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一世風靡セピアの深淵

[ShortNote:2021.2.4]


   一世風靡セピアとその母体である劇男一世風靡は柳葉敏郎エピソード0ぐらいの立ち位置を占める極めて重要なグループですが、実はセピアのことがよくわかっていませんでした。好きなのによくわかっていない。

   まず「ストリートパフォーマンスグループ」からしてよくわからない。ただ「ストリート上がり」と考えるとなんだかカッコいい。強そう。こういうストリート上がりの文化をこれまで通ってこなかったので、まず「路上で? 何かするの? どうやって??」となってしまいます。どうやっても何も路上で何かしら行う以外にないのですが、ストリートでやるのは用意されたステージの100倍くらい緊張しそうだなとは思うし、もし私がやれと言われたら胃が破裂するかもしれません。セピアのあの動じない雰囲気と度胸はストリート上がりだからこそなのかもしれない。

   そして見るからにちょっと物騒。チンピラと殺し屋みたいな人しかいない。特に「賽を振れ!」を聴いている時になぜかいつも「セピアってガラ悪いな~」と思ってしまいます。でもヤンキーとかとは明らかに違う。なんというかもっと上位の……。弛みも慣れ合いもない、規律の下に結集しているバキッとした緊張感のある組織。そういうイメージ。

深淵その1:ジョニーちゃん

 一世風靡での柳葉敏郎のあだ名は「ジョニー」です。そしてなぜ「ジョニー」なのかは誰も知りません。本人さえ知らないのだから誰も知りようがありません。「いとしのエリー」の「エリー」みたいなものだと思ってほしい。翔ちゃんが今でも「ジョニー」って呼ぶのにキュンとしてしまう。

   私としてはセピアのなかにいてセピアとして動いている柳葉敏郎のことを「ジョニーちゃん」と呼ばせていただいています。どうしてもちゃん付けしてしまう。理由はかわいいからです。

  とっくに成人しているにもかかわらず、セピア後期はもうアラサーと呼ばれる年齢だったにもかかわらず、いついかなる時も少年のよう。眼光鋭く今にも飛びかかってきそうな猛獣の目をしている時もあれば、ぱぁっと花が咲くように笑ってる時もある。「ジョニーちゃんかわいいねぇ~よしよし~」と撫でていたらいきなり噛みつかれて手首持っていかれるいきなり噛みつかれて手首持っていかれるようなかわいくて怖いジョニーちゃんが好きです。なんというか「ギバちゃん」じゃないんですよね。あの子(セピアがデビューした時は23歳で今の私より年下なので大手を振って「子」呼ばわりできる)を「ギバちゃん」と呼ぶのはなんとなく違和感がある。同じ柳葉敏郎であることに変わりはないんだけど何かが違う。

  セピアの「ジョニー」も彼は一つの役柄のようにとらえていたことは誰あろうご本人が語っておられます。

「オレは、役者の一環としてセピアがあると思ってやってきましたからね。セピアっていう台本があって、その中に”ジョニー”という役があって、その役を柳葉敏郎がやってる。オレにとっちゃ、セピアも役者の世界なんですよ」

(ギバクラの聖書こと「柳葉敏郎 ABOUT MYSELF」より)

「きれい」で「華麗」な男・セピアのジョニーstarring柳葉敏郎。

深淵その2:曲

 セピアの1stシングル「前略、道の上より」の歌い出しは「咲きほこる花は散るからこそに美しい」ですが、よく考えたら1stの歌い出しからすでに散る時のことを考えているグループそんなにいないかもしれない。花は散るからこそ美しいし、セピアも終わるからこそカッコいい。

    前略は代表曲なのでいろいろなところで流れます。甲子園でもたまに流れます。「ブラバン! 甲子園 U-18」にあの市立柏の演奏で収録されてるのでよろしくお願いします。ギバちゃんの母校である角館が秋田大会でやってるのを聴いてニヤニヤしてしまいました。

    私が恐らく一番好きなのが「花鳥風月」。この曲のジョニーちゃんの華やかさといったらない。天性のアイドルオーラ。セピアファイナル(アルバム)でのジョニーちゃんの「せーの!!」を聴きたくてこのバージョンを聴いてるようなところもある。

   カッコいいセピアなら「こっちから願い下げだぜ!~OVER THE END~」「街よ、崩れるように笑いなさい」「賽を振れ!」あたり。男くささの塊に直撃されるようなインパクト。

 「善い酔い嘉い」は扇子がおしゃれだしノれる。この曲でMステに出てました。何回か出てるっぽいんですけどセピアとMステが結びつかなさすぎる(※個人の感想です)。セピアは夜ヒットのイメージだった。

