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「ごっこ」から「ショー」へ、そしてまた「ごっこ」へ

3歳の娘は今年度開校した軽井沢風越学園の幼稚園に通っている。いろんな年齢の子が混ざったグループで、一日中ほぼずっと外で遊んで帰ってくる。

娘は女の子戦士のアニメ、プリキュアが好きだ。最初はよくあるように日曜日8:30からのアニメを見始めた。そのうち、Amazon Prime、Netflix、Youtubeを駆使して、歴代のプリキュアのアニメ、映画、歌なんかを見るようになり、気づけば2005年から続くこのシリーズの全プリキュア63名(最近一人加わって64名、映画だけ出てくるプリキュアなどは除く)の名前と服装を制覇、オープニングとエンディングの曲も20ぐらい覚えてしまった。逆に、現在放映中のプリキュアはだんだんと見なくなった。

軽井沢風越学園は子供の「やりたい」をとことんまで大切にする幼稚園なので、そこでの遊びはすべて子供起点だ。

娘は入園当初「プリキュアごっこをやりたい」といって、プリキュアがわかる同じ年頃の女の子の友達を巻き込み、男の子を勝手に敵認定して(注)、「プリキュアごっこ」をしていたようだ。

でもプリキュアが好き、というのは、多くの場合、今放映中の「ヒーリングっど❤︎プリキュア」、もしくは1-2年前のプリキュア(「スター☆トゥインクルプリキュア」「HUGっと!プリキュア」)が好き、ということ。娘の場合、プリキュアごっこに、歴代プリキュアが乱れ打ちで出てくる。「今日はキュアサニーやったの!」といっても、それは2012年放映のプリキュアに出てくるプリキュア。他の子にはよくわからないだろう。

バナーの写真は、娘が描いた2014年放映「ハピネスチャージプリキュア」のキュアプリンセス。小4のいとこのお姉さんはわかってくれたけど。

そのせいか、だんだんと「プリキュアごっこ」遊びができなくなってきたようだった。娘がやろうといっても、のる人がいなくなったんだと思う。

「ごっこ」から「ショー」へ

ふーむ。こうやって、だんだんと社会を学んでいくのかなー、自分が好きなことを他の人が好きとは限らないもんね、切ないけどがんばれー、とか思っていたら、ある日先生(幼稚園では「○○先生」とは呼ばず、あだ名で呼んでいる。とても好きなところだけど、便宜上ここでは先生と書きます)が教えてくれた。

「○ちゃん(娘の名前)、プリキュアショー、やってくれたんですよー」「○くんは、アンパンマンショーで」

そして木の切り株の上にたって娘と○くんがショーをやっている写真を送ってくれた。その写真を見る限り、プリキュアショーとアンパンマンショーは同時開催のようだった。

そうか、ごっこができないなら、ショーをやってしまおう、と思ったのか!ごっこだと一緒にやってくれる人がいないと成立しないけれど、ショーなら一人でもできる。友達は見てくれなくても、先生は見てくれるだろうし。

その後、○くんの家に遊びに行く機会があり、そこでも「プリキュアショー」をやっていたが、娘がのりのりで歌っていたのは2005年放映初代プリキュア「ふたりはプリキュア」の歌だった。そりゃ、誰もわからんわ。観客がいようといまいと、気にせずぶいぶい歌っている。

そのうち、幼稚園の先生からもう一枚写真が送られたきた。みんなが集まる場で、前の椅子の上に立って、アンパンマンの子と一緒に(別々の歌を)歌っている写真だった。

ひたすら日々ショーをやっていたおかげで、ちょっと大きな機会をもらえたようだ。

そしてまた「ごっこ」へ

そして、昨日。娘はこういった。「○ちゃんと、プリキュアごっこやったのー。」

あ、また「ごっこ」ができたんだ。

そして、この「○ちゃん」は、少し年上のお姉さんで、これまで娘からそれほど名前を聞いたことがない子だった。娘がみんなの前で歌う「ショー」をみて、興味を持ち、娘の「ごっこ遊びをしたい」という希望にのってくれたのかもしれない。もしかしてこの子も歴代プリキュアを好きなのかもしれない。

自分がやりたくてそれを他の人と共有したいと思っても、他の人はのってくれないことは多い。そういう現実を学ぶのも貴重だと思う。でも、そこであきらめず、それが楽しいということを一人で伝え続けていたら、届く範囲が広がって、その中にまた興味に共鳴してくれる人がでてきた。それってすごいことだ。

あと、ひたすら「アンパンマンショー」を同時開催していた友達○くんの存在も大きい。別々のショーであっても、二人でやっていたから、続けられたんだと思う。

自分が楽しいと思うことをひるまずにやり続ける勇気とタフさ。

トピックやテーマは違っても、楽しいと思うこと、好きなことをやり続ける人がそばにいることの力。

「子供から学ぶことが多い」というのをあんまり言いたくないタイプなのだけど、でも今回の一連の娘の行動から、とっても大切なことを学んでいる気がします。

(注)このあたりのジェンダーの区別について、どう対応すべきかは日々模索している。「女の子がプリキュアだよねー」「男の子は敵だよねー」という娘に、「男の子でも女の子でもプリキュアになりたい子はいると思うよー」「敵が男の子とは限らないよー」みたいな、もごもごとした返事をし続けている。






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