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手書きは好きだけど盲信はしていない話からのキーボードの話

[ShortNote:2021.3.25]

 シャーペンを中心に文房具が好きなので、最近文房具の情報サイトや文房具好きな人のブログなどを読むことが多いのですが、そういうところでよく繰り返し遭遇しがちな言説があります。

 「手書きの文字・文章はデジタルと違ってデジタルと違って気持ちが伝わるし温かみがある」説。

 ちょっと待ってほしい。いや、これを全否定したいわけではありません。概ね異存はありません。どこの誰が入力してもまったく同じ見た目の文ができあがるパソコンやスマホの文字と筆跡だけで誰がどのような心理状態で書いたかわかってしまう手書きの文字が全然違うのはわかる。手書きのメッセージを見てほっこりすることもたくさんあります。ちょっとだけ異議を唱えたいのは「デジタルと違って」の部分です。

 フォントだと画一的にしかならないから人の心に届かない理論が100%本当なら印刷された本で心が動くことはないし、手書きでも一切響かない文章も画面に表示される文字でも心を揺さぶられまくる文章もあるし、第一この意味で「アナログ」を使うのは本当は違うから! 「アナログ=人の手で行う人間的で温かみのある行い」「デジタル=機械的で無機質で冷たい」じゃなくて「アナログ=ある量またはデータを、連続的に変化しうる物理量(電圧・電流など)で表現すること」「デジタル=ある量またはデータを、有限桁の数字列(例えば2進数)として表現すること」(広辞苑第六版より)で「アナログコンピュータ」とかで使うから! 本来の意味とは離れた使い方をされるようになった理由は「アナクロ(「アナクロニズム」の略、時代錯誤の意)」と混同されたからではないかという説を見たんですが、「アナ」しか合っていない。ちなみにそろばんはデジタルで、計算尺はアナログに分類されるらしいです。

 ちょっと脱線しました。これを言うと終わってしまう気がするのですが、大事なのは「手書きかデジタルか」という外形ではなく文章の中身じゃないんだろうかと思います。それとあまりにも悪筆だと気持ち以前に意味が伝わらないので、「手書きの方が味あるから!」と無理にこだわるのではなく、いろいろな要素を考慮して誰でも見やすく整ったものが書けるパソコンなどで作る方が読み手に優しいこともあると思います。

 手書きは「あえて手間暇をかけていて丁寧だ」という印象になることもあれば「こんなところに時間かけるぐらいならもっと他のことやってくれよ」という印象になることもあるなぁと思います。以前とある場所でプチ炎上した公式アカウントがなぜか手書きの謝罪文をアップしたことがあり、とても美しい字だったのですが、どうにも「あざとい」という醒めた気分になってしまいました。美文字アピールしたいのか? としょうもないムカつきも少し。手書きは確かに書いた人の心をよりダイレクトに伝えますが、その分「手書きでやれば『誠意がある』と思ってもらえるだろ」という下心もダイレクトに伝えてしまう時があるんですね。

・手書きする理由、入力する理由

 どちらが優れているとか劣っているとかはないと信じていますが、どちらかにしかない利点というのはあると思っています。


手書き:書くことを思いついてから出力するまでのタイムラグがほぼゼロ

→いきなり自慢話で恐縮ですが、自分の能力で一番自信を持っているのは「同音異字・同音異義語を脳内で判断して変換する能力」です。これは正直パソコンやスマホの入力予測機能とは勝負にならないレベルで勝ってると思っている。私の脳を搭載してあげたい。これが入力だと「しんせい」と打って「真正」なのか「申請」なのか「親政」なのか選ぶ時間が生じるため、どうしてもタイムラグがあります。私のパソコン、「かんりょう」と打つと「官僚」が先頭に出てくるので困っています。「官僚」に変換するの踊る大捜査線の話をしている時しかないのに。思いついたことはパッと記録しておかないと忘れてしまうので、そういうときは手書きの勝ちです。

シャーペンの芯を使い切るなどの達成感を得られる

→「使い切りたい欲」がすごい人間なのでこないだも鉛筆を1本完全に使い切ることに成功したんですけど、手書きをする理由ってこれが一番大きいんじゃないかと思う。シャーペンの芯を1本使い切る。1ケース使い切る。ボールペンのインクを使い切る。ノートを1冊使い切る。そして新しいものに移る。快感。手書きでいいものを入力しなくてはならないと内心「使い切りチャンスがぁぁ!!」となってしまう。

入力:検索が簡単

→これとんでもなく大きい。もう、メリットとして巨大すぎる。ページ内検索を多用しては便利さに感動している。これが手書きだとどこに何を書いたか1ページずつ目を皿のようにして人力検索しなくてはならなくなります。手書きでもデータ化すればできるようになることではあるんですが、取り込む手間やOCRの精度を気にしなくていい分こっちの方が手軽です。

リカバリーも簡単

→手書きで書いてる時、「この言葉じゃないな」と思って一旦消した後「やっぱりあれでよかったな」と思った時、Ctrl+zが恋しくてたまらなくなる。わざわざ同じことを書き直しているとめちゃくちゃ生産性がないことをしているなと思ってしまう。挿入やコピペができるのもいい。

キーボードが好き

→シャーペンが好きなのと同じくらいキーボードのことも愛しています。次の章へ続く。

・キーボードの話

 とにかくキーストロークの深いチロルチョコが並んでるみたいなキーボードが大好きです。あの打鍵音こそがキーボードを使う醍醐味だと思っています。打鍵音のASMRとかYouTubeでたまに聴いてます。ノートパソコンだとどうしても浅くならざるを得ないので、外付けのゲーミングキーボードっぽいものを買ってしまいました。ただ浅いものでも使い込めばいい音がするようになるなと気づいたので、今せっせといい音キー作りに励んでいます。

 他の人のキーボードを見た時、キーの表面がツルツルになっているかどうかでよく使うキーを推測してしまったりする。エンターキーと母音はだいたいどの人のも光るぐらいツルツル。その次がCtrlとCやV。逆にテンキーで数字入力しないんだなとか、ファンクションキー使ってないなとかもわかる。エンターキーって押されすぎて文字が消えてしまっても何だかわかるようにあんな形になってるんでしょうかね。

 しかし自分が「このキー使ってないな」と見破られるのはなんとなく恥ずかしいので、できるだけまんべんなく使うようにはしています(どうしても差は出てしまいますが)。それに今会社で使ってるキーボード、あんまり押してないキーはなんだか……クッキーみたいな音と手触りなんですよね……。「サク……」みたいな。いい音キーを育てるためにもがんばって使います。とりあえず今はテンキーの方のエンターを使うよう心がけております。

(うちのキーボードは光る)


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