初めて同性を好きになった話②

私は当時社畜を極めており、残業上等でがむしゃらに働いていた。残業中にCさんから電話がかかってきて、飲んでるから来ない?と誘われ仕事を投げ出して飛んで行きたいと思ったことは一度や二度ではない。

私たちは付き合うことになった。
私はCさんが大好きだった。手を繋いで歩いたり、ハグやキスなどのスキンシップも、彼女となら楽しかった。
ただ、やはり性行為だけはうまくいかなかった。男性と違って妊娠のリスクはないものの、そもそも男女問わず人の裸を見たいと思えない。欲情するという感覚がよく分からない。
相手が女性になっても、私の悩みの種は変わらなかった。

それでも、女性が相手である場合、向き合ったときの恐怖心は半減した。
いざというときには抵抗できるし、自分と同じ体のつくりをしているひと、という認識だからだろうか。

私は男性の体が苦手なのかもしれない、と思った。筋肉質な腕や、高い背、濃い体毛、男性器も。思い返せば、今まで好きになったり友人になった男性は華奢だったり中性的な雰囲気を持つ人が多かった。
体が大きい男性は、そこにいるというだけで圧がある。その圧がそもそも怖い、というのはひとつあるかもしれない。

しばらくして、コロナウィルスが世界を襲った。
コロナ禍初期の頃を思い浮かべてほしいのだが、未曾有の出来事に社会は混乱していた。飲食店も開けられず、酒類の提供は禁止された。

ここで問題が発生する。
コロナ禍初期の自粛期間、コロナへの向き合い方もまだ分からない時期のこと。
私はひとまず様子を見たほうがいいから、おとなしく自粛すべきだという考えだった。
Cさんは、別に自粛する必要はない、店が開いていないなら家で飲もうという考えだった。
私は友人とも会うのを控えていたため、考え方の違いでCさんと衝突し、だんだん疎遠になってしまった。

共通の友人がいて、彼女とは連絡を取り合っていたが、結局Cさんとは別れてしまった。

今どうしているだろう。幸せならそれでいいのだけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?