クリエイティブリーダーシップ特論8月10 日

補足:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースの授業をまとめているnoteです。
クリエイティブリーダシップ特論の授業において株式会社ビービット 東アジア経営責任者の藤井保文氏からご講演いただき、記事にしています。


武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論第13回藤井保文氏—8月10日


藤井保文氏(以下:藤井さん)はUX、テクノロジー、デザインによって企業のイノベーションを支援する、デザインコンサルティングの分野でご活躍されています。著書にアフターデジタル(日経BP.2019年)アフターデジタル2(日経BP.2020年)があります。


デジタルとリアルの真の融合

今や「デジタル」や「デジタルトランスフォーメーション」というのは企業の大きい小さいに関わらず必須項目となりました。むしろデジタルを上手に使いこなすことができれば中小、零細企業が大企業を超えるということも決して難しくない世の中になっています。
しかし、そんな世の中であるがゆえに「デジタル」や「デジタルトランスフォーメーション」が魔法の杖のように扱われ、とにかくデジタル、なにがなんでもデジタルトランスフォーメーションを実現しなければならないとやや急ぎ気味でその本質が語られることはあまりないような気がします。
そんななかで藤井さんのお話のなかでまず興味深かったのが、デジタルのなかにリアルが内包されるということでした。それはデジタルがリアルを飲み込むということではなく、融合することによってリアルがより際立つという意味です。
というのも感動体験などの感情的・感性的はリアルの場ならではの特徴としては残りつつ、利便性や早さなどはデジタルの力によって解決していく世の中になると藤井さんはお話してくださいました。
つまりはデジタルに取り組まなければいけないからという理由で、リアルを軽視するのではなくリアルとデジタルを両軸として捉えていくことこそが重要であるということを強く感じました。


デジタル時代の責任

また、藤井さんのお話のなかで最も印象深かったのが、デジタル化やテクノロジーを使うことの責任を同時に考えていなければいけないということです。
というのも、我々はユーザーを知るためやサービスのクオリティをあげるためなど様々な理由によってデータを活用しようとしたり、デジタルの利便性によってユーザーを自分たちの思い通りに誘導しようとすることがデジタルの世界では比較的簡単に実現することができますが、それが同時にユーザーの思考ややりがい、満足感を搾取しかねないというリスクが隠れているということです。
デジタルによって早く、便利に情報にアクセスしサービスを受けるということは素晴らしいことでありますが、それはあくまで受け手が選択肢のひとつであり、それが全てになってしまうと便利であるはずのデジタルが人間の首を絞めてしまうことがあるということでした。デジタルが進む世の中であるからこそ、むしろ人間的なことを考えることが重要であるように思いました。
最後に、藤井さんのお話のなかで「人が、その時々で、自分らしいUXを選べる時代へ。」という言葉が胸に刺さりました。
これは我々が今後絶対に向き合わなければならないことであり、まさにアフターデジタルにおける必須の議題になると感じました。

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