Riki<力>


如何に考えるか…
それがとても大事な気がする。

★。、::。.::・'゚☆。.::・'゚序章 ドミニク・ピテクスに関する報告★。、::。.::・'゚★。、::。.::・'゚☆

ドミニク・ピテクスは高校生である。

両親を早くに失い、国の特別奨学金により一人で生活している。

一度、死にかけるが、奇跡の復活を遂げた。
その時から、脳波に異常をきたし、そのためかIQが上がり天才とよばれるほどの知能を有する
ようになった。

自分の頭に数個の脳腫瘍があるため、時として、頭痛・嘔吐・失語・運動障害・性格変化
などが起こる。

だが、本人は自覚していない。治す金もないらしい。

そして、ドミニク・ピテクスの頭の中(脳の中)は、過去~現在~未来のあらゆる時空に干渉できる
システムになっており、彼の脳で考えることは、必ず、過去~現在~未来のどこかで実体化
もしくは実行される。

が、たまに、邪魔が入る(三度に一回くらい)のである。
(原因はクラティスという転生したドミニク・ピテクスであるが)

また、彼は、歴史上の人物(死んでいるか、ドミニク・ピテクスより先に死んでゆく人に限るが)
とコンタクトでき、ある一定以上の力(体力・持久力・霊力・妖力・魔力・法力・気力・筋力など)
を超えると、それに見合う人物を自分に「降臨」させ、その人物の能力を取り込むことができる。

しかし、1/2の確率でしかない。

残りの1/2の能力は瀧・鬼瓦・乱雲という妖木人とクラティスに吸収される。

が、取り込まれる人物は、歴史上から抹殺され、妖木人というものにされた後、ドミニク・ピテクスの
駒として、過去~現在~未来でいいように使われる。

(妖木人とは、歴史の陰で蠢く「辻褄合わせ」のような存在なのだ。
しかも、存在していた証拠を残さないだけの力(能力)を持っている。)

が、ドミニク・ピテクスは、妖木人の元祖だった。
彼も実は、駒の一つだったのだ。

つまり、ドミニク・ピテクスを妖木人にしたのは、少し未来のドミニク・ピテクスで、
その少し未来のドミニク・ピテクスを妖木人にしたのは、さらに未来のドミニク・ピテクスで・・・
という訳である。

しかし、それでは行き着くところは、ドミニクが死ぬ直前の彼自身が全てを操っているということ
になるが、死にゆくドミニクもまた、妖木人であったのだ。

彼……ドミニク・ピテクスが誰であるのか、いや、何であるのか……

そして、ドミニク・ピテクスがこれからどうなるのか……

それは、誰も知らない……

..........ドミニク誕生について........

ドミニク・ピテクスは生まれながらに痴呆症であった。
逆に、痴呆症でなければならなかった。
というのは、彼の記憶は彼が知覚できる場所にあってはならなかったからだ。

...........迫る妖木人.................

妖木人は集団を嫌うが、よく集団で一人の人を襲う事が多い。
一見、矛盾しているが、とても理に適っており、ベースが人間である妖木人は
集団を形成するのが本能であり、植物(木)としての本能が普段は憑依しているため、
普段はある一定の距離を好む。

..........仮初と本性の狭間で.............

仮初の人生である現世でない自分の人生。来世や前世の仮初の自分。
未来や過去など仮初でしかないのである。
一方、本性である現世。

しかし、時として仮初が強いのが世の常である。
本性と仮初の狭間で生まれたドミニク・ピテクスとクラティス。
彼らの人生は嘘なのか本当なのか?
案外、嘘でも本当でもないものなのかもしれない。

★。、::。.::・'゚☆。.::・'゚第一章<幻>★。、::。.::・'゚★。、::。.::・'゚☆

最近、彼はアルバイトを始めた。
コンピュータ会社<AZ>のプログラマの補佐である。

彼にしてみれば、造作もない仕事内容であるが・・・・。

彼は、100個の言語を扱えるのだから(コンピュータ言語を含む)
同時に、彼はPC同好会という高校のクラブに入る。

なにやら、いろいろ商売にも絡んでるとう噂があるからである。
今日、AZ(バイト先)のうち合わせがあった。
先輩プログラマー(?)の木差氏が彼にいろいろ手伝う内容を教えてくれた。
彼は、砂が水を吸うかの如く、どんどん吸収し、
先輩曰く、
「水を得た魚だねぇ、君はスポンジかい?」
といった感じだった。

3日で先輩・木差氏を追い越した。
否、本当は木差氏の能力を判定するのに3日かかったのだが。

木差は驚いて、
「君は天才少年かい?うまれながらに特殊訓練うけてるなぁ」
とふざけながらも感心したようだった。

彼・ドミニクの時給は300円上がる。

一方、彼はPC同好会にも週3くらいで顔をだす。
そこの副部長はなかなかのプログラマーであるが、 30分でだいたいの副部長の
アルゴリズムを彼は理解する。

彼は、副部長のソースコードをスクロールの最大速度で流し読みしたのだった。
彼は、速読にも秀でていた。

ある日、会社の社長がやって来て
喫茶店に行かないか?といわれた。

「はい、喜んで」
彼・ドミニクは喜んだ顔を創ってそう回答した。

喫茶店で・・・・。

「君の能力は凄いようじゃないか」

「木差がいっておったよ」

社長が勢いで話してくる。

「いえ、プログラマーの手伝いですから・・・」
とこたえる。

「いや、私の会社では無断欠勤するものやデバックばかりしている先輩もいてな、
君はなんと自作のOSまで作ったそうじゃないか?」

社長が吼える。

「いえ、大したものじゃありませんから・・・・」

彼・ドミニクがいうと、社長は

「何故、高校生だからといって、分相応の扱いがされてはいけないんだ?」

と囁く。

それは、彼も、常日頃から思っていたことだった。

「そ・・・・そうですね。確かに」

彼は、そう呟く。

「君の給料は月固定の19万だすよ。残業代もつけるぞ」

社長はぼそぼそといった。

「有難うございます」

彼はそうお礼をする。

ただ、何故そんなに社長が優しいかはまだそのときは判らなかった。

打って変わって、高校のPC同好会ではPCに関係ないが、小説<zxx>について
の説明本みたいなものを製作中である。売り方は全国の各中古屋にその本を
置いてもらうというものだった。

zxxは彼も、好きな小説である。
そう、彼に唯一欠けた才能・・・・それは、小説を書く才能である。
論文なら得意なのだが・・・・。

彼は、zxxのコラムを書くことになった。
評論は得意なのだ。

その内容に困っていたとき、歴史の時間の後、教師に呼び出された。
呼び出したのはアローゼナ・歴史教師であった。

「家にきてよ」
歴史教師の彼女はいう。

彼は肯く。

家に着くともう二人いる。

歴史教師の妹トリフェジノと担任のブラックバスタ先生である。
が、担任は眠っている。

何故だろう?と思ったが、敢えて触れなかった。
お茶を一杯いただく。

そして、幼木人の話・・・・・・を話だした。

★。、::。.::・'゚☆。.::・'゚第2章<深層>★。、::。.::・'゚★。、::。.::・'゚☆

それを歴史の教師・アローゼナとその妹トリフェジノ(実は、精神科医)
という姉妹から知ったドミニク・ピテクスは未来の自分にいいように使われることに対して憤りを感じ、
どうしようか悩み、彼女らに相談する。

いろいろ話してみたが、アローゼナは「それが、運命だったんじゃないの」と一辺倒だし、
トリフェジノは「頑張るのよ」とオウム返しにいうだけであまり親身になってくれない。

そして、彼は何より、未来なんてなければいいと強く思った。

アローゼナは
「そう、だったらやっぱりこうするしかないわね」
というと、

そのときの彼の心を察したのかは定かでないが、突然、アローゼナの右手から丸い物体が出てきて、

逆に左手は担任のブラックバスタ先生を飲み込んでしまった。
(人一人を過去・未来から召喚するには、現世の人を一人消さねばならない)

丸い物体は左手が人を吸い込み終わると同時に巨大化し、人の形となった。

アローゼナが「久しぶり」というと、人らしきその物体は「よぉ」と答えた。

彼は、クラティスと名乗った。そして、ドミニク・ピテクスは未来でドミニクが死んで
転生したのがクラティスであることを知る。そして、本当の自分を取り戻す
ため、クラティスと一緒に旅にでる。

が、3日後あたりでクラティスが瀕死の重傷を
負い、ドミニク・ピテクスは体の電気抵抗が減少し電流量が増大したことによって
全身麻痺になったため、クラティスがアローゼナとトリフェジノらを
テレパシーで呼び寄せ、アローゼナはバイオ・テクノロジーを駆使した治療
をクラティスに施し、トリフェジノは「精神安定剤だよ」といってドミニク
に服用させた。

(実は、妖木人の種だが)
こうして、二人ともなんとか完治したのだが、トリフェジノはドミニクを
アローゼナはクラティスを心配し、旅に同行することになった。

しかし、ドミニク・ピテクスには現実世界の生活もあったので、夜だけの旅となった。
夜、クラティス達が迎えにくるのである。

昼間のドミニクは活発だった。

彼は、特別特待生であり、高校も帰りたいとき帰れたので、
彼はHRだけでて、残りの午前中はAZでOS作り&改良に取りかかって
いた。随分、会社の人達にも認められ、給料は20万を超えていた。

