2021/2/14

「このチョコ、お父さんに渡しておいて」

毎年恒例のバレンタインデーチョコをありがたく頂戴した後、母が唐突にそう言った。

「はあ」

なんとなく受けごたえして手渡されたもう一つのチョコを受け取る。

父に渡すこと自体には、何も問題はない。

そうなのだけれど。

……肝心のチョコを渡すのが俺でいいのか。

いやまあ、言ってる母本人はどうってことないんだろうけど、父はどうなんだろう。

直接チョコを渡してもらえない父親。その心境やいかに。

そこでふと思う。

これって、ホワイトデーの時どうなるんだろう、と。

俺は母から直接チョコを手渡しされたわけで、同じようにして当日はお返しのチョコを直接母に手渡すだろう。

でも、父の場合、チョコをもらった相手は厳密には母ではなく、息子なのだった。

だとしたら俺は当日、父からお返しのチョコを受け取り、それを母に受け流す、のだろうか。

……………………。

なんというか、シュールだった。

下らない想像はさておき。

別に、母の言葉に深い意味は全くと言っていいほど皆無だったので(ただ直接チョコを渡すのが面倒だっただけ)、そんなことを考える必要もないのだった。

それにしても、まだ2月中旬と言うのに外はまるで春が訪れたかのように暖かい。

よくよく調べたら、2月の初旬にとっくに春一番が吹いていた。昨年に比べて、それは18日早いのだとか。

今年は首都圏で、電車が止まるほどの雪はほとんど降っていない。

大人になってしまえば雪なんて年に1回見れればお腹いっぱいなので、それは本当に良いことだと思う。……まあこんなことを言うと来週あたりに大雪が降りかねないので安心するのは一足早いのだけれど。

とにかく、気候が暖かくなってくれるのは平日の朝寒い思いをしている自分からしてみればとんでもなくありがたいわけで。

このまま春の気候になって、気持ちよく朝起きられる程度の気温に落ち着いてもらいたい。

あわよくば、ずっと春秋の気候になるよう地軸の傾きがなくなってほしいとまで思ってしまう自分だった。



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