  「セピア狂想曲~暗褐色ラプソディー~」は途中でシゲさんがジョニーちゃんの腰を掴んでぐるんと回すところがあるのですが、ここでジョニーちゃんを回したいのかシゲさんに回されたいのかそれともシゲさんを回したいのかで意見が分かれます。エア三味線もかわいい。

   あとやはりラストシングルの「SHIBUYA」とB面の「THANKS」について語らずには終わらない。

  まずSHIBUYAはセピア史上最ポップです。陽気な日曜日の昼下がりの渋谷っぽい。みんな肩組んで歌うのがいい。「SHIBUYA 公園通り この坂 登るまでに云おう サラリと惚れたよと」というフレーズが明るくてかわいらしいですが、渋谷が好きな女の子とデートに来る街として描かれるあたりがこれはこれで「一世風靡の渋谷」へのセピアなりの別れの挨拶なのかもしれない。

   そして「THANKS」は本格的に「道」への別れを告げるバラードです。歌詞がもう一言一句セピアヒストリー。誰もが共感するような普遍的な歌もいいけど、こういう自分たちから自分たちへ向ける歌もより実感がこもっててグッときます。サザンの「旅姿六人衆」とかもそういう曲ですね。ラストのリフレインが泣かせてくる。バラードはやっぱりリフレインあってほしい。

深淵その3:そもそもセピアとは何か

 冒頭でも言いましたが、いつも「セピアってなんだ……?」と思っています。アイドルは全体的に古参が強そうだし、私なんかストリート時代からのジョニーちゃん推しから「フン、踊る新規がわかったような口きいてんじゃないよ」とか言われそうですが、曲を聴いたり映像を見たりしてなんとなく思ったのは、セピアには同じ時代にいてリアルタイムで追いかけてた人にしかわからない空気感のようなものがあったんじゃないでしょうか。これは決して後追いがダメとかではなく、今の時代に好きになったからこそセピアファイナルやセピアファンタム+現在が好きですをAmazonで買って雨漏りでもしてるのか雨漏りでもしてるのかと思うくらいビシャビシャなジョニーちゃんや「DAY LIGHT」の顔が整いすぎなジョニーちゃんを綺麗な大画面で堪能できるし徳間ジャパンコミュニケーションズ公式がYouTubeに上げてくださる動画も観られるしLINEのBGMをセピアにすることもできるのですが、そういうのはひとまず置いておきます。

 他のアーティストよりセピアにその印象が強いのは、セピアが80年代のあの時期にしか生まれなさそうなグループだったからだと思います。今セピアが生まれていたとしてももっと違う出自で違う形のグループだったのではないでしょうか。当時セピアの追っかけをしてた方と話す機会があったのですが、ファン同士のネットワークを駆使して毎週日曜日に駆けつけるようなことって他にはなかなかないですよね。

   ただ私のような後追いには後追いなりの楽しみもあります。俳優・柳葉敏郎のヒストリーをたどっていくとその先にセピアがあって、彼を育んだ歴史としてのセピアをひもとくのは楽しいし今ドラマとかでメンバー同士が共演してるのを見てニヤけることもできます。

   その最たる例が言うまでもなく踊る大捜査線であり、シリーズ全体でセピアがなんと7人中5人出ています。あと平賀団長もさりげなくずっといらっしゃる。もはや同窓会同窓会状態です。物騒な集団だとは思ってたけどとんだインベーダーです。イサオさんが「結局室井と一度も絡まないで終わった」みたいなこと言ってたのには笑った。

    メンバーが今だから言える話をしてくれたりすることもあります。ハルさんが「前略、昭和のバカどもっ!」という本を出された時にゲストでシゲさんを招いて行った出版記念イベントに行けたのが一番の思い出。お2人と撮った写真とサインしていただいた本は絶対に家宝にします。もう2年経ちますが未だに夢かなと思っています。

 あと15年ぶりにメンバー全員再集結して出た「HEY! HEY! HEY!」(2004)。セピアのあれこれを見た後に観ると感動します。感動に加えてやっぱりクセ強集団だなと改めて思います。そしてセピアのなかにいる柳葉敏郎はいくつになってもジョニーちゃんです。 

   このようにセピアとは考えれば考えるほど奥の深い深淵です。私みたいな若輩者は何も喋らない方がいいんだけども(ⓒジョニーちゃん)、好きなので喋ってしまいました。セピアを覗く時、セピアもまたこちらを覗いているのだ。セピアを覗く時、セピアもまたこちらを覗いているのだ。

(ジョニーちゃんといえば白コン)




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