木差曰く、
「君は怪獣だねぇ」
といった感じだった。

あながち嘘でもないのだけれど・・・・。
夕方になると、PC同好会に顔をだした。

彼のコラムはそこそこ好評だった。
zxxは彼の好きな小説の一つだったので、
小説の内容と現代・過去・未来との関わりについて書いた。

もはや、それはコラムではなかったかもしれないが・・・・。
また、PC同好会では「ゲ-ム製作」を計画していた。

彼は、バイトで培った(?)ノウハウも試したかったので、参加希望した。
ちょうど今日が締め切りだったので、いきなり、初回会議が開かれた。

彼は、「アシスタントプログラマー兼アシスタントシナリオライター」になった。
人数が少ないのと、コラムや副部長の評価が加味されていた。
「シナリオライター(アシスタント)か・・・・」

内心、彼・ドミニクはあまり自信が無かった。

が、ストーリー全容は決まっているみたいだったので安心した。

その日は、真っ直ぐ帰った。
だれもいない家へ。

彼の収入は学校から13万+会社から21万+zxxがらみの売上配当1万の計45万と十分な金額だった。
が、クラティス達との旅には、ダイヤや金が必要なのだ。(路銀・・・)
まだまだ、稼がねば・・・・。

彼は思った。
夜8:00。
クラティスが来た。
お出かけの時間だ。
いつも通りに夜の時間が来た。

クラティスは時空をテレポートできる能力を持っていた。アローゼナはクラティスの移動できる
時代・場所を特定させる能力を持っていた。

トリフェジノはドミニクの精神が異常になると、それにあった薬
(妖木人の種)をどこからともなく出して、彼を治していた。

彼女は、妖木人の女性の中でも「唯一純粋母種」とよばれている人間の男性ホルモンが全くない完全な
女性の妖木人の種子を生み出す唯一純粋母種の母的存在だったのだ。

クラティスは、ドミニクに、様々な時代の妖木人を仲間にして手がかりを得ようと提案した。
アローゼナは「危険だ!」といって反対し、クラティスと一戦交えることになる。

トリフェジノが止めに入る。が、吹き飛ばされる。
ドミニクもとめに入るが腕を切られてしまった。「ドミニク・ピテクス!!」とトリフェジノが叫んだ時、
彼女の手の上に大きな円盤が現れた。

光武器「メッサ」である。

メッサがあらわれるとドミニクの腕はメッサと合体した。
メッサが強く輝きだす。

と、クラティスもアローゼナもその光で正気に戻った。

ドミニクの腕をアローゼナが蘇生させる。蜥蜴種という種を植え付け、ガン細胞を加工したもので培養して
蘇生するのだそうだ。
クラティスは未だ少し、興奮していたので、トリフェジノが「精神安定剤」を渡した。それを飲んだ
クラティスはかなり落ち着いたようだ。

そんなこんなで、結局は冷静さを取り戻したクラティスの提案で、妖木人捜しの旅が始まった。
ドミニクは夜だけだが・・・・。

昼間の生活・・・・PC同好会では「合宿」に入った。ゲーム製作の・・・・。

彼・ドミニクは昼間だけだったので、徹夜組に差し入れなどの世話を焼かなければならなかった。
「ちっ、金はいくらあっても足りないのに・・・」
内心、彼はそう思っていたが。

しかし、彼もシナリオライターとして、絵コンテやセリフなど順調に仕上げていった。
イベントを記述するスクリプトの製作・打ち込みもやった。
会社では、
「雑用が好きなんです」
と誤魔化し、会社のいろいろな情報を集めたりもした。

そのうち、大きな力を持った妖木人は過去を取り仕切る「瀧」という人物と、
未来を取り仕切る「鬼瓦」という人物と、現在を取り仕切る「乱雲」である
ことが、判明した。

しかし、彼らにはクラティスは見えるが、ドミニク・ピテクスは見えない。

その理由は、「瀧」も「鬼瓦」も「乱雲」も、ドミニク自身だったからだった。

つまり、ドミニクは彼らに(瀧・鬼瓦・乱雲)に今まで知らず知らずのうちに「力」を吸われ続けており、
彼らに近づくと、ドミニクは霊体になってしまい、肉体は、新たな妖木人の肉体となるのだ。

つまり、ドミニクは瀧・鬼瓦・乱雲のエネルギー源というわけである。

それを知ったドミニクは、彼ら(瀧・鬼瓦・乱雲)とのコンタクトは、クラティスとアローゼナにまかせる
ことにした。

そして、そこでクラティスと別れ、ドミニクはトリフェジノと自分の時空間に帰る。
(実は、彼は彼女に初めてあった時、「封印」を使い、彼女の心を「日記」の中に封印し、精神を
支配していたのであった。

彼女の心も読める。彼女はドミニクに好意を寄せているようだった。
本心かどうかは定かでないが。)

そこで、異変が起きた。

ドミニク・ピテクスの脳腫瘍が、ドミニクに話かけてきたのだ。
そして、彼(脳腫瘍の一つ)は、自分は「神」だと言い放った。

ドミニクには、4個の腫瘍があったが、彼ら(脳腫瘍)は、それぞれ、
「喜の神」、「怒の神」、「哀の神」、「楽の神」らしいことがわかった。

そして、最初に話かけてきたのが、脳腫瘍ではない「驚の神」であることが
わかる。
彼(驚の神)は、ドミニクの心臓の腫瘍であることがわかった。

実は彼は心臓にも腫瘍でもあったのである。彼ら(神々(腫瘍))は、「神」と名乗ったが、本当は、

この世にある5個の宇宙の覇王であった。

中でも、驚の神は、ビッグバンを起こす能力を持っているという。
ビッグバンを起しているからこそ、ドミニクは天才でありえたのだが。
(脳をフル回転させつづける力の源は驚の神の力であった)

そんな彼ら(神々)が、ドミニクの腫瘍となり、彼に憑依したのは、彼の力が欲しいためだった。

ドミニク・ピテクスは喜怒哀楽驚の神に体をのっとられる。
傍にいたトリフェジノが彼の攻撃の標的となる。

そして、戦闘態勢へ。

トリフェジノは安定剤の種(腫瘍であり、普段は薬の形に擬態させているもの)
をドミニクの左目に投げつける。目潰しと精神安定の効果を狙ったのだ。
が、効果は薄く、再び攻撃を仕掛けてくる。

しかし、遠近感はないようで攻撃はかするくらいだ。
右に左に飛んでかわすトリフェジノ。
そこに、クラティスとアローゼナが現れ、神々を封印しようとする。

クラティスは光武器「アマテ」に自分の腕を合体させ、光武器「テラス」を生成し、その時発生する
「癒しの光」でドミニクをなだめ、ドミニクがトリフェジノに使った「封印」をドミニクに使った。
クラティスは「古い辞書」にドミニクの精神を封印した。

そんなこんなで、ドミニクはいろいろ大変だった。
昼間の生活・・・・PC同好会では、zxxがらみの本が売れ行き好調で会員はウハウハ
(謎だが・・・)だった。

「ゲーム製作」もデモ版・デバックあたりまで来ていた。
シナリオ書きもかなり慣れてきて、メインシナリオライターが「おっ」というような絵コンテや
追加シナリオを書けるようになった。

プログラムもおもったより難しかった。

なにより、彼はブラインド・タッチが出来なかったから(何故か?)、
打ち込みが遅いというのもあったが・・・・。

会社では、社長が毎昼、御馳走してくれた。
おかげで、随分、頑張ることが出来、ボーナスまで貰えることになった。

実は、社長宛てのメールの内容やPCのデータなどをディスク(ドミニク特製・99GBの容量の
ディスク20枚分くらいの容量の未来のディスク数枚)
に保存してあるのだが・・・・。

彼は、産業スパイ並のことをしているのに気づいていなかった。
そんなこんなで、また、夜がくる。
クラティスがやってきた。

開口一番、クラティスは、ドミニク・ピテクスに「Y・POWER」

という力の存在を知らせる。
「Y・POWER」を使わない限り、封印した神々は蘇るというのである。
「Y・POWER」を使う相手は、魔界(未来)・妖界(現在)・霊界
(過去)で瀧・鬼瓦・乱雲が戦っている8大将軍(4天王と4将軍がいる)たちだ。

実は、その四天王こそ喜怒哀楽の神の妖木人になった姿で、四将軍のうちの

一人が驚の神の妖木人になった姿だったのだ。

しかし、彼ら(神々)は、神というだけあって、本体をかろうじて種(腫瘍)
として存在させ、生命体に寄生して生きてきた訳である。

ある時、地球に自分たちを種(腫瘍)にしたドミニクがいることをクラティス
のテレパシーで知り、ドミニクに寄生したのだ。

なにはともあれ、ドミニクは「Y・POWER」を使って、神々を倒すことを
決意する。

一方、昼間。会社では、特別社員として迎えられ、
社員証も貰った。

「これで、アクセス(?)し放題だ」

彼は内心ほくそえんだ。

早速、社内LANをクラッキングし、社員全員のデータを
未来のディスク(メディア)に入れた。(装置(デバイス)は旧時代のMOと
同じであるので怪しまれない)

