見出し画像

濃すぎるアロマに御用心

昔、友人がリウマチになり使えなくなったアロマを大量にひきとったのだけれど、結局古くなっていたものもあり、さほど周りには配れずに処分しきれずに数年経っていた。全部処分したつもりが20本ほど残って箱に入れていたことに気付いたものの、蓋と瓶の分別が面倒で数日放置していた。

しかし、わりかし重めの香りなので、はやくやってしまわないと、みたいなきもちになり夕飯の支度をした後分別をしたり残り少ない中身を捨てたりしているうちにブラックペッパーなど香辛料的なアロマもあったからか大変な香りが家中にスパークしてしまった。

人工的な洗剤に比べたら頭は痛くならないものの、これではまずいと換気をしたり夜なのにコーヒーをいれてみたりして、すこし香りが薄まるのを待ったりした。

しかし、面白いのは香りは思い出を運ぶというが、なんの思い入れもないブレンドされたスパイシーなアロマを嗅いでいたら、すこし元気になってきた。テレワークで疲れていた神経が明らかにシャッキリとしているのが面白い。やはりアロマって働きかけるものが高いのかもしれない。これは新発見。
思い出のない強烈だが良質なアロマは神経を元気にする。

アロマをくれた友人はリウマチが酷くなり、アロマにもさわれなくなり、煩わしい人間関係もリセットしたかったのか、もともと自然が好きだったこともあり、SNSも辞めてしまったからいまなにをしているのかもわからない。
わたしも身体が痛みやすくなったから痛い人の気持ちはよくわかるし、さぞつらかったのだろうな、と思う。
この世の一つの醍醐味は、やり残したことをすることで、人間関係はそれに当たる気がするけど、たしかに自分は好きでも縁が切れてしまう場合もあるし、逆にさまざまな理由で疎遠になるように向かわせる場合もある。
去るものを追わない話を今日だれかがしていたけど、誰かにとってはわたしは去る人でもあるかもしれないし、どんなに好きな友人でも、なにか心境の変化で去られてしまうこともある。

昔は、去ることを知りながら、近づいて確認したこともあるし、合わないのを知りながら追いかけて確認したかったり、とにかく面倒なことをしていた。それもまたカルマだったり、パーパを返していたのかもしれないけれど、もし決まっていたことをしているのだとしたら淡々とするのが良いのだろうなあとちょっと俯瞰で観察してみたりも。

香りから離れてしまった話だけど、もし、過去の習性を変えたいなら、嗅いだことのない良質なアロマオイルをブレンドして、知らない気持ちになるとよいのかもなあとえもいわれぬ消えない香りを嗅ぎながら考えた。

ご支援ありがとうございます。noteでは主にファンタジーやSF的なショートショートを書いています。サポートしていただいた代金は、今後紙媒体にするための印刷代やデザイン費として使わせていただきます。どうぞよろしくお願いします!