クリエイティブリーダーシップ特論5月17日

補足:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースの授業をまとめているnoteです。
クリエイティブリーダシップ特論の授業においてプログラミング、エンジニアリング、CGアニメーション、建築、数学など様々な分野のスペシャリストで構成されているチームラボ取締役の堺大輔氏からご講演いただき、記事にしています。


武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論第6回堺大輔氏(以下堺さん)、—5月17日


堺さんは東京大学時代に現チームラボ代表の猪子寿之氏と出会い、2001年4月に有限会社チームラボに発起人として入社し、現在のチームラボでは取締役を勤めながらご自身もクリエイターとしてご活躍されています。


「存在」で変化するアート

チームラボの作品は人がいることを前提としています。堺さんはモナリザとご自身の作品を比較してお話をしてくださいました。
モナリザは作品ひとつに対して鑑賞者がたくさんいます。それぞれの人が作品と向き合うということになるわけです。対してチームラボの作品はそうではなく、人やモノに反応して作品が変化します。つまり、そこに誰かや何かがなければ作品はずっと同じで、そこに何かが存在したときに別のものへと変化する作品です。言い方を変えれば何か別の存在があってこそ成立するとも言えます。
どちらの方が良い悪いというものではもちろんありませんが、見え方や変化を見える形で表現する作品の考え方そのものがかなりユニークでした。
モナリザは誰かが見ていなくてもモナリザであるわけですが、チームラボの作品は別の存在がないと作品ではないのかもしれず、「意図的な不完全」がより美しいものを生み出しているように感じました。



積み重ねの哲学

今回、堺さんのご講演のなかで最も驚いたのが「積み重ね」のお話しです。一般的に創作活動は突拍子もないアイデアを天才的な人間がゼロから生み出すという風に思われがちで、チームラボに対しても同様の印象を私も抱いておりました。
しかし、堺さんはチームラボが大切にしていることとして「積み重ね」とおっしゃいました。
もちろん0→1は重要だとした上で、しかし、1を2に2を3にということで本物のクリエイティブは成立するとされています。
というのもクリエイティブ(特にデジタルの世界)では作っては検討の繰り返し、意味を問い続けることが最も重要であるとし、「積み重ね」をキーワードにされておりました。
この考え方はイノベーションにも似ており、現代ではイノベーションというと「革新」ばかりが取り沙汰され。ゼロ→イチになりがちですが、元々は新結合(既存のものと既存のものを組み合わせる)がその原点でした。
そう考えると無数にある既存組み合わせを永遠と続けるイノベーションと、積み重ねを大事にするチームラボの考え方は非常に似ているように感じました。
クリエイティブとイノベーションの真髄が「積み重ね」のなかに凝縮されているように思いました。


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