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水平線と星が見える場所


仕事や家族のことを考えずどこでも住めるのなら、水平線と星がきれいに見える場所に、私は住みたい。

数年前、何も調べず旅行中に訪ねた和歌山県串本町大島。
本州最南端の潮岬より、1キロ東に位置する。

断崖絶壁に立つ灯台に上って海を見たとき、それまでのモヤモヤした気持ちが一気に吹っ飛んだ。

180度見渡す限り一面の、真っ青な海と水平線。
広い太平洋。
波の音しか聞こえない。
なんてきれいなんだろう。
言葉を失い、時間を忘れるくらい見とれた。
地球はやっぱり丸いのかなあとしみじみ感じた。

この樫野崎灯台に向かうまでの道沿いに、トルコ記念館や慰霊碑が建っている。


1890年、トルコのエルトゥールル号が樫野崎沖で岩礁に衝突し、沈没した。
多くの乗組員の方が海に投げ出されたが、大島の人々が献身的に救助、看病し命を救ったと知った。

このことがきっかけで、トルコが親日国になったと言われている。

そんな歴史のある灯台で水平線のずっと先を見つめていると、とても不思議な感覚になる。
なんでもできそうな気分にもなってくる。

あれ以来、いろいろな海岸を訪れた。
そのうち、海に近い場所に住みたいと思うようになった。

気の向くまま海岸を散歩したり、毎日水平線を見に行くことができたらどんなにいいだろう。
旅先で気ままに眺めるのと、実際に住むのでは大きな違いがあるとは知っているが。

2年ほど前に近所の図書館で見つけた沖縄の写真集。
慶良間諸島、宮古島、池間島、来間島。
青く澄んだコバルトブルーの海の色と水平線。

毎日写真集を眺めながら行ったこともない宮古島に憧れた。
旅行を計画し飛行機も予約したがいまだ叶わず。

まだ高校生だったころ、8月に山の中腹で運動部の合宿があった。
夜に皆で外に出たとき、すごくきれいな満点の星空に圧倒されて、全員地面に寝ころび見とれた。

頭上の右から左、上から下に大きな帯をかけたような天の川。
毎秒落ちていく無数の流れ星。

今思えば、あれはペルセウス座流星群だったのかも。
あれから流星群の日に何度も夜空を眺めたが、自宅からでは今まで1個か2個見れただけ。

日々の暮らしのなかで、水平線と満点の星空が見えるような場所に住みたい。
青いグラデーションの海の色と、沈んでいく真っ赤な夕日を時間にしばられず見ていたい。

できれば宮古島にいつかは住んでみたい。
たとえ2,3年でもいいから。

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