百人一首を読み返し始めた。

彼女がインスタアカウントを持っていれば、即座にフォローしたいところだなと思いました。(スマホを持たない高校生はSNSなんてやらないとは思うけど)

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