【弁護士が教える】著作権の正しい知識を得て仕事に役立てよう!【知る編】セミナーに行って来ました。

著作権に明るい弁護士さん2人(田島 佑規先生: 甘いもの好き、ほうじ茶好き。宇根 駿人先生:奥ゆかしいので何がお好きか分かりませんが、白桃アールグレイティーを飲んでらっしゃるお姿を見かけたことがあります )とグラフィックデザイナーさん(有柚 まさきさん: webデザイナーさんでもありイラストレーターさんでもあるマルチ・クリエイター。プリン好き)の3人のユニット、デザイナー法務小僧さん主催のセミナーに行って参りました。
デザイナー法務小僧さんについて詳しく知りたい方はこちらから ↓
https://d-kozo.com

制作していると避けては通れない著作権の問題。
「データを(無料で)くれ」と言われたり、著作権の譲渡契約をしていないにも関わらず制作したデザインを勝手に真似されかけたり……、クライアントさんは悪気なく、著作権に対する意識が低いだけの時があります。たまに悪意を持って著作権侵害しようとするヒトもいますし。そんな時に、きちんと著作権に関する説明ができたらよいですよね。
という訳でセミナーに参加して来ました。
今回のセミナーでは著作権の中でもクリエイターに関係する部分をフィーチャーして分かりやすく、お話してくださいました。


主なコンテンツは以下の通り。

A ) そもそも著作物とは?(創作性があるか)
B ) 著作者は著作者人格権と著作権の2つの権利をもつ
C ) 著作権は10個以上の権利からできている
D ) 著作人格権で言えること3つ


A ) そもそも著作物とは?(創作性があるか)

冒頭で、出し抜けに『ONE PIECE』のコミックを取り出す田島先生。
ツカミ、いけてますね!
「自分のものだからと言って『ONE PIECE』の漫画をスキャンしてネットにUPする行為が法に触れるのはなぜか?」を
分かりやすく説明してくださるところからスタート。

田島先生は、このコミックに対して「所有権」は持っているが、コミックの情報に対する権利である「著作権」は持っていないので
勝手にUPすることは、できない。

では、
著作権は何に対して生じるか?
    ↓
著作物に対して生じる。
    ↓
著作物とは何か?
    ↓
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」
簡単にいうと「創作的表現がなされているもの」
    ↓
創作的表現とは何か?
    ↓
作者の何らかの個性が発揮されているもの。高度な独創性や芸術性がなくても創作的表現と言えるので、子どもの落書きでも創作的表現→著作物と言える

著作物(創作的表現)の例
①言語の著作物………………小説、脚本、論文、講演など
②音楽の著作物
③舞踊、無言劇の著作物
④美術の著作物………………絵画、版画、その他の美術の著作物*デザインやイラスト、ロゴはこれに該当
⑤建築の著作物
⑥地図、図形の著作物
⑦映画の著作物
⑧写真の著作物
⑨プログラムの著作物………コンピュータ・プログラム

次に、著作物かどうかを判断するために著作物でないものをみてみよう。
①ありふれたよくある表現・デザイン
②事実、データ
③アイデア、着想
→猫の一人称で小説を書いても問題はない。猫の一人称で書くというのはアイデアにあたるものだから。
④短いフレーズ(題名、人名、キャッチフレーズなど)、シンプルなデザイン
→オリンピック標章(五輪マークの下にTOKYO1964と横書したもの)は著作物には当たらない、とされた。シンプルなマークの権利を保護したいなら「商標登録」を利用するという方法もある。


B ) 著作者は著作者人格権と著作権の2つの権利をもつ

著作物を作者である著作者が持つ権利は何?
    ↓
「著作権」と「著作人格権」を持つ
著作権………作品の財産的価値をコントロールする権利。譲渡可能。
著作人格権…作品に対する人格的価値の部分をコントロールする権利。譲渡不可。

著作権は共有できる?
    ↓
共有することがある
*共有となった場合、共有している全員の同意がないと著作物は使用不可。よく論文などで共同執筆の実態がないのに教官の名前をオマージュ的に共同執筆者として入れたりするが、トラブルの種になる。実態に即した著作権の表記をしよう。

著作権は譲渡できる?
    ↓
できる。ただし合意がある場合のみ。
お金を払って著作依頼をしたと言って、著作権は譲渡されない。
*デザインの公募に注意。ほとんどが著作権譲渡が条件となっているので。

著作権には期限があるの?
    ↓
著作者が創作をした時点から著作者の死後70年まで。
*保護期間が経過した作品は著作権フリー。ちなみに『クマのプーさん』(ディズニーじゃないオリジナルのほう)も今年5月に著作権が切れた。

他人の著作権を侵害するとどうなるの?
    ↓
訴えられるかも。
民事上の責任……差し止め、損害賠償請求
刑事上の責任……故意に侵害した場合。十年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金、またはその双方を科すという罰則が設けられている
        *路上でマリファナを売るより罰則は厳しい。


C ) 著作権は10個以上の権利からできている

何をすると著作権侵害になるの?
    ↓
著作権は大きな権利の束、それを侵害すると著作権侵害。

複製権
上演権・演奏権
上映権
公衆送信権……テレビやネットで放送、配信する権利
口述権
展示権
頒布権……映画の著作物を頒布(譲渡・貸与)する権利
譲渡権
貸与権
翻訳権・翻案権
二次的著作物の利用権……自分の著作物から作られた(二次的)著作物に対し、二次的著作物の著作者と同等の権利を持つことができる権利(翻訳・翻案権とリンクする)
→例えば、漫画『バガボンド』をアニメ化する場合、作者の井上雄彦さんだけでなく、基本的には原作の吉川英治さんにも許可を取らないといけない。
*ちなみに吉川英治さん、調べたら1962年にお亡くなりになってました。誰にも分かりやすい説明だったのでその点はスルー(笑)。


D) 著作者人格権で言えること3つ

著作者人格権って何?
    ↓
公表権…………自分の作った著作物を公にする権利
氏名表示権……名前を載せてと請求できる権利
同一性保持権…著作物を勝手に改変しないでくれという権利

例外的に著作権侵害にならないものは?
    ↓
<代表的な例>

私的複製
付随対象著作物の利用…………ディズニーリゾートで写真を撮ってミッキーマウスが写り込んでいても大丈夫。ミッキーマウスは付随対象著作物だから。
引用………………………………量的に引用されるものがメインになってはいけない。引用と引用していない部分がハッキリと分かるようにする。
営利を目的としない上演等……店内BGMは場の雰囲気を良くして集客を図っているため営利目的となり、これには当たらない。

[実際の事例紹介]
正直、侵害しているかしていないかの判断、微妙なものもあります。興味のある方は「マンション読本事件」などググってみてください。
「マンション読本事件」は著作権侵害か否かの判断の例によく出されるので、セミナー以前から知っていたし、イラストは覚えていたけど侵害してるかしてないかは逆で憶えていた私でした(汗)。

[質疑応答など]
有柚さんがクライアントから「これに似たタッチでイラストを描いてくれ」と言われたら「御社がこのイラストの著作権をお持ちですか」という切り返すと言うお話は非常にためになりました。

デザイナー法務小僧の先生方は、専門用語をできるだけ使わず分かりやすく説明してくださるので、ありがたかったです!もっと早くに出会いたかった(笑)。
質問もしやすい和やかな雰囲気でした。
これからもセミナー開催される予定なので、できるだけ出席したいと思います。
             

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