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スマートファルコンの負けに賭けた女


大井競馬場にはダイヤモンドターンhttps://diamondturn.com/index.htmlという指定席があります。

紹介文:落ち着きのある洗練された空間で、ブッフェ料理を味わいながら白熱のレースが観戦できます。お二人様用席やグループ席からパーティールームまで

「白熱のレースが観戦」とはありますが、ゴール板から遠い4コーナー付近の4号スタンド内にあるため、正直レース観戦にはおススメしません。(各テーブルにモニターは設置)

ダイヤモンドターン 4こーなー

あれは2011年12月29日、毎年年末の大井競馬場で開催される地方競馬最大のレース、東京大賞典。ダイアモンドターンのチケット争奪戦に勝利した私は当時の彼女を誘いました。(1席6000円×2)

ダイヤモンドターン カップルシート

カップルシートはこんな感じ。

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料理のイメージ。ダイアモンドターン開設当初はひどく不味い食事ばかりで毎回アンケートに改善してくれと書き続けたお陰もあってか? 普通レベルのケータリングになりました。時間帯によってその場で鉄板調理してくれる料理もあります。

ギャンブルをしない人に賭け事は勧めない、というポリシーを持った私、ダイアモンドターンで雰囲気を楽しむならいいだろう。という軽い気持ちでギャンブル未経験の彼女を誘ったのです。

大井競馬場入場した際にはオッサン率の高さに緊張していた彼女も、ダイアモンドターンの空間には大満足です。『ここがさっきと同じ場所とは思えない!』と。

当日の私はメインレースの東京大賞典以外の馬券を買うつもりはありませんでした。ダイアモンドターンの空気を味わいながら、彼女と食事を楽しみお喋りしていようと。

ところが・・彼女が聞いてきます『松の湯くんは馬券買わないの?』⇒「今日は馬券買う気分じゃないんだ。後で1レースだけ買う」

暫く経ったその後も聞いてきます『それ競馬新聞でしょ? 次のレース買わないの?』痛いとこ突いてくるなぁw 競馬新聞を買うのはお布施のようなものだけど。。「大きいレースが16:30に出走するから、それだけは買うよ」

東京大賞典が近づき私が馬券を購入する準備をすると彼女が聞いてきた。『松の湯くんはいくら馬券を買うの?』⇒「5.6千円くらいかなぁ」⇒『私も同じだけ買う』

彼女は会社の同僚だったので、おおよその収入は知っています。(初馬券にしては買いすぎじゃね?)とは思いましたが、私は彼女に馬券の説明をしました。

これが東京大賞典の出走表です。画像一番右の数字が単勝オッズです。汚い字で申し訳ない。

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12番スマートファルコン(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%B3)が大本命のレースです。というか単勝オッズ1.0倍。賭けてもお金が増えません。そのくらい人気を集めるのは当然で、前年の東京大賞典と、半年前の同コース帝王賞を含め逃げのレースで7連勝中。(前者はレコード、後者は2着に1.8秒差をつける勝利)。多少のアクシデントくらいでは揺らぎません。故障しない限り、勝つのはスマートファルコンで決まっているのです。

以上を彼女に説明し、私は3連単スマートファルコンを1着に固定・2.3着をシビルウォーワンダアキュートテスタマッタの3頭に流す計6点の馬券を購入すると告げました。 2番人気ヤマニンキングリーは自信の消し。

『馬券よく分からないから単勝買う』と彼女。私は「スマートファルコンを買っても全然増えないし、次に人気のヤマニンキングリーは多分消えるよ。というか他の馬も勝つ可能性低いから単勝馬券はやめた方が・・」⇒『いや単勝にする。人気がない馬を買う』と言い出すのです。

彼女は上記画像の単勝オッズが赤字の馬、⑦ツルオカオウジ105.2倍     ⑩メダリアビート175.0⑥カキツバタロイヤル198.6⑤トウホクビジン259.0     ①ステラパラダイス275.8 ③エーシンエヴァン508.4

の6頭の単勝をそれぞれ1000円ずつ買うと言うのです!! 私は全力で止めに入ります。6000円を捨てちゃいけないと力説しますが、頑固な彼女は受け入れてくれません。

そんな馬券を買うなら、自分も買わないぞ! みたいな訳の分からない事も私は言って止めた記憶がありますw 漸くして彼女が折れました。『分かった。500円にする。それで、スマートファルコンの次に勝ちそうな馬は何? その馬の単勝も買う』

結局500円買うんかいw 単勝万馬券6頭を500円、そして3000円を次に勝ちそうな馬の単勝に賭けるというのです。

「あくまで勝つのはスマートファルコンだよ。どうしても次言うなら。。ワンダーアキュートかな」と言ったので、ワンダーアキュートの単勝3000円も彼女は購入しました。 

そしてレース出走。上が公式映像ですが・・画質が荒いので別の映像も貼ります。


いつものようにハイペースで逃げるスマートファルコン。最後の4コーナーを回って後続を突き放すかと思いきやワンダーアキュートが食い下がる。それどころか差を縮めて並んだところでゴール!

いやー私も彼女も大興奮でしたねw モニター越でもそれほど迫力のあるレースでした。(私は冷静な一面を見せ、どっちの馬が勝っても一人は的中と分かっていましたが、彼女は自身がワンダーアキュートの単勝3000円持ってる事実をあまり分かっていない様子。それくらいレースそのものに興奮。)

写真判定を待つ彼女の心境はどうだったんだろう。。  結果はスマートファルコンが勝利結果と払戻金です。ワンダアキュート惜しかったですねw

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初めて購入した単勝3000円がハナ差で10倍になるところを取り逃がす。圧倒的人気のスマートファルコン相手の大熱戦のレースが終わった後、彼女の次の一言は『この次もレースあるの?』

当日はメインの東京大賞典は10レースに組まれ、11.12とまだ2レース残っています。当初は東京大賞典終了後、映画を見に行く予定だったと記憶しています。(チケットは未購入)

『まだレースあるんだ。映画やめて競馬にしよう』もう帰ろうと主張する私との押し引きが始まります。

『松の湯くん勝ち逃げする気?ズルい』別に貴女に勝った訳じゃないw

『んじゃ次はいつ来る?』明日もレースがあるとは口が裂けても言えません。

『食事付のこんな高い席じゃなくていいから』そりゃそうだけど。。

結局は馬券購入を踏みとどまらせて、最終レース終了までダイアモンドターンを満喫しました。




後日談

そんな彼女も今は私の隣に・・ という事もなく、翌年の夏前に別れました。 東京大賞典の翌日以降も何度も彼女に競馬場に連れてってと言われましたが、気が乗らず断り続ける私。 そこからすれ違いが・・という訳ではないと思うんですけどねw

彼女は結局PAT会員になってJRA馬券を購入する事になりました。

『スマートファルコン出ないの?』⇒「あの馬はJRAのレースにはもう出る事ないかな。てか買う気ないだろww」とかやり取りした記憶はありますが、私は彼女と別れるまで何となく競馬から離れていたような。彼女は私と違って三連系の馬券は買わず、穴馬の単勝ばかり購入していたようです。

互いの趣味には寛容ではあったけど、かといってパートナーが自分の趣味の領域に入ってこられると壁を作っていたのかと、今を思えば感じます。


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