見出し画像

踊る大捜査線第7話が好きだという話

 踊る大捜査線テレビシリーズは毎回信じられないくらい面白いが、一番好きな話を選べと言われたら第7話「タイムリミットは48時間」にするかもしれない。25年前の今日、そんな第7話が放送されたということで記念に好きポイントをメモしておく。


 なんで一番好きなのかいろいろ考えたけども、トータルで見ると第7話は室井さんが湾岸署の「敵」サイドに回った最後ぐらいの話だからかもしれない。秋スペは一旦仲間になった後だから例外として。まだほんのちょっと「悪役」な室井さんが残ってるので悪役好きの血が騒ぐ。私は湾岸署のいいあんちゃんな室井さんも好きだけど湾岸署に刃向かわれて手を焼いてる官僚な室井さんも好きだよ。


 しかし第1話や第3話や第5話あたりと比べたらもうだいぶ所轄寄り。役回り的には湾岸署の意向に対立することをしているけれども、一倉さんと話してるところでは所轄への理解を示しているし、最後は雪乃さんを守ってくれる。室井さんが本店サイドに反抗したのは第3話と同じだけど反抗した相手の質が違う。


 第7話って「室井回」ではないと思うんだけど(「室井回」は第4話と第8話だと思ってる)、中盤の少しずつ青島くんから所轄全体に目を向け始めた室井さんから終盤の悩み始めて壁にぶち当たる室井さんへのブリッジとして大切な回ではある。室井さんは影の主役なので室井さん的に大切じゃない回なんてないけど、(第6話は普通にやると室井さんの出番を作れないから無理やりヘリで登場するというシーンをねじ込んだくらいなのでそれほどでもないかも)(でも無理やりねじ込んでもらえるあたりがさすが影の主役)その中でもわりとターニングポイントだと思う。
 


 第1話で「警察組織の横暴」として提示された雪乃さんとの因縁(?)に決着をつけたのも大きい。ここでの関係の修復があったからこそ次の第8話で雪乃さんが室井さんに気さくに声をかけることができたわけで。
 雪乃さんと室井さんといえば、ラストの「ありがとうございました」が良い。「雪乃さんにずっと負い目を感じているのかもしれない室井さん」という目で見るとここも後のOD2の「聞こえないのか?後ろだ!柏木くん!!」も容疑者の披露宴招待状のシーンもさらに味わい深くなるのでおすすめ。


 室井さんと一倉さんの同期コンビが登場するのも好きなポイント。この2人が同期とは1986年度入庁組はいったいどうなっているのか。アイドル界で言えば花の82年組、野球界で言ったらハンカチ世代みたいなポジションに違いない。「5分くらいなんだ」「規則だ、待て」のやり取りも好き。短気な一倉さんと忠実な猟犬のような室井さん。


 そしてやっぱり第7話の目玉は室井慎次VS恩田すみれRound2。テレビシリーズで一番好きなシーンと言っても過言ではない。好きすぎてセリフ全部覚えちゃった。


 まず室井さんがいきなり「俺」って言う。これは事件。普通は徐々に距離を詰めていってようやく出る一人称を開幕で出す。この2人の会話は異常にテンポが良い。すみれさんはともかくあのミスター寡黙・室井さんがあれほどポンポン喋るなんてすみれさん相手の時にしか考えられない。そこでいとも簡単に室井さんのパーソナルデータ(出身地&大学)を引き出してしまうすみれさんに「手腕」を感じる。室井さんをいじるだけいじって去り際にふと真剣に「……早く、警視総監になってね」と言うすみれさんも、「君たちを見てると自信がなくなる」と返す室井さんも、センスの塊。


 室井担なので永遠に室井さんの話をしてしまうが、無論他の皆さんも素晴らしい。潜入の手口が鮮やかすぎる青島くん(「対米営業課って……」「12階だけど」「知ってるよ」あたりのテクニックは使えるかもしれない。いつ使うのか知らないけど)は言うに及ばず、キュートなすみれさんもこの8年後夫婦になる雪乃さんと真下くんも酸いも甘いも知り尽くした和久さんも全員キャラクターがビンビンである。


 そして地味に素敵なのが袴田課長と魚住さんの働き。課長がバドミントンの練習ができないことへの抗議のくだりでみんなをなだめてたのもナイスだし、課長と魚住さんが一倉さんと室井さんの襲来に対抗してたのもカッコいい。私だったらあの同期コンビに立ち向かえる気がしない。取って食われそうだし(キャリアを何だと思っているのか)。

 そして忘れちゃいけないのは、今後のストーリーを貫くことになる柱とも言える重要な名言「正しいことがしたければ偉くなれ」。この言葉がここで提示され、やがて青島くんは「自分は現場で頑張り、室井さんは『正しいこと』ができるようにするために偉くなる」という解を導き出すことになる。考えれば考えるほどめちゃくちゃ重要な回だ……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?