大野雄大事変、からの「好きなタイプ」問題
(ヘッダーは「8イニング中6イニング三者凡退とかいう大野無双のせいでこんな時間に終わってしまいました、プロ野球なのに」という気持ちをこめて撮ったハマスタの時計)
つい最近(といっても高校1年生くらい)まで、ずっと私は「クールな人」が好きだと思っていた。あまり感情を表に出さなくて、運動場より図書室のほうが似合って、なんとなく「孤高」の雰囲気を持つ人、そういう人がタイプなのだと思っていた。
いや今でもそういうタイプは好きだ。好きだけれどもそこから現在に至るまでの期間で気づいたことがある。それが「底抜けに明るいスチャラカ系の人」の魅力だった。おふざけに走ったり、いじられキャラだったり、ギャグをやってスベるけど私だけ笑ってたり、そういう人はとにかく見ていて飽きない。それを気づかせてくれたのは昔好きだったクラスの男子だったり柳葉敏郎(私の推し界のボスに君臨する男)だったりしたのだが、最近久しぶりにこの感覚を思い出させてくれる人に出会ってしまった。
それが大野雄大である。なぜ好きになってしまったのか、どういうところが好きなのかはShortNoteのほうに書いたので丸投げするとして、とにかく大野さんである。
余談だが「大野」ってあまりにも言いやすすぎてたまに呼び捨てにしてしまう。「さん」づけするかどうかはその瞬間の気分次第だが、なんとなく「中日のエース大野雄大」のときは「大野さん」で、「おもしろ大野雄大」のときは「大野」のような気がする。気がするだけだが。
あの威風堂々たるマウンドさばきを見た瞬間からすでに相当好きだったのだが、それを決定づけたのは先ほどのノートでも引用させていただいた最所あさみさんのnoteだった。
そう、それ!! 本当にそれ!!!
そういうことってある。めちゃくちゃある。心当たりがありすぎて困る。あー絶対私そういう人が好きなんだろうなわかってたけどさあ、みたいなことをこの一連の文章を読んでからずっと言い続けている。一人で。
大野雄大とは「教室ではいつもバカなことばっかりやってるくせに運動会で誰よりも大活躍するスターの男子」の超グレードアップバージョンなんだと思う。なんといってもノーヒットノーランで2年連続最優秀防御率で侍ジャパンで沢村賞で3億円(金額は推定)ももらっている。しかしトップクラスのプロ野球選手だろうと運動会のスターだろうと、そこで感じる「キュン」はほぼ等しいのだなということをつくづく思い知らされた。
で、そこで考えるのがもともと自分のタイプだと思っていた「クールな人」のことである。プロ野球選手でいうなら、我が軍の唐川侑己さんはこっちだろう。ノーアウトランナーなしでも2アウト満塁でも変わらずその美貌に相応しい涼しげな顔をしてバッターをばっさばっさと斬って取りさっと帰っていって雑ハイタッチしたりミキリョさんの指をギュッとしたりしてお水を飲んでベンチ裏へ引っ込む試合での唐川さんも、広報梶原さんの「(うなりくんに)似てるもんね」という言葉に「似てはないですけど」と返した試合以外での唐川さんも、かなりクールである。いや私が見ている姿なんて一部分でしかなく、本当は全然クールじゃない可能性もなくもないが、たぶんクールである。少なくとも仮に唐川さんがノーノーしたとしても絶対あんなぴょんぴょんしないだろう。というかあんなことするのは世界中でただひとり大野しかいない。たぶん。
唐川さんと大野さんはもうヤバいくらい全く違うタイプだし、「好きになった人が好きなタイプ」という言葉もあるし、「これこれこういうのが好きなタイプ」と断定することはできないのかもしれない。しかし基本的に打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、膝頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間(公認野球規則定義74)を通過したボールがストライクと呼ばれるように、タイプがバラバラに見える「好きな人」の間にも何か一つは必ず共通点がある。
この2人で言うなら、どっちもピンチの場面で三振を奪って吠えたところで私は「あっ! 好きかも!」と思った。唐川さんはめったに感情を露わにしない。大野さんはめちゃくちゃ感情をまっすぐ出す。マウンドでぴょんぴょんするしお立ち台で泣く。それでも両ピッチャーの「よっしゃ‼」という気持ちの発露はまったく同じ威力で私のストライクゾーンド真ん中をぶち抜いてきた。普段クールだからといって熱い闘争心を持っていないわけではまったくないし、普段からけっこう感情がだだ漏れる人でもここぞという時の気持ちの表れの価値が下がるわけではもちろんない。ここで取ってほしいと全員思っている時にズバッと三振を取ってみせたピッチャーの姿は等しく美しい。
さてここでもう1人押さえておかなければならないのが藤原くんである。2018年9月1日から藤原くんのことをずっと目で追っていたのだが、未だになんと言ったらいいのか、つかみどころがない。めちゃくちゃキリッとしている時もあればフワッとしている時もあり、礼儀正しくおとなしくいいところの坊ちゃんのようにひかえめにはにかんでいる時もあれば急に同郷の先輩である安田先輩に「嘘つけや」とか強めにタメ口きいたりする時もある(高校の頃から付き合いがある安田先輩の優しく寛大な人柄のおかげでもある)。
でもひとつだけ言えることは、藤原くんは試合になると完全にスイッチオンするということである。これはものすごくタイプは違えど普段はおちゃらけ大野なのにマウンドに立ったらいきなり絶対エースとして君臨してこのグラウンドの国王みたいになる大野雄大みたいなものだ。バッターボックスの藤原くんの鋭い眼光といったらそれはもう、プロスピ対決で初戦の勝因を「中継ぎ」としておきながら次戦で継投するのを忘れるポワポワとはまるで別人である。
好きになるタイプは球種のように多種多様だが、その中で共通しているのはたぶん「自分の仕事をまっとうしてやろうという熱い思いを持った男」というポイントだろう。クールかクールじゃないかはそれが見えやすいか見えにくいかぐらいの差でしかない。プロ野球選手という職業は特にその熱さがプレーの形で見えやすいからハートに刺さりやすいのだと思うが、きっとそんな美点を持った人は世の中にたくさんいるのだろう。
……とか言いながら、リアルでごくまれに全然好きなタイプの共通点にかすりもしない人にキュンとするというボール球超えてワイルドピッチなのに振ってしまうみたいなこともある。でもそれもまた良い。
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