大アルカナから見る【推しの子】

記念すべき１５０話で物語の根本的部分が主人公である「星野アクア」から否定され、まだカミキヒカルへの復讐を見届けていないにも関わらず、彼は映画の撮影を終え区切りをつけて「幸せと復讐のどちらを選ぶかの選択肢を悩む姿」が夢として描かれました。

何故「１５年の嘘」で一番重要な数字である１５巻でこんな話やるの？と思った時ふと頭に浮かんだのは、「悪魔」でした。
タロットカードの大アルカナの１５は「悪魔」。メフィストも「悪魔」。
そして１５巻収録の最終話になるであろう１５１話の公開日は６月６日です。そう、「悪魔の日」です。

タロット・大アルカナの「悪魔」のカードは蝙蝠の羽根と山羊の角をもつ悪魔が、悪魔になりかけている堕落した人間を鎖で支配します。
悪魔のカードでは推しの子の象徴である「五芒星」が逆になります。

大アルカナ「１５．悪魔」

悪魔のカードの絵柄の意味は下記の通り。
■正位置：誘惑、堕落、依存、洗脳
■逆位置：解放、再生、目覚め、執着を手放す

大アルカナ・５番の「法王」には王冠、３つの十字架がありますが、５巻表紙の黒川あかねにも王冠(ティアラ)、３つの十字星があります。
面白いのは、「法王」のカードは今回の「悪魔」のカードの対比になっている点です。「悪魔」のカードでは法を遵守する慈悲深い法王が手段を選ばないことにより「悪魔」として描かれている可能性もある。
「次は君が幸せになる番だよ」「有馬かなへの応援」が立場の見方によっては「悪魔の誘惑」になってしまう。
そしてそこから「塔」の崩壊への悲劇に繋がる可能性があるのが興味深い。
「悪魔」は意図のあるなしに関わらず、当人の望む望まないに関わらず結果的に起きる奇跡にもなり得るので、トリックスターの扱いになる。

大アルカナの流れで推しの子を見る

〇１巻　－　大アルカナ「魔術師」
■正位置：創造、自信、技術、才能
■逆位置：混迷、未熟、消極的、自信喪失
〇２巻－　大アルカナ「女教皇」
■正位置：知性、聡明、神秘、英知、判断
■逆位置：批判、悲観、冷徹、無視、無神経
〇３巻－　大アルカナ「女帝」
■正位置：豊穣、満足、包容力、魅力、愛情
■逆位置：嫉妬、我儘、浪費、感情的、怠惰
〇４巻－　大アルカナ「皇帝」
■正位置：支配、権力、安定、成功、責任
■逆位置：過信、傲慢、孤立、身勝手、独断的
〇５巻－　大アルカナ「法王」
■正位置：慈悲、優しさ、法の順守、尊敬、寛大
■逆位置：保守的、束縛、不信感、頑固
〇６巻－　大アルカナ「恋人達」
■正位置：恋愛、情熱、結婚、ときめく心、調和
■逆位置：誘惑、不道徳な性、関係の破綻
〇７巻－　大アルカナ「戦車」
■正位置：実行力、強い意思、迅速、勝利、征服
■逆位置：無気力、人任せ、失敗
〇８巻－　大アルカナ「力」
■正位置：強い意思、自制、不屈、理性、力量
■逆位置：無力、力不足、諦め、優柔不断、落胆
〇９巻－　大アルカナ「陰者」
■正位置：精神性、内観、悟り、思慮深い、慎重
■逆位置：消極、悲観、保守的、閉鎖的、籠る
〇１０巻－　大アルカナ「運命の輪」
■正位置：一時的な幸運、変化、運命、出会い
■逆位置：アクシデント、急激な悪化、すれ違い
〇１１巻－　大アルカナ「正義」
■正位置：公正な判断、均衡、正しさ、平等
■逆位置：罪、不正、均衡が崩れる、不平等
〇１２巻－　大アルカナ「吊るされた男」
■正位置：試練、修行、努力、苦労が報われる
■逆位置：報われない苦悩、徒労、投げやり
〇１３巻－　大アルカナ「死神」
■正位置：強制終了、中止、破局、終焉、停止
■逆位置：再生、再スタート、起死回生
〇１４巻－　大アルカナ「節制」
■正位置：循環、順調、調和、管理、淀みない
■逆位置：浪費、淀み、不均衡、停止、惰性
〇１５巻－　大アルカナ「悪魔」
■正位置：誘惑、堕落、依存、洗脳
■逆位置：解放、再生、目覚め、執着を手放す

そしてもし仮に大アルカナを基に話を作っているのなら、って思ったんですが、アカ先生なんも考えてないよって？知ってるよガハハ！ガハハ……

アカ先生への嫌な信頼はさておき、現時点でも不穏感が隠しきれていませんが、次の１６巻分(１５２話〜)がおそらく最も大荒れになる巻になると思っています。

〇１６－　大アルカナ「塔」
■正位置：災害、災難、事故、崩壊、ショック
■逆位置：精神の崩壊、緊迫状態、受難、洗脳

「塔」は「破滅願望と破綻」「問題を放置して悪化させる」ことを示すとされています。
正位置・逆位置のいずれにおいても「凶」、「不幸」とされている唯一のカードで、神の怒りとも言われています。傲慢で欲深い王の姿は神の怒りをかい、一撃の雷が落とされた。でも傲慢な王は王冠を手放そうとはしません。
破壊には再生がつきもの。絶望と闇が深ければ深いほど、星は光り輝く。そのための大荒れですね。

そして最後の5枚、星から世界までの5枚のカードは大アルカナの中でも最強と呼ばれるカード。
最終話までの残り話数を既に決められているそうなので、年内でサクッとぶん投げて話畳んで終わらせる可能性もありますね！！
アカ先生にここまで描く気があるかはわからないのですが要素は描かれるかもしれないので参考用に置いておきます。

〇１７－　大アルカナ「星」
■正位置：直感、閃き、希望、憧れ、目標
■逆位置：失望、高望み、失意、幻滅、無気力
「星」は絶望からの再生。
「塔」において起きた変化が「希望」となる。そして星の象徴は双子。
〇１８－　大アルカナ「月」
■正位置：不安、憂鬱、中途半端、誤解、移ろい
■逆位置：脱却、明晰、トラウマの解消、回復
「月」は「自らが導く未だ見えざる真実への道程」
「真実を辿ることの困難」
〇１９－　大アルカナ「太陽」
■正位置：天真爛漫、無邪気、喜び、栄光、成功
■逆位置：不調、落胆、失墜、悪化
「太陽」は別名が「２つの太陽」。
「何も隠さないありのままの心」
〇２０－　大アルカナ「審判」
■正位置：死者の復活、祝福、再生、転生
■逆位置：警告、罰、消滅、暗闇、罪の償い
「審判」は「死者の復活」。
〇２１－　大アルカナ「世界」
■正位置：完成、理想郷、成功、充足、完璧
■逆位置：未完成、惰性、物足りなさ、低迷
「世界」は「終わりとはじまり」。