見出し画像

食べたことがあるもの

昔からなんでも食べる子どもだった。

保育園に通っていた頃、私はなんでもかんでも口に入れすぎて同じ組の子供達からドン引きという名の迫害を受けていた。
私は私で、食べていいものとよくないものの区別が曖昧で「毒じゃなければなんだって食べていいんだ」と思っていた。

そのため私と彼・彼女たちはいつまで経ってもわかりあえないまま亀裂のある保育園生活を送っていた。
あの頃はなぜみんなとあそぼうとすると嫌がられるんだろうと思っていたが、それはそうである。

そんな私が「食べたことがあるもの」について今日は紹介したい。


⚫︎スイカ・メロンの皮
おやつの時間に出ていたスイカやメロン。
本来は途中で食べるのをやめるものだと知っていたが、ある時「いけるところまでいってやろう」と極限まで食べるチャレンジを繰り返していたらエスカレートして皮ごと食べるようになっていた。
保育園の先生には「もうやめなさい」と叱られたがそれからまたひと噛みしてから返すのが常だった。
ただ、青臭さもあったし、特にメロンは表面がざらついて硬くなっていたのであまりおいしくはない。

⚫︎ティッシュ
これは結構大きくなってからも食べ続けていたスーパー食材だ。
基本的に無味。
薄くて口に入れると水分を吸って丸く固まるのも面白い。
噛みごたえもあるし喉越しも悪くないので長い間レギュラー入りしていた。
子どもの頃に風邪を引いた時にだけ出てくるグリセリン入りのティッシュはちょっとしたごちそうだった。

⚫︎画用紙・プリント
ティッシュの強化版。
指でちぎって断片を食べるのを繰り返す。
ティッシュとは違う紙の強さとハリを感じられた。
レシートの紙は毒みたいな味がするので嫌いだった。

⚫︎セロハンテープ
セロハンテープにもグルメがあるのをご存知だろうか。
飲み込める、飲み込めない。
味がする、しない。
セロハンテープにも様々な種類がある。
私はもちろん歯で噛み切れてちょっと甘苦い味がして飲み込めるやつが好きだ。
これを貼ってくれる本屋を覚えていたぐらいには好きだった。

⚫︎消しゴム
ちぎって食べると弾力があって美味しい。
噛みごたえでいえばナンバーワン食材。
このせいで私の消しゴムはいつもいびつな輪郭を取っていた。

⚫︎保育園にあった硬いスポンジみたいなやつでできた大きなブロック
表面をこそいで口に入れていた。
基本的に無味だがもこもことしていた。
一方で子ども達に優しい素材でできていたので噛むと戻ってくる弾力性もあり、なかなかにお気に入りだった。
ただ、いつも「一人ぼっちならばしかたない」と最後に私を受け入れてくれた女の子たちのグループに見られてしまいめちゃくちゃ嫌がられた。
あたりまえすぎる。

⚫︎発泡スチロール
これにはなかなか手を出せないでいたが年長ぐらいの時に急に「いけそうなきがする」という天啓が下り、チャレンジした。
食品包装の発泡トレイ。
もちろんそのまままるごといけないのでまずは半分に割って、かじりつく。
なかなか一口サイズにならないし、あまり口当たりも良くない。
なによくちぎられた断面が口の中でごつごつして危なかった。
おいしくないけどいけそうなきがしたからいけるところまでいったがなかなかの難敵。

⚫︎ランドセル
小学2年生の頃、帰りの時間が退屈だったときに机の上に置いたランドセルの縁にかじりついていた。
ランドセルは革でできているので食べようと思えば食べられないこともない。
すなぶっているうちに齧ると存外に悪くない食感であることに気がついたのが運の尽きだった。
誰にも見られないように(多分見られていた)少し齧っては口に運びよく噛んで味わう。
あっというまに蓋の縁が虫食いのようなまだらの穴だらけになってしまった。
私は結構いい味だな、で済ませていたがランドセルといえば高価な買い物である。
母がこのことに気がついた時卒倒してから私をめちゃくちゃに叱ったのにやめられなかったのを覚えている。



こんなにいろんなものを口に運んでいるのによくぞここまで主に横に大きく育ったものだ。
いや、逆にこんなにもなんでも口にする子どもだったから大きく育ってしまったのだろうか。
卵が先か鶏が先かという話ではないが真実は謎にしておいた方がいいような気がする。

もちろんここに書かれているものは全て食用に作られたものではない。
みなさん決して真似はしないように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?