ドミニクはAZのHPも任されたので、尚更、好都合だった。
PC同好会では、「ゲーム製作」も終盤に入り、

説明書の作成、広報に入った。

最終デバックも行われた。
が、彼・ドミニク・ピテクスの場合、単なる修正指摘&修正ではなく、

仕様変更やアルゴリズムの変更まで一人で行っていた。
副部長曰く、
「お前、全然、アシスタント(プログラマー)じゃないじゃん」
・・・・・確かにそうかもしれない。
それで、今日も夜がくる。

クラティスが
「ぶぅうん」
と、空間を切り裂いてやってきた。
お迎えだ。

そして、その神々がドミニクの力の源であったことをクラティスより知る。
神々を倒せば、ただの平凡な人間になってしまうことを知ったドミニクは決断
をせまられるが、「Y・POWER」を使うことにする。

「Y・POWER」はドミニク・瀧・鬼瓦・乱雲が一時的に融合することで、
発動する。だが、彼らが一つに融合した時、「きっかけ」をあたえるはずの
クラティスが驚の神と融合してしまう。
そして、クラティスと驚の神の融合した「バスタリューク」はアローゼナと供に、何処かにテレポート
してしまった。

ドミニク・瀧・鬼瓦・乱雲の融合は解けてしまったが、ドミニクの霊体が瀧・鬼瓦・乱雲に力を与える。

瀧は竜神、鬼瓦は鬼神となったが、乱雲(実は、半妖)は神人となった。三人は喜怒哀楽の神々を倒す。
が、「バスタリューク」はどこにいったかわからない。

ドミニクも消えた。
そして、暫くたった。

神人は喜怒哀楽の神々を喰らい、竜神と鬼神を連れ、トリフェジノと供にテレポートする。

そして、バスタリュークとの戦いが始まる。が、竜神・鬼神が先に力尽きる。

トリフェジノは二人を復活させるべく、再生能力の高いの種を寄生させるが、
神人は、再生中の竜神・鬼神をも喰らってしまう。

そして、未完成「Y・POWER」が発動する。
バスタリュークは、クラティスと驚の神に分離する。

実は、クラティスの心臓も驚の神に支配されていたため、強制融合してしま
っていたのだ。

クラティスは我に返る。

そして、ドミニクは驚の神の妖木人になっていたことをクラティスからのテレパシーで知る。
(ドミニクはこの時点で実体がないため、テレパシーで交信)

この時点で、ドミニクの本体(腫瘍であり、もともとは種)は、神人の心臓に寄生している。
驚の神こそが、ドミニクを妖木人にしていた張本人だったのだ。

そして、彼・驚の神こそがAZの社長であり、ドミニクの弟のなれの果てであった。
「兄貴、すまねぇな」
驚の神がこぼした。

エピローグ
★。、::。.::・'゚☆。.::・'゚エピロローグ<再生>★。、::。.::・'゚★。、::。.::・'゚☆

クラティスは、神人に「きっかけ」を与え、本来の「Y・POWER」で驚の神を抹消しようとする。
驚の神は、ビッグバンを起こして、それに対抗する。

本当の「Y・POWER」とは、実はブラックホールのことだった。
そして、ブラックホールは全てを無に帰した。

だが、ブラックホールはトリフェジノが媒体となることによりホワイトホールにつなげられた。

ブラックホールは何か媒体がないと逆の属性・ホワイトホールにはならないのだ。連結部分が媒体・

トリフェジノという訳である。

トリフェジノはワームホールの一部となった。

驚の神のおこしたビッグバンの作用もあって、新たに長い年月をかけて世界を造りだしていった。

そして、ドミニクは、また生まれた。今度は、平凡な人生が待っていたが。

後悔
★。、::。.::・'゚☆。.::・'゚<後悔>★。、::。.::・'゚★。、::。.::・'゚☆

生まれ変わったドミニク・・・・家族に囲まれ一見、楽しそうな生活。

だが、家族全員が宇宙の五覇だった(父・母・弟・兄・姉)。

トリフェジノからそれをきいたドミニクは突如、前世の記憶を取り戻す。

驚の神(少し前まで、姉だった人)も現れ、動揺する彼。

激しい後悔に苛まれる(前世の自分の行動への後悔・・・・)。

そして、クラティスと名乗って前世の自分を助けるべく、修行の旅へ。

クラティスはこの時点で<妹>という存在であり、下に弟がいて上に姉・兄がいる。

姉が驚の神として目覚め、彼女は自分を神と信じるようになる。

クラティスは<男>としての自分を認めたくないのだが、ワーム・ホールの代わりをドミニクに任せて、
こちらの世界に来たというトリフェジノの話を聞いたクラティスは・・・自分は誰なのか?
という素朴な疑問に陥る。

トリフェジノがぼやく。

「あのね~~。私はなが~い間、ワーム・ホールっていう何にもないトコに一人でいたんだからさ~。
ま、性格もかわったけど・・・
あんたが誰かなんてわすれたけど・・・もう・・・私を媒体にしないでよね~~。
あんたのせいでもあるかもよ~」

「え?」

「つまり。別次元の・・・っていうか前世のアンタのドミニク・ピテクスの影響力・・っていうか、存在力?
みたいのが強くて・・・・
ま、要するに、アンタがだらだら生きてたから、前世の力の方がメインになって、
アンタの存在が前世に食われるっていうの?
あ~説明難しいんだけどさ~。っていうか、アンタがクラティスなら、テレポートとかできる訳よ。
で、前世以上の能力を持てるハズなわけ。
だからさ~、修行ね。OK?」

「え?君が師匠なの?」

「いやぁ。正確には私の来世:アローゼナなんだけど・・・」

「え?」

「つまりは・・・ま。私の今の妹なんだけどね。表向きは「姉」になってるけどさ~」

「ややこやしいね」

クラティスは唖然としてしまった。

トリフェジノは自分がドミニクのサポート(?)にまわるらしいことをいっていた。
クラティスも前世の記憶で、「なるほど」というところがあったので、なんとなく納得した。

そして、唐突に・・・
「修行って空手?」

とクラティスはいつのまにか訊いていた。

「え?」

・・・トリフェジノは驚いた。

「んん。ま、それもいいんだけど・・・要は精神修養だわ。」

「とりあえず、集中力アップね。」

「私が「正拳突き」をくらわすから、しっかりその身体でうけるの!
わかった?」

「え?」

「どういうコト?」

トリフェジノは驚いて

「何いってんのよ。ドミニクは身体が弱いから代わりにクラティス!! アンタが強くなんなきゃ
ダメじゃないよ。」

と言い放った。

「そうなんだ・・・」

クラティスの「記憶」は曖昧なようだ。

「いくよ!」

そして、「死闘」が始まった。

サンドバックと化すクラティス・・・・。

胸も臀部もボコボコになり、男か女かさえわからなくなった。
酷いありさまである。

「こほっ・・ご・・ゴ」

クラティスが死にかけたとき・・・。

「さぁ、もっと集中して!」

トリフェジノがいった。
集中?なにをいってるんだ・・コイツは・・・。
と思ったが、とりあえず、集中してみた。

クラティスは剣道を少し齧っていた。
漫画でみた・・・半身の構えをイメージしてみた
(クラティスは剣道の師匠より、某漫画を頼りにしていた・・・)。

半身とは読んで字の如し・・・半分しか構えず、受け流して攻撃する構えと勝手に解釈している。
返しワザは剣道では「にのたち」といって重要なのだ・・・。

「集中・・・丹田に寸田・・・」

意味不明な言葉をクラティスは口にしていた・・・。
その時。

トリフェジノは
「やったか!」
と笑いながら、一発蹴りをいれてきた。

その蹴りを斜め左にかわし、トリフェジノの耳に掌打をくらわすクラティス。
トリフェジノが地面に這いつくばる。
「今だ!」

トリフェジノが叫ぶ。
「え?」

クラティスが唖然とするところを
鳩尾にトリフェジノの掌打が入る。

そして、クラティスが勝手に話しだす。

「アローゼナ生成・・・」

トリフェジノの左手にクラティスは吸いこまれ、右手からアローゼナという未来の人が現れる。

ついで・・・と言う感じで、吸いこまれたハズのクラティスも右手から出てくる。

暫く、呆然とする3人。

クラティスは自分が完璧に<男>に変化したのに気づく。

「真のクラティス、誕生か・・・」

アローゼナ(右手から出てきた人)は囁く。
「ドミニク=ピテクスはどうなるの?」

クラティスが訊く。
トリフェジノが言うには

「うーーん。ややこやしいけどね。
君・・つまり、ドミニクのことを前世の記憶として知ってる・クラティス
がまずいるだろ。それで、クラティスとであったドミニクもいるわけ。

ま、ややこやしいから端的にいうと、クラティスもドミニクも過去・現在・
未来にそれぞれ3人・・つまり、君が6人いるわけよ・・・でさ~
転生しきったのが君の姉だった・・・驚の神ってわけ。

あ、だから7人か・・・」

ということらしい。

7人について、アローゼナがいうには
「鬼瓦・瀧・乱雲ってのが君の前世・ドミニクの3人で、
アローゼナ・トリフェジノ・セレネーンってのが今の君クラティスの三人なわけ。わかった?」

判るはずがない・・・・と内心思ったが。

「わかったよ・・・」といっておいた。

こういう対応も時として重要なのだ。
嘘も方便である。

「セレネーンって誰?」
クラティスは不意に訊いていた。

「ん?」

「ああ、どうやら「セレネーン」の記憶はないみたいだな」

アローゼナはぼやいた。

説明しよう・・・とトリフェジノが説明しだした。

要はセレネーンとは付け足し(?)らしい。

付け足しというか、トリフェジノは尊敬してるらしいのだが・・・。
付け足しとうのは「追加メンバー」みたいなもので、
次元の門番であった「トリフェジノ」(この頃はワーム・ホールの一部)をドミニクと入れ替えた
功労者でもあり、魔族と半妖という妖魔の血と人間の血をもってクラティス(チームみたいなもの
らしい・・・)の一員として存在しているということだ。

ま、簡単にいうとアローゼナもトリフェジノもセレネーンもクラティスの仲間ということだ・・・
という締めくくりだった。(トリフェジノの説明・・・)

チンプンカンプンだ・・・クラティスは思った。

クラティスは一つ疑問に思ったことがあった。

「過去・現在・未来に俺(クラティス)とドミニク・ピテクスがそれぞれ3人X2の6人と俺が転生仕切った
驚の神がいて全部で7人の俺がいるっていったが、それには俺(クラティス)とドミニク・ピテクスが
入ってないんじゃないか?
俺と前世の俺をあわせりゃ、9人だろう?」

アローゼナが鼻で笑って、

「アンタ達は「例外」なのよ」

と放つ。
「何?」

幾分、不完全な頃のクラティスとは違い気性を露わにしたクラティスが疑問を投げかける。
トリフェジノが相槌を打つ。

「あんた、まだ、古代の記憶が封印されてるわね。だからか。」
「何だよ。それ?」

問いただすクラティス。
こういうことよ・・・・とアローゼナがクラティスの米神に刺激を与えるため、指を穿つ。

米神とは、「こめかみ」の事で米くらい安定した力を持った神が「こめかみ」に宿るという
言い伝えがこの世界にはあるというところからきている。

「ゲッ、ゴゴ」

思わず気味の悪い声を出すクラティス。
米神から血が出る。
「どう?思い出した・・・・?」

アローゼナが訊く。

暫く、ゼエゼエと喘ぐクラティス。
アローゼナとトリフェジノが遠目に見守ること数十分。
「わかった。」

クラティスは輝くように呟いた。

「要は奴ら・7人の運命は運命予定の法則によって「あらかじめ決まっている」のに対し、俺(クラティス)
とドミニク・ピテクスは予定外の産物なわけだな・・・」

「創造主の戯れというわけさ・・・・」

「戯れで「神」など創るなってな~」

「要するに、俺とドミニクには運命がない。ドミニクが俺になるかどうかも今や、
不確定ってわけだ・・・」

「㌧だ前世に来世だな」

「余計な記憶だけ「山ほど」ありやがる」

ふーんとアローゼナが割ってはいる。
「大分、わかってきたじゃない。」
「誉めてあげるわ」

冷めた口調でいうアローゼナ。
「そこまでわかったなら、私達(トリフェジノ&アローゼナ)はもう用無しね」
トリフェジノが諭す。

「私達は、早速、今一番力のある時空にいくため、セレネーンに会いたいの。
わかるでしょ?」

アローゼナが痺れを切らして言う。

「ああ。そういうことか。」

クラティスは暗黙の内に了解した。

クラティスは時空をテレポートできる能力をもっている。
アローゼナはその時代・場所を特定できる能力をもっている。

クラティスとアローゼナはセレネーンのいるy・POWER発動直後の2001年の某所にやってきた。
実は、この時点でトリフェジノはここに来る前の元々いた時空に取り残されているのだが。

神人がy・POWERを使って驚の神のビッグ・バンに対抗している。

そして、全てをB・H(ブラック・ホール)が吸いこむ。
しかし、この時、セレネーンが現れ、クラティスとアローゼナを助ける。

クラティスとクラティス、アローゼナとアローゼナ・・・4人助けられた訳だが古い(?)クラティスは
ドミニクに、古いアローゼナはトリフェジノに代わる。

新たに生成されたドミニクにセレネーンは「何れ、貴方・ドミニクがトリフェジノの代わりに
ワーム・ホールの一部となり、やがて、「瀧」という過去を取り仕切る妖木人になる」
ことを告げる。

また、新たに生成されたトリフェジノに「今、ワーム・ホールに君・トリフェジノがくみ込まれている、
そして、やがて、君・トリフェジノは私・セレネーンになる」ことを告げる。

トリフェジノが質問する。
「え?じゃ、私がセレネーン・貴方になったとき貴方は誰になるの?」
「君の一部となる。」

「私の一部となるって事はどいうこと?」

「そうだね~。私はセレネーンの武器:腰巾着マカルナになるんだ」
セレネーンは静かに佇んでそう言い放った。

「武器になるの?」
トリフェジノは訝しげに囁いた。

「武器っていうのは、魂を封入させなければ・・・・というか、
生き物なんだよ。」

傍らにいたアローゼナがそう上の空で呟いた。

「そうなんだ」

ドミニクが吠える。

「俺がトリフェジノの代わりになるって?」

「ああ、そうだとも」

セレネーンがさらっと流す。

「アタリマエの事じゃないよ」

アローゼナが諭す。

クラティスが焦っていう。

「ドミニク!まぁ、そんなに熱くなるなよ」

「俺もまだ、おまえの気持ちというか考えがわかるからさ」

「セレネーンが腰巾着:マカルナになって、ドミニクが瀧になるってことね」
トリフェジノが纏める。

「運命が予定されてるって信じるかい?」
クラティスが誰にともなく囁いた。

アローゼナがぼやく。
「凄く、悲しい事かもね。クラティス。アンタは運命が予定されていて欲しいの?」

クラティスが受け応える。
「そうさな、運命なんてなけばイイ!!かな???違うか??ドミニク?」

驚いたドミニクが慌てて答える。

「え?なんでそんな事いうのさ?いくら、俺の来世がアンタだからって、何でも解かるっていうか、
憶えてないだろ?」

クラティスがクスッと笑う。
ドミニクは、肩を落す。

アローゼナが云う。
「そろそろ行くわよ。クラティス!!」

「そろそろだな」
クラティスが併せる。

クラティスが空間切り裂くと、アローゼナが時空のアドレスを打ち込む。

ドミニク・トリフェジノは二重存在の足枷の影響でそれぞれ、瀧・セレネーンになるという
辛い【運命】を背負うのだ。

時空の移動の刹那、
クラティスは、アローゼナに【封印】を使う。
ドミニクのころから進歩がないなと内心疲れたが・・・・・。

アローゼナは封印に気づいていた

封印に気付いたところでクラティスの術中にはまっていることにはかわりないが。

クラティスとアローゼナは、取り残されたトリフェジノがいる、ドミニクから真の記憶を取り戻した
クラティスに変わった直後の時空に移動し終わる。

取り残されていたトリフェジノが出会い頭に一言。

「なによ。随分なセリフは吐いときながら、クラティスと仲良くしちゃってさ」

「なに。あっちの世界にもアンタはいたわよ」

と、アローゼナが斬り返す。

まぁ、つまり、別の時空ではトリフェジノが二重存在していて、何れ、その影響で、彼女は
セレネーンになってしまう事をクラティスはクールにトリフェジノに説明した。

「何さ。急にカッコつけだしてさ」

トリフェジノはそう言うと、フンと言ってそっぽを向く。

アローゼナが教師の雰囲気で語る。

「トリフェジノ。クラティスも様になってきたじゃないか。向こうの世界のアンタは潔くセレネーンになったんだ。

自分でいられるだけましだぞ。別の存在になる苦痛は御前にはわかるまいよ。」

激怒したトリフェジノがぶっ放す。

「あ?貴方様を別の存在に「させた」のはアタシって事を忘れてないかな?
貴方は私の来世で今は建前上・妹でさ。

ホントは、姉貴みたいなもんだと思ってたよ。

実際、姉で世間には通ってるし。

第一、何でも知ってるしさ。

でも、私がいなければ貴方はいなかったんだろうし、私が経験しなければ貴方は何も知らなかったんでしょ?
私も何れ、貴方になるのかもしれないけど、その時、私は貴方で・・・え?じゃあ、今の私は誰になるの?」

最後はどうやら困惑した模様だ。

悟り切ったようなクラティスが割って入る。

「トリフェジノ。
君は大きな勘違いをしているよ。
予想外の事態に今遭遇しているんだよ。
我々はね。

今まで運命が予定されているとされてきた人達の運命が変わってきてしまっているのだよ。

2001年に神人とクラティスにより起されたy・POWERによってね。あの力の発動は、さらなる
「力」を呼び覚まそうとしているのだよ。

それは、y・POWERによって作り出された世界を消し、
元ある世界を復活させ、かつ、運命が予定されている者と予定外の者を入れ替える力だ。

その名をλ・POWERというのだよ。」

続けてアローゼナが講釈をする。

「まぁ、つまりは安定期から変革期へ向かいつつあるという事だ。

2001年も大変な時代だったろうが、
異、運命においては「安定」していたのだよ。

自分の存在が危うくなるなどという事はなかった。

だが、予兆はあったな。

主に、精神生活は、もはや「変革」していたな。

かなりアブナイ状態の者もいたようだ。

今、まさに変革期の真っ最中だな。

もっとも、今この場所の時空自体が安定していないため、
我々が存在する時空が2001年からみて過去に存在するのか未来に存在するのか
現在に相当するのかさえ、わからないのだがな。

案外、時空なんて継ぎ接ぎでできているのかもしれないがな。

目下のところ、妖木人の瀧・乱雲・鬼瓦の三名による霊力・妖力・魔力で、
それぞれ過去・現在・未来のバランスが保たれているといった具合かな。」

たいそうな事を意外とアッサリ言ってのけるアローゼナだった。

トリフェジノが呆れた様子でぼやく。

「λ・POWERに時空が継ぎ接ぎ?貴方達は何をいってるのさ?
クラティスは元はドミニクで、アローゼナは元は私だから二人とも全てを知ってるような事
いってるけどさ、

「全てを諦めて、誰かに委ねよう」とか考えてないでしょうね?

私やドミニクに結局頼りっなしじゃないのさ。」

クラティスも半ば呆れて囁く。

「君はアローゼナになるんだけど、それは確定じゃないんだよ。
君は今までアローゼナになるという運命があったのだけど、
今、λ・POWERによりこれまでの世界の崩壊ととも「運命の入れ替え」が
起ころうとしているんだよ。」

アローゼナが間髪入れずに続ける。

「まぁ、クラティスとドミニクが例外だったのが確定になりつつあって、
私達(アローゼナ&トリフェジノ)の方が赤の他人に近付いたって事だよ。」

「なんか二人とも言ってる事がはっきりしないし、すかした感じがして嫌なんだよな。」

トリフェジノがぼやく。

行ったり来たりしていたクラティスが身を翻して話し出す。

「つまりはだ。
俺達(クラティス&アローゼナ)は力を持っているという事だよ。

時空を移動する能力や時空を確定する能力も然り、先を読むことのできる能力然り。

そうだよ。
トリフェジノ、君がさっきから言ってるように

我々はサポートしかしてやれないんだ。力を持つものの代償としてね。」

「ははん」と鼻を擦ったトリフェジノは高らかに叫ぶ。
「最初から素直にそういえばいいじゃん。」

ふっと顔を見合わせて笑うアローゼナとクラティス。

ほのぼのとしたオーラがあたりを包む。

刹那、トリフェジノの左腕にクラティスが一突き入れるや否や、アローゼナが彼女の右腕に
一突き浴びせた。

「何するのさ!!」

と間髪入れずにトリフェジノが身を翻す。

いささか、精魂尽きた風体の二人がぼぅっとしたまま顔を見合わせニコッと笑う。

実は、この時、二人はトリフェジノの両腕にそれぞれ二人の力の大部分を封印したのだった。

「封印」の業は、今や、アローゼナも収得してしまったのである。

「封印」もそうであるが、至高の業の使い手になるにはその業を受けて見破る「力」が必要なのである。
アローゼナはクラティスが自分に対し、「封印」を使った事に気付いた。

よって、気付いた時点で8割方業の性質を理解したといっても過言ではないのである。

8割理解したら、あとはセンスと注意力の世界である。

歴史教師であるアローゼナは、「封印」という言葉から、印を結んで封印を開封したり封印したりする事
を連想した。

彼女は歴史教師でありながら、オカルト的思考も持ち合わせているのである。

その超自然的神秘的概念によると、「封印」は強い動機と「力」により発動するという事がわかった。

トリフェジノの右腕に一突き浴びせたアローゼナ、彼女の動機は「トリフェジノに力を与える」
という事で、力というのは「彼女の生命力」に他ならなかった。

『封印』を果たしたアローゼナ。

外見上、平気な装いであるが内心、平静を保てないのが本心である。

想像以上の疲労感・脱力感に呆然とするアローゼナ。

彼女に「封印」を使ったクラティスは彼女の疲労と脱力を彼の心臓で感じ取った。

実は、アローゼナの精神はクラティスの心臓に『封印』されていたのである。

アローゼナの苦痛が彼の心臓に直に伝わる。その痛みは言語を絶するものであった。

苦悶の表情のクラティスにアローゼナは一言、

「封印を解いてやろうか?」
と小悪魔のように喚く。

「できるのか?」

思わず、クラティスが喚き返す。

どうやら、アローゼナは術者であるクラティスを上回って「封印」を理解しているようである。
〔今となれば、彼女も立派な術者だが・・・〕

詰まる所が、封印されたことがあるという点でクラティスを上回ったのだといえる。

クラティスが使う術は基本的に魔力を根源としている。

この世界では魔力は「未来」と称される時空における「力」であり、魔界の原動力である。

また、ドミニクが使った「封印」は妖力を根源とし、現代の時空の力で、妖界(あやかしの世界)の
原動力でもある。

二人の「封印」は封印される場所の意味合いにおいて大きく異なるのだ。

魔力を用いた場合、封印により封じる精神は魔界に一度、蓄えられるのに対し、妖力を用いた場合、
精神は妖界に蓄えられるのだ。

つまり、魔界に蓄えるという事は魔族の食糧となる事を、妖界に蓄えるという事は妖怪の食糧となる事を
意味する。

「魔族」・「妖怪」・「霊」等は、人間の精神や霊魂が生きる糧なのである。

以上の事を踏まえたアローゼナは「封印解除」には精神や霊魂を喰らっている輩の「排除」もしくは、
精神・霊魂の「消滅」しかないと考える。

二者択一の状況になったアローゼナ、彼女は「排除」より「消滅」のほうが楽である事を知っていた。

因みに、「排除」しなければならなかったのは魂を喰らう輩を消滅させてしまうと、封印が永久に
解けなくなるからである。

逆に、霊魂のみ「消滅」できれば『封印解除』は決定的なのだ。

さぁ、どうなる?次回に期待を!!
アナザー・ストーリー(乱雲編)
☆=-=-★=-‥‥……━★<零章・とある【伽】(乱雲のお話)>……‥‥・・・=-☆=-=--☆=-=-★=-=-☆

話す相手が欲しい、退屈をいたわりたい・・・そんな虚しい事を僕は思った。
今、2001年においては、そういった事を”エンターテイメント(エンターテインメント)”というらしい。

私の名は乱雲。

今の世界ではありえない話だが、半妖と呼ばれてきた。
ただのあだ名だと軽く考えていたが、真実はあまりに重たかった。

生まれた時、僕は死んでいたそうだ。

そこに、クラティスという未来人で妖木人と呼ばれる種族の彼がやって来て、
奥義”受胎晩即”(晩稲(おくて)という成熟の遅い植物と即刻という言葉からきているという・・・)
を施工(おおまかな意味でいわゆる工事ととらえて良い・・・)し、乱雲の母の身体から死産したはずの
乱雲をクラティスの身体に移し(この際、乱雲はミクロ化されている)、クラティスの魔力により、
乱雲は復活を遂げたのだった。
(同時空のドミニク・ピテクス同様、【奇跡の復活】を果たしたのである)

クラティスは乱雲の生みの親として、暫くの間、乱雲の様子を影から見守るが、やがて、雲隠れする。

蘇った乱雲は、クラティスから渡された魔力を使い続け、生き長らえてきたが、
やがて、使い果たしてしまう日が来ることを本能により薄々感じながら、日々を怠惰に過ごした。

実は、彼には両親がいなかったのである。

放浪に次ぐ放浪をしていても平気だったのは、”魔力”のせいでもあろう。
しかし、彼は「力」の減少に呼応して、《修行》を始めた。
凄まじいまでの本能といえよう。

乱雲は、小鳥の囀り・日の出とともに起床し、早朝の稽古、(朝食、)朝の稽古、昼寝、(昼飯、)
自分の体調の記録(バイオリズムのようなものを書き出していた。詳しい知識はない。)、
夜の特訓、深夜の稽古、(夜食、)睡眠というリズムを繰り返した。

乱雲の今いる世界では、味に拘らなかったらの話だが、食料は豊富にあった。

また、彼は二週間までなら食事なしでも生きていける。
そのための精神力を魔力により増幅させていた。

そんなある日(の午後二時三十五分)、ふと、木漏れ日が綺麗だ・・・とあらぬ方向に呆けていると、
「迷惑かけさせやがって!」
と声が聞こえた、その刹那。

乱雲は鳩尾(みぞおち)に強烈な拳をもらった。
「ぐがごごゴゴ・・・」

声にならない声を上げる乱雲。

襲ってきた相手を今一度、よくみると、よく見知った知ったカオであった。
(不思議と何故知っているかはわからなかったが・・・)

不意に親しみが湧く乱雲。やがては、この強襲した者の名前さえ思い出した。
「クラティス?」

乱雲が訊くと、
「ハははハハ・・・」

と力なく答えたクラティスは消えてしまった。

(実は、乱雲に「封印」を使い、全ての生命力を彼に預けたのであった・・・)

突如、力に満ち溢れる乱雲。
何と、未来を予想するような力まで身につけてしまった。

未来予測によると、「もう暫くで、旧式のジープで二人組みが近辺にやって来る」という事がわかった。

木陰に隠れる乱雲。

物の(=only)数十分後、二人組みが予想通りジープでやって来る。

二人が近くの川原で、立ち話をしている隙にトランクをこじ開け(魔力による念力で・・・)、
無事、潜入成功する。

トランクの中であるが、つい先程、手に入れた特殊能力を魔力により暴走させる。すると、
聴力が増加し、可聴範囲がテレパシー
(精神感応、つまり、一瞬で聴き取るという事だが、ここでいうテレパシーは超高周波の音波
で、しかも、音波の情報・内容が圧縮されているという代物である。乱雲はそれを解読できる。)
とコウモリが使う超音波の中間に位置する異常に高周波数な音波を受信できるようになる。

盗み聞きをする乱雲。
内容は筒抜けだ。

「ヤツは俺たちをつけてくる」
「そうだな」
「”クラティス”はそう言っていたしな」

ん?聞き慣れた言葉を耳にした乱雲は"クラティス"という人物に思い当たるところがあった。
先刻、俺を強襲したヤツだ・・・なんとか、乱雲は思い出した。

「先を急ぐとするか」
「まぁ、焦るなって」
「ジュッ」

何?コイツ、返魂草(はんこうそう(はんごんそう))って、「言ってる」が煙草じゃないか?
乱雲はそう思ったが、実際には、煙草に火をつけただけで、乱雲は彼(二人組みの一人)の”心”を
読んでしまったのだった。

返魂草というのは、日本の江戸時代における薬草、つまるところは煙草である。
(北の方などに分布しているようだ・・・)

「ああ~、ホイっと」
「あ、どうも」

あ?今度は、もう一人が何もないところに手を入れて、手を拭いて(?)いる。
煙草を吸ってた彼も、ポイっとその空間に吸殻を捨てる。

今度は、何の能力も使っていない。

古い名前の煙草を吸っていたのは、実は過去を取り仕切る妖木人である”瀧”で、
蒼く輝く空間で手を拭ったのは、未来を取り仕切る妖木人の”鬼瓦”であった。

突如、眩い光が射し込み、あたりは異空間の様相になり始める。

##############################################################################################
ここで先に一言いってしまおう。
y・POWERとλ・POWERという力がこの世界には存在する。

y・POWERとは、
「未来から過去へ《戻る》力を根幹とし、
そこに、現在から始まり、未来から過去の流れの中間手前
(未来寄りの位置)の方向に《進む》力を軸として、新たな力を生み出すという力である」
といえよう。

λ・POWERとは、
「未来から過去に《進む》力を根幹とし、
そこに、現在から始まり、未来から過去への流れの中間より少し後
(過去寄りの位置)の方向に《戻る》力を軸として、新たな力を生み出すという力である」

ここで言えるのは、極論であるが、
二つの力が合わさった時(調和時)、未来と現在からの力が過去に向かい、
現在と過去の力が過去に向かおうとします。

つまり、y・POWERとλ・POWERが立て続けに発生してしまったような
いわゆるX(エックス)年には、全てが過去(霊界)に向かい、
過去(霊界)さえも、さらなる霊界に向かう事から大霊界に全ては向かうという訳である。

ここで、さらに大事なのは、<現在から過去>という時空の流れだけは、一応、存在するという事である。
<現在から未来>という流れは消え去り、全ては、大霊界へ流れるといえるでしょう。

つまり、妖界(あやかしの世界<現在>)と魔界(未来)との交流がなくなった結果、
人々は明日への希望を失い、預言者もいなくなるという傾向になるという事です。

しかし、大霊界といっても広い訳ではないのです。その大きさは妖界と魔界を合わせた(調和させた)
場合の1/4で、魔界の1/3なのです。つまり、妖界と同じ広さとなります。
今まで、広さが限定されなかった妖界・魔界・霊界が、大霊界の存在の力により、
無限ではなくなったのです。

そう、この世に5つあった宇宙とは妖界・魔界・霊界・大霊界・神海の五つです。
神海というのは、月面にある海とほぼ同義です。つまり、神海とは、4つの宇宙を作った宇宙で、
限りなく平らで無限に限りなく広い部分が、あるとてつもなく巨大な球体の一部にあって、その中心に、
巨大な柱がありそこに神が神として宿っている。それが、神海です。

ここまで、言えばわかるでしょう。そう、5つの大宇宙を支配したのは、喜怒哀楽驚の神です。
彼ら5人は、かつて、5つの小宇宙を支配していました。
その小宇宙の持ち主が先代のドミニク・ピテクス(ドミニクの前世)の乱雲だったのです。

(乱雲の)想像通り、乱雲の五体に小宇宙が形成されており、その内部の小宇宙で5人の神が鎬を削る
戦を起こし、彼は、生まれる前に一度、死に至ります。

しかし、クラティスによる魔力で、小宇宙は復活、無事、各小宇宙から各大宇宙間の”多次元通路”は
復旧し、世界の安定は保たれたかに思えました。
が・・・・、
###############################################################################################

光が消え始め、あたりの空間の歪みも整形されてゆく・・・・。

そうだ。瀧と鬼瓦なんだな、こいつら。
乱雲は、超魔力でそれを認識した。

二人組みは、ジープの前の座席に乗り込み、運転を再開する。
ほんの四五十分で、
とある山林に到着する。

「クララティスはこの頂上だ」
鬼瓦が呟いた。

本当にクラティスは存在するのか?
改めて、疑問に持つ乱雲。
確かに、目の前で消滅した・・・という光景を反芻する。

辺りは、シラカバ(白樺)が連立されているという、いかにも機械的な風景であった。
しかも、予知能力のあるはずの乱雲が山林の獣道を二人(鬼瓦&瀧)の後をつけなければ、
迷ってしまう不安がある、といった奇妙な状況でもある。

「・・・・時空が継ぎ接ぎ・・・・」
少しだけ鬼瓦の心を読めた。
時空が継ぎ接ぎ?
乱雲には意味がわからなかった。

「・・・大霊界と接続された・・・・」
今度は、瀧の心を読んだが、意味不明である。
大霊界?
乱雲は困惑する。

それとほぼ同時に、

ゆっくりと、あたりの景色がフェード・インしだした。

眩しさに目を眩ませる乱雲。
が、実際はあたりは既に夜だった。

わずかな夕映えのなか、”クラティス”は切り株に頓挫した雰囲気で座っている。

しかし、殺気が急にあたりを包む。

「プリ・ディスティネイション!」
クラティスは叫んだ。

その言葉は日本語英語(和製英語)の発音であったが、英語でいうところの
予定とか運命とか運命予定説というものだった。
が、クラティスの言葉の響きは、その意味を、”特定の人物を指す”ような意味である気にさえさせた。
実際、そういう思想というか、考え・概念はこの世に存在するらしいが。

思わず飛び出た乱雲。

「よう、運命の申し子よ」
クラティスは飛び出だした乱雲に、威勢のいい感じで声をかける。

クラティスは手短に、<運命の申し子>について、説明した。

つまり、乱雲は転生するという事である。
次は、ドミニク・ピテクスに、その次は、クラティスにといった具合に。
しかし、あくまでも”予定”でしかないことを強調した。
それからは、全くと言っていいほどドミニク・ピテクスと同じような人生を送る。
y・POWERも使うのである。
少し違うのは、彼が妖力の使い手で、妖界の番人であることくらいである。
実は、魔力を使い続ける事による”力”の中毒にかかり、より多くの”力”を欲した乱雲の身体は
本来の彼の力である”妖力”に目覚めていたのである。

余計な話までしたかな?とクラティスは思ったが、諸問題を割愛して問題ないと判断した。
なんとなく、乱雲がジープのトランクに入っていたのを知っていた鬼瓦と、乱雲の地味な性格を
気に入った瀧と、そして、乱雲は、クラティスの命令に従い、8大将軍を次々に撃破し、
この世を生み出したといわれる神海を一部とする超巨大な球体をミクロ化した、
ブラックバスタという卵を取り返す。

しかし、8大将軍中の四天王である、喜の神、怒の神、哀の神、楽の神は、クラティスの一部とそれぞれ
融合し、クラティスは不完全なドミニク・ピテクスとなる。

クラティスの存在がなくなってしまう
(ここでクラティスが消えると元からいなかったことになる。なぜなら、かなり今までも不完全な存在
だったのと、実際、乱雲の前で一度消滅済みでもあるので・・・)
と乱雲は存在できないので、乱雲はクラティスに変わる(変化する)必然性があった。

そして、結果的にこれが乱雲の胎児時の体力低下に繋がっていた事と
この際に胎児期の乱雲の存在が不完全になった事は、彼が知る由も無い。

乱雲は結果的に、<不完全・クラティス>に変貌する。

乱雲の存在が消えた事により、時空に歪が生まれ、その歪に、ブラックバスタが吸い込まれる。
が、ブラックバスタは歪に封をした。

歪は消える。

不完全・ドミニクとクラティスが、不完全ながらも、能力を駆使し、ブラックバスタの時空アドレスを
算出する。

不完全・クラティスが、ふと思い出す。
そうだ。y・POWERを使ってみよう。

即、実行に移そうとするクラティス(不完全)にドミニク(不完全)は同意。
クラティス(不完全)が、ドミニク(不完全)と鬼瓦と瀧に【封印】を使う。

封印はクラティス(不完全)の心臓にされた。
封印により、精神・霊魂的に統一を果たした3名は精霊神(超自然的な事柄に関する運命を支配する者)
となる。

しかし、クラティス(不完全)の封印は中途半端なものだった。
3つの精神が三つ巴の状態で鬩ぎ合い、封印されたクラティス(不完全)の心臓は限界を超えていた。

あまりの事に耐え切れなくなったクラティス(不完全)は、乱雲に助けを求めるべく、
精霊神に時空のアドレスを打ち込んでもらい、とある日の午後二時三十五分の某所にテレポートする。

「迷惑かけさせやがって!」
不完全・クラティスが不完全・乱雲に叫びながら、鳩尾に一発、拳を入れる。
(この際、<強い動機>はなく投げやりな様子で、無意識に負の<力>を篭めたため<封印>ではなく、
在りもしない封印を<開封>しようとしたことになるのである。
この結果、予想外に<潜在能力を引き出す>という結果になる。)

「ぐがごごゴゴ・・・」
呻く不完全・乱雲。

「クラティス?」
と訊く不完全・乱雲。

「ハははハハ・・・」
と応えた、
行き絶え絶えの不完全・クラティスであったが、<彼>は予定通り消滅する。

突如、精霊神により、完全なクラティスと完全な乱雲が、多次元通路に召喚される。
結局、<開封>さえも不完全だったのだが、精霊神と多次元通路にあったブラックバスタにより、
3名の精神の<封印>は完成した。

ブラックバスタを取り込んだクラティス。
彼・クラティスもまた変貌を遂げ、バスタリュークとなって、精霊神と乱雲を襲う。

乱雲はバスタリュークに喰われ、バスタリュークはまたしても変貌し、
不気味に蠢くその物体は驚の神と名乗った。

精霊神は驚の神にあえて憑依する事を選び、精霊神の中のドミニクの精神が驚の神の一部である
クラティスに<切っ掛け>を与えるように促す。

<<同意>>
クラティスは、念力でブラックバスタを異空間に送った。
別の時空間に望みを託して。

その瞬間、y・POWERが炸裂した。

2001年に神人がクラティスと起こしたy・POWERとは異なり、
B・H(ブラックホール)等は病気でいうことろの副作用みたいなもので、
ある意味、予定外でもある。

実際の<<現象>>としては、まず、未来から過去に時空が戻る力が<<メイン>>で、
現在から未来と過去の間の未来寄りに時空が進む力を<<軸>>として、
あらたな世界をつくる(B・H等の副作用も同時に起こることがある)ということが起きる。

要するに、未来から過去に戻ってしまうってことと、現在から少し未来へ進む力を打ち消すために
(原動力にもするが・・・)、新たに時空を創るという事。

今回のy・POWER発動時に起こった副作用は、ドミニク・ピテクスが
唯一無二のプリディスティネイションとして存在するようになったことである。
なぜなら、<乱雲は半妖でドミニクは完全な人間だから>それだけの理由である。

納得できないのは、<<プリディスティネイションとは何か?>>というのは、ドミニク・ピテクスが
証明してゆく命題である事くらいであろうか・・・。

もしくは、神のみぞ知る事かもしれない。

私の名は乱雲。半妖だ。

次の世界の私の名はドミニク・ピテクス。人間だ。

私は私であって私ではないのか?

寂しい悲鳴が木霊する。

「この世に”予定されていること”などありはしないのだ」

だが、もうひとりの私に私は遭いたい。

//////////////////////////////////////////////_/
最終章
├────────今のところ軽薄な宿命──────────┤
私の名はRiki。
ハーフである私の父親は、とある土地の原住民で、昔、迫害を受けていた。
母は母で、父とは違う国の汚職まみれの政治家の娘だった。
父がある時、「お前はプリ・ディスティネイションだ」と私に告げた。
聞き慣れない言葉に、真の意味するところを量りかねた私だったが、
私自信の過去の体験と運命予定説という辞書の上の意味からなんとなく
ではあるが、私は理解した。
父は、特別、プリディスティネイションというような単語を含む題名の
本を持っていなかったし、今まで、読むようにいっていた
(といっても、学生時代の話だが・・・)
本の中にもそのような言葉はなかったように思った。
知り合いが言うには、それは、数々の伝承・神話などの節節に登場する
ものだそうだ。
父は、読書家で、神話や宗教にも人並み以上に詳しいようであった。
父は、何も言わなかったが、彼は運命予定論者ではないかと私は思った。
つまり、運命予定説に沿った指針を示す人ということであるが、その義務を
果たせるのは、対象が実の息子であるということでなければ、到底無理であろう。
プリディスティネイリアン(運命予定説論者)は、時には地獄の王になり、
時には只の入れ物といった存在になる。
つまり、何の努力もなしに本能のままに生きるだけで、数々の能力を身に付けた
りする時期もあれば、死に勝る苦痛に絶える時期もあるという事だ。
ギャップのある人生という点ではプリディスティネイションと酷似するかもしれない。
(「かもしれない」というのは、プリディスティネイションはまだ、
一度も死んでいないのに対し、プリディスティネイリアンは故人がたくさんいるから)

私の前世を遡るとドミニク・ピテクスという人物にたどり着くらしい。
私はそれを夢のお告げで聞いた。
前世がドミニク・ピテクスだという事は、前世の彼も私であり、私もまた前世の彼で
あるということだ。
今、私が存在するこの世界もまた、転生しているのだ。
プリディスティネイションと同期して。
ドミニク・ピテクスは、西暦2001年の人物である。
実は、1999年夏と1992年秋と1991年春にこの世界は死んでいたのであった。
次は、2048年冬と想定される。その頃、私は72歳で、死の瀬戸際をさ迷っている
ことであろう。
さて、この世が転生したのは、3回。
一回目は、この世とプリディスティネイションが軽く崩壊し、彼に目覚めるきっかけを与えた。
それにより、彼の肉体は絶頂期を迎える。
この際、それまであった世界も転生したため、極一部の人物しかt事の真相を知らない。
二回目は、実際的にこの世界が破壊され、この時、多くの預言者を創り出した。
この時もさらに限られた人物しか転生前の世界の情報を持っていない。
世界が転生する前後にプリディスティネイションの持つ「この世の記憶」から、
様々なものが実体化するので、「この世の記憶」に記された人物に該当する者が真の記憶を
維持できるのである。
しかし、プリディスティネイションもまた未熟な人間であり、「この世の記憶」の中に
彼自身の主観が挿入されている場合があるのである。
それにより、本来、真の記憶を持つべきものが偽りの記憶により弄ばれる事もあり、場合に
よっては死に至ることもあるのだ。能力を持つべきで無い人物が必要以上の能力を持つのも
こういった一種のエラーであると考えられる。
さて、三回目はというと、世紀末という言葉も流行りだした頃である。
昔の預言者もこの年の崩壊とこの世界の一応の終わりを予言している。
この時、またしても、この世界は崩壊したが、大多数の人間が真の記憶を持続していなかった
ため、今回も一握りの人間が来るべき49年後に備えることとなる。
もちろん、彼も。
プリディスティネイションは、自分自身の転生とこの世の転生を成就させるため、主に、脳に
一時的な障害を持ち、転生後も言語障害など、様々な肉体的機能のコントロールに危機感を感
じることになる。
私の父は私に言った。
「自分はプリディスティネイションだ・・・と公言して生きろ」と。
そのときはどういう意味かわからなかったが104歳になった父と話せるのならば、その時こそ、
わかるのかもしれない。プリディスティネイリアンの力を引き出すのもプリディスティネイションの宿命だから、
だからこそ、彼を104歳まで長生きさせるのも私の使命なのかもしれない。
実際は、というと、私は軽薄にしか運命を捕らえきれていない。
その日暮らしの日々だ。
時折、私を襲ったあの悪夢もある人物の予言では、あと47年もあるらしいが、気を抜くと、
12年後、つまり、40歳手前にして死を迎える可能性も大きいらしい。

私はRiki。
とある国とある国の父母の間に生まれたハーフだ。
私はプリディスティネイションであるが、自我を持たない生命体でもある。
プリディスティネイションは紛れも無い人間であるが、自我を持たない生命体の方は、世に言う
「宇宙人」のことである。
実際のところ、地球以外に人間のような「まともな」生命はいない。
地球には、プリディスティネイションのような「核」となる存在があるが、宇宙全体からみれば、
その「核」となっているものは、人間でいうところの煩悩のようなもので、無くすのは簡単では
ないが、満たされては代替品を用意するといった類のものなのだ。
要は、「核」が新鮮ならば、量は多くなくて良いし、新鮮であるために「核」となるものは変化
していかなければならないのだ。
よって、プリディスティネイションが試練に耐えつづける限り、地球外生命は「存在しなくてよい」
ということになる。世の中にあるもので、必要性のないものはないらしい。
では、何故、私は宇宙人でもあるのか?
それは、これから宇宙人が生まれる可能性があるからである。
12年後か、47年後の世界の転生の際、「必要」とあらば、生まれなければならない。
何より、私がプリディスティネイションでいられるのは、限られた時間だ。
今も大部分の時間を「宇宙人」として生きている。
自分が何をしたいのか…といった事を考えられずに行動に出る時もあれば、
感情と行為が一致していなかったり、知覚したことに対する感情が異常だったりする。
実を言うと、「宇宙人」として生きているというより、生かされているといった方が良いだろう。
世界の崩壊による世界の転生と自身の転生を三度も行えば、如何に「核」と呼ばれる存在でも
再起不能に陥るはずである。事実、人間だった頃、能力は押並べて並以下の私が強靭な生命力を
持っているとは、まず思えない。
一回目の世界の崩壊とともに、私は死に至る。
その後も、生きてはいたが、本当のところは「転生」とは、自身を補強することなのだ。
「核」となるプリディスティネイションの部分は残るが、他のパーツは地球外生命で補う、それが
転生の正体である。ゆえに、この地球も核以外は地球外のパーツで再構成されていることになる。
しかも、「核」とはあたかも見え隠れする存在であるのだ。
地球の核となっているものは、地表面の下、2900㌔m~地球の中心部分で、「地核」と呼ばれる
らしいが、さらに、地核の中枢である「彼の知覚する核」は、プリディスティネイションの核と
亜空間(ワームホール)で繋がっている。ワームホールの維持には、「宇宙人(地球外生命)」
の力が必要不可欠であるのだ。
「宇宙人」の力が強い時は、あたかも、二つもしくは片方の「核」が消えたかのように彼ら
(地球とプリディスティネイション)は振舞い、実際、核を失った彼らは異常になる。
地球の中枢である「彼の知覚する核」が消えかかった時には嘗ての巨大な巨躯を持つ種族の絶滅
が起こった(とされている)。
逆に、プリディスティネイションである核を私が失うときは日常茶飯事である。
ある人間にとって、自分が生まれる前に起きた出来事など、「ただの絵空事」にしか過ぎない。
自分こそ最大で最高だと、心のどこかで思うだろう。
こうは考えられないだろうか。
今は、自分は自分だが、何れ貴方になり、貴方もいつかは私になると…。
要は順番が違うだけなのである。
宗教によっては、鬼畜生に生まれ変わるといっている人物もいるが、人間は人間にしかならないと
私は思う。
「鬼畜生」になれるという事は逆に、最終段階ではないか?
虫(蟲)や植物や非生命体に「選ばれる」という事は、神(永遠)となる直前段階ではないかと
私は思う。嘆いたり、悲しんだり、喚いたり、苦しんでいる様子もなく死に至るのだから…。
私は宗教とは何かを知らない。
しかし、信じるものはある。

私はRiki。
転生の際に、多くの「この世の記憶」を感じ取ったが、大多数の記憶は深層心理に刻まれたまま、
復活をただただ待ち望んでいるという状態だ。

今日、私は傘をとある場所に忘れてきた。
忙しさに忙殺され、70年後か10年後の試練の事など考えもできない、在り来たりの日常だった。
映画のように、世界を救うをというのはドラマチックな事ではないという事をいやという程知った
私には、嘗てのロマンチストの面影も無い。
私は何気なく、傘を取りに行く。
今日も退屈な、そして、少し楽しげな仲間と一日を過ごし、すれ違いに帰るのだなと想って。

私の名前はRiki・髄精。
今となっては何処の国の人間かはわからなくなった。
72歳の私は、また嘗ての苦痛を味わうのかと老婆心ながら、かつての自分に忠告する方法を探している。
おい、数少ない親友の一人の君。
君は解決策を持っているんじゃないか?
「御前なんか、しらねぇよ」
とほざく彼。
夢か現かわからぬ状態で、Rikiは「自分が持っていた夢の内、いくつが叶ったか」、
「何故、途中であれほど大事だった夢を捨てたのか」考えていた。
今から正念場よ。
私は念じた。
数々の出会いと別れ。
それぞれが、そのひとつ一つが私が試練を乗り越えるための糧となる。
人間、暇ってもんは、作ろうと思えばつくれるもんだ。
今、何故、私が「試練」などという、日常を図太く生きてる人達と比べて呑気な事に時間を費やせているのか…
それも、暫くたたないと、脳からまともな応えが返ってこないだろう。
思考さえもできないくらい、ある意味、忙しいから、「暇」だとも言える。
少年漫画の主人公なんて、暇人の典型だ。
そんな事を考えながら、最終局面を迎えようとしている。
記憶が曖昧になってきた。
目を覚ましたら、誰でもいいから、知ってるヤツがいるといいな…私は小さな望みを神に祈った。
神などいないと想ってるのに…。

<完>
設定集
<font size="5" color="red">力<Riki>設定集</font>

masa.kさん原案のRikiの設定集です。

時代設定

バイオテクノロジーが発達し過ぎて、いろいろわけのわからない
生物が発生しているが、バイオテクノロジーを知る人があまりいない世界。
そのくらい文明は衰退している。過去の遺産を重要視する時代である。
遠い未来。それと、現代・過去。
メインは現代・・・・つまり2001年くらい。

登場人物

①ドミニク・ピテクス: 両親を早くに失い、国の特別奨学金により一人で生活している 17歳の天才高校生。
一度、死にかけるが、奇跡の復活を遂げる。
そのときから、脳波に異常をきたし、そのためかIQが上がり天才とよばれるほどの知能を有するようになる。
自分の頭に数個の脳腫瘍があるため、時として、頭痛・嘔吐・失語・運動障害・性格変化などが起こる。
本人は自覚していない。治す金もないし。

ドミニク・ピテクスに関する考察書 [1.1]

セレネーン:
半妖木人(半妖かつ魔族の属性が必要...)。
半分しか妖木人でないため、ドミニク=ピテクス(転生を重ねると驚の神に結局なるのだが・・・)
の完全な駒ではない。
瀧・鬼瓦・乱雲の邪魔もあり、セレネーンはかなり自由な存在。
武器は腰巾着:マカルナ(普段はベルトだが、実は爬虫類と両生類のアイノコ・・・生物である)。
気合で相手を圧倒する「裏唄」
という業を使える。
バンドのVOCALになりたかった前世がある。
(平成 2年逝去)

②妖木人: 死ぬと、種(後に腫瘍となる)となり、生命体に寄生する。(主に心臓に)

③乱雲: 半妖。ある日、クラティスに出会い、そして、自分は妖木人だと知る。

④クラティス: ドミニクの生まれ変わり。

⑤鬼瓦: 妖木人。男。

⑥瀧: 妖木人。性別なし。(両性具有でもない)ベーシックな妖木人といえる。

⑦バスタリューク: クラティスと驚の神が融合した姿

⑧喜・怒・哀・楽・驚の神: 大宇宙の五覇(かつて、5つの小宇宙を制圧した)
驚の神はコンピュータ会社<AZ>の社長・・・実は生き別れの弟であった。アローゼナにより、整形された。

⑨アローゼナ: クラティスの許嫁。歴史家かつバイオ・テクノロジーに詳しい。
実は、クラティスの父親の生まれ変わり。だから、男勝りな性格。ドミニクの通う高校の教師でもある。
実は、未来人。トリフェジノの妹。

⑩トリフェジノ: アローゼナの姉。精神科医。実は、ドミニクの母親の生まれ変わり。彼女も、未来の人。
空手家。

⑪光武器: お互いの心が強く惹かれあった時にできる。
(相手の心技体の特徴により特性の違うものができる)
武器自体が発光体である。武器の成分は、精神と肉である。肉とは相手(心を惹かれあっている人)の
肉体の一部である。
生成時の強く輝く光だけで、人間の闘争本能を抑えることができる。

⑫封印: ドミニク・ピテクスは2次元世界に人の精神を封印できる。そうすることにより、
相手の心を自由に弄ぶことができるのだ。
彼は、トリフェジノの精神を彼の書いた日記に封印した。そうすることにより、彼の心を彼女は理解し、
日記が彼女の精神そのものであるため、彼・ドミニク・ピテクスは日記に触れることにより彼女の心が
読めるのである。

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