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#Barbenheimerのネットミームに思うこと

#Barbenheimer というハッシュタグが、「バービー」と「オッペンハイマー」の映画同時公開を機に生まれ、話題になっているのを知った。
原爆投下をネタにした画像=ネットミームに対し、映画「バービー」公式アカウントが「思い出に残る夏になる」と返信。これに対して様々な批判や意見が、旧Twitter上でも出されているが、私も自分の考えをまとめておきたいと思い、noteを書きます。



きっかけは、米連邦最高裁が人種考慮は違憲と判断したという報道に対して、家族とこの判決をどう考えるかと対話になったことだった。

「アメリカ社会において、奴隷制という根深い人種差別が解消しない限り、優遇措置は必要」という私に対し、「もっと個人の状況に応じたものに…貧困があるなら、どこにルーツを持つかに関わりない措置が求められているのでは」と、子どもから反論された。
さらに「国家の罪について、いつまで責任を取ればいいと思っているの」と聞かれ、うまく答えられなかった。

なぜなら、その罪は決して償うことができないからだ。失われた命は決して戻らない。破壊したものの時間は巻き戻らない。

このことは、奴隷貿易や奴隷制だけでなく、ナチズム、日本軍の犯した様々な戦争犯罪、そして、アメリカの原爆投下…歴史を振り返れば枚挙にいとまがなく、いつからは責任があり、いつからは責任がないと答えるのは、無責任になってしまう。

そんなことを悩んでいた時に、知人から借りた『軍都廣島』を読んだ。

日清戦争以降、廣島という都市が果たしてきた役割がわかりやすく書かれており、とても勉強になったのだが、その最後に、マレーシア・スンガイルイ村での住民虐殺事件の戦犯として裁かれた橋本忠を叔父に持つ橋本和正氏が、次のように書いている。

英語で責任に当たる言葉は、「responsibility」です。この言葉は、「response」=応答とか、反応とかを語源としているそうです。それならば、私は戦争の被害にあった多くのアジアの人々の声に「response」=応答していきたいと思います。

『軍都廣島』清水章宏・橋本和正著 
広島県労働者学習協議会編
一粒の麦社

私は、二度と核兵器を使わせないという誓いが、日本の責任=応答だと思っている。
しかし、それでは足りない、噛み合っていないのかもしれない。
「日本人がアジアでやったことと比べてみろ」「謝罪したのか」という声に、どう応答するのかが問われているのかもしれないと、 #Barbenheimerの炎上とそれへの反応を見ていて、考えるようになった。
戦争の被害にあったアジアの人々に応答していきたいという橋本氏に、私も学びたい。

そして、キノコ雲の下で何があったのか、世界の人々に知って欲しいと思う。

2023年8月6日
広島からの帰途にて

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