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エモすぎる曲たち

[ShortNote:2021.4.2]

(画像は本文とは関係ありません)

 ShortNoteを書くにあたってどうでもいいこだわりがひとつだけあり、いやそもそも自分以外はどうでもいいもののことを「こだわり」と言うのかもしれませんが、「エモい」は使わないようにしています。とか言いながら思いっきり使ってたら恥ずかしい。たぶん使ってない。はず。

 先に言っておくと決してこの言葉が嫌いなわけではありません。ツイッターなどはバンバン使います。ただなんとなく長文書けるところでこの三文字で済ませてしまうともったいないような気がするだけです。しかし、ここで挙げた曲は十分この言葉を捧げるにふさわしいと思っています。

THANKS/一世風靡セピア(1989)

 ここでも触れたように、この曲は聴く人に向けた普遍的な曲ではなく、自分たち自身に向けた曲です。「道」というキーワード、そして渋谷と舞台を限定していることから、「ストリートパフォーマーなら共感できるよね」ということでもありません。一世風靡にしかわからない思いと記憶をギュッと詰め込んだものです。全フレーズエモいけど「初めて道に立った/怖くて震えたあの日に」が一番グッときます。

 ここで示されているのは「道」への「まあいっぱいケンカしたけどさ、なんだかんだお前のこと好きだったよ」という感じの愛情であり、そういう意味ではまぎれもなくラブソングです。さらに、「道とはただの場所ではなく、人が集まるところこそが道である」という考え方はセピアの作るものの中で繰り返し語られますが、「道」を「道」たらしめている人々への愛もその裏に織り込まれていると思います。そんなことを素直に考えた時、出てくる言葉は結局「THANKS」に集約されるのではないでしょうか。

旅姿六人衆/サザンオールスターズ(1983)

 道の次は旅。「Mr.Suizu(サザンの当時の舞台監督・水津雄二さんのこと)」など固有名詞を入れた、「THANKS」同様自分たちへの曲です。「お前が目の前にいるならいい」の「いい」の歌い方があの平井堅さんに影響を与えたという音楽史に残る存在。

 もうサザンは6人ではないためこの曲ももうライブでやらないのか……と思われていたところに40周年ライブで「旅姿四十周年」というタイトルで演奏されました。それを聴いて、この曲が言う「旅」とはライブツアーなどの「旅」だけではなくサザンがデビュー以来歩んできた道のりそのもののことであり、「毎日違う顔に出会う」というフレーズもツアーへ行く先々で待っているファンだけでなく、それぞれの時代でサザンの歌を聴いてくれた人たちのことでもあるのかなあと思いました。

 桑田さんはとても歌が上手くていらっしゃるため曲によって多彩な歌い方を使い分けるのですが、この曲では力強く重量感のある歌い方で美しくエモーショナルでありながらセンチメンタルになりすぎないテイストにハマっています。これは過去を懐かしんで思い出に耽る歌ではなく、今日と明日を思う歌です。

片手に三線を/DIAMANTES(1995)

 「CDでしか聴いたことないバンド」はいっぱいいると思いますがディアマンテスは逆に長年「ライブでしか聴いたことないバンド」でした。一見贅沢ですが那覇ハーリー(毎年GWに那覇港の新港埠頭で開催される祭り)のステージですのでいわゆる無銭です。だいたい最終日の大トリ。たまに2日目のトリ。

 それはいいとしてライブで馴染んでいて、ようやくCDでも聴いたらかなりエモかった。沖縄といえば移民の歴史があり、そういった移民やその子孫などが集まる「世界のウチナーンチュ大会」の第2回テーマソングだったということもあって、何というかDNAをダイレクトに揺さぶってくるような歌だと思います。ちなみにBEGINなどもボーカルで参加しています。比嘉栄昇さんの声はすぐわかるなあ。

Hello, my friend/松任谷由実(1994)

 カラオケで歌ったら自分が歌っているのに泣いてしまう曲ナンバーワン。危険。無論聴いてるだけでも泣く。何がどこにこんなに効くのかずっと考えてるけど未だに不明です。こんな経験をしたことがあるわけでもないし。ただもうイントロからして琴線に触れるどころか体当たりしてくるし、サビの盛り上がり方もいいし、間奏からラストのサビへの繋げ方も強いしPVも素敵。全身麻酔(吸入麻酔)も具体的にどうやって効くのかは解明されてないけどとりあえず効くことはわかってるのと同じように、全要素が絡み合ってどこかしらに作用していると思います。

 「台風がゆく頃は涼しくなる」というフレーズを「ツバメが低く飛んだら雨」みたいな観天望気として捉えており、秋口に台風が来ると毎回「もう涼しくなる。だってユーミンが言ってたし」と言っています。

Yesterday Once More/The Carpenters(1973)

 母がカーペンターズ好きで、来日盤のレコードも家にあるのですが(レコードも聴ける! という触れ込みにつられて通販で買った巨大プレーヤーが一瞬で壊れたため今のところ単なる円盤)、葬式でもカーペンターズを流してほしいと言っています。具体的な曲名を聞いたら聴くたびに暗くなりそうなので聞いてませんがこれだったらどうしよう。嫌だな。

 英語の歌にしては歌いやすいし歌っていて楽しい。いつまでも色あせず美しい。エバーグリーン。「It made me smile」と「It can really make me cry」の対比も素敵。いい音楽は時を超えていつでも聴く人をあの頃に連れていってくれるということを「Those old melodies still sound so good to me/As they melt the years away」と表現するのも好きだしそれを総合して「It’s yesterday once more」にまとめるのが天才的。何よりも詞の中で称えられたような曲にこの曲がなっているのがすごい。ここで挙げたエモい曲たちも含めて「Every Sha-la-la-la/Every Wo-o-wo-o/Stille shines」であり、「All the songs I loved so well」です。

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