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「森」の思考・体験・哲学

◆対談 森の哲学 第二弾 ~森の未規定な時間や型に開かれる~
 2020年12月20日(日) 13時30分~15時30分
 朝日カルチャーセンター 新宿教室 ハイブリッド講座
 教室講座とオンライン同時開催

1.森と草原

人類が誕生したのはおよそ700万年前、私たち「ホモ・サピエンス」が現れたのは約30万年前といわれています。でも「ネアンデルタール」人や「ホモ・フロレシエンシス」などは最近まで生きていたことがわかっている人類の仲間です。ホモ・フロレシエンシスは約5万年前に、ネアンデルタール人は約4万年前に絶滅しました。その前後には「デニソワ人」も絶滅してしまい、最後に生き残った人類が、私たち「ホモ・サピエンス」です。

私たち初期の人類、ゴリラやオラウータン、チンパンジーのような類人猿は、ずっと「森林」で暮らしていました。植物や昆虫、小動物を食べたり、主に果実などを食べていました。時々草原にも足を延ばし狩猟に出かけることもありましたが、捕食者がいたり肉食獣に襲われる可能性もあり危険ですので、森の中で住みやすい場所があればそこを住処としていて捨てることはあまりなかったわけです。

しかし自然環境はいつも同じように恵みを与えてくれるとは限らず、森林の乾燥化が進んだりして森の生き物やエサがなくなってくると、生き延びるために、森林より少し開けた環境・草原や疎林に住むようになったといいます。しかし草原という場は森と違って、隠れる場所や日陰もなく、水や食物も自分がもつ分しか距離の移動ができません。四方八方見渡せることから逃れる方法はないという緊張が生まれます。生命の危機から身を護る術を知らずして暮らせない見晴らしのよさが草原です。

その後狩猟採集で生き延びてきた人類は、仲間が増えていくのと同時に食料を確保するのが重要な日課となります。一度にたくさん狩りをしたとしても獲物を保存しておく冷蔵庫もないし、摘んできた木の実が何日も腐らずにあるとは限らず、あるいは仲間全員に分け与えられるような計算知もなかったように思います。

農耕が始まったのはおよそ1万年前という、本当にごく最近の出来事です。農耕の始まりは人類にとって「血塗られた歴史」という考えがありますが、戦争が起きた証拠が見つかったのも農耕が始まってからなのだといいます。つまり人類は農耕によって「自分たちのもの」という概念や、「奪い取る」「管理する」「平等に分け与える」「より多い食糧を貯える」「財を増やす」という思考へと変化していったのだとわかります